2009年3月8日、UCIヒストリカル第1戦パリ〜ニースが開幕。アミイーのフラットな9.3kmコースで行なわれた第1ステージ・個人タイムトライアルは、2007年大会総合優勝者のアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が50km/hオーバーの圧巻の走りで勝利。2年ぶりの大会制覇に向けて絶好のスタートを切った。

トップタイムを叩き出したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)トップタイムを叩き出したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos花の都パリの南100kmに位置するアミイーで、第67回パリ〜ニースは開幕した。「太陽のレース」の異名を持つ8日間のステージレースだが、レース初日、フランス中部は生憎の冷たい雨。コースはアミイーをスタート&ゴールとする9.3kmのフラットコースだ。

レースは第1走者テオ・エルティンク(オランダ、スキル・シマノ)を皮切りに、159名の選手たちが1分毎にスタートしていく。路面は完全にウェットで、慎重なコーナリングが要求される。雨は強弱をつけながらも、一日中降り続けた。

1時間以上に渡ってトップに君臨したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)1時間以上に渡ってトップに君臨したブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン) photo:Cor Vos35番手スタートのシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)は、身にまとうトリコロールに則した走りで11分24秒の好タイム。暫定トップに立ったフランスTTチャンプのシャヴァネルは、最終的にステージ7位に入っている。

アテネ五輪と北京五輪、そして3度の世界選手権で個人追い抜きの金メダルを獲得しているブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)は、実力通りの走りで11分12秒をマーク。このタイムは1時間に渡ってトップの座を維持したが、154番目スタートのコンタドールがこれを大きく上回った。

一時は暫定トップに立ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)は最終的に7位一時は暫定トップに立ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)は最終的に7位 photo:Cor Vos大柄な選手がビッグギアを踏み抜く一方で、コンタドールは軽めのギアでハイケイデンスを維持。「速さを感じさせない軽やかな走り」だったが、ゴールラインを切った瞬間、時計は11分05秒で止まった。

ウィギンズを7秒上回るタイムを記録したコンタドールが一躍トップに立った。前走者のスペインTTチャンピオンのルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)も好走したが、コンタドールに9秒及ばず3位に。

トップから25秒遅れ・ステージ12位と健闘したシリル・ルモワンヌ(フランス、スキル・シマノ)トップから25秒遅れ・ステージ12位と健闘したシリル・ルモワンヌ(フランス、スキル・シマノ) photo:Cor Vos昨年最終ステージを制して総合5位に入ったLLサンチェスは「スーパーコンタドールを相手にいい勝負ができたから、自分のパフォーマンスには充分満足している。雨の中のレースだった割にはいい走りができた。今年の狙いは総合成績。コンタドールがリーダージャージを獲得したことは、僕らのように総合狙いの選手には朗報。だって明日からアスタナチームはレースコントロールに専念しないといけないから」と語っている。

ステージ19位・31秒遅れと出遅れたカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)ステージ19位・31秒遅れと出遅れたカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット) photo:Cor Vos若手TTスペシャリストとして期待されるトニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)は4位に入り、25歳以下対象の新人賞のトップに。以下、2007年大会のプロローグを制したデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)が5位、ルタ・デル・ソル総合優勝のヨースト・ポストゥーマ(オランダ、ラボバンク)が6位と続く。

カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)やフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)は19位と31位。総合狙いの彼らとしてはまずまずのスタートと言えるだろう。

パリ〜ニース初日からマイヨジョーヌを獲得したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)パリ〜ニース初日からマイヨジョーヌを獲得したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos優勝を決めたコンタドールは「前半からかなり突っ込んでしまったから、最後は結構苦しんだよ。でも調子は良かったし、監督が『トップタイムだ』と言ってくれていたからゴールまで全力で駆け抜けた。非常に満足している。自分に自信をつけるためにも、このタイムトライアルは手を抜けなかった」と語る。また「自分はTTが得意だけど、今日のようなフラットで短いコースは自分向きではない。雨が降っていたからコーナーでリスクは負わなかったけど、条件はどの選手も同じ。僕はオールラウンドな選手として成長を続けている」とも。

2007年大会で総合優勝を飾ったが、昨年はチーム不参加により連覇の夢が断たれたコンタドール。2年ぶりの出場で狙うのは当然2度目の総合優勝だ。「パリ〜ニースは僕のモチヴェーションを上げてくれる、勝ちたいレースの一つ。でも厳しいステージが待ち構えているから、総合優勝を狙うことは決して簡単なことじゃない。初日からステージ優勝を飾ったリーダージャージに袖を通してことで、すでに満足感を得ているよ」と、久々のフランスレースへの特別な想いを語っている。コンタドールにとってこれは今シーズンヴォルタ・アオ・アルガルヴェに続く勝利だ。

選手コメントはレース公式サイト、フランス・レキップ紙、ならびにチームウェブサイトより。

パリ〜ニース2009第1ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)11'05"
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+07"
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)+09"
4位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)+11"
5位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)+14"
6位 ヨースト・ポストゥーマ(オランダ、ラボバンク)+18"
7位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)
8位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)+19"
9位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)+21"
10位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)+22"

個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)11'05"
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+07"
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)+09"
4位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)+11"
5位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)+14"
6位 ヨースト・ポストゥーマ(オランダ、ラボバンク)+18"
7位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)
8位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)+19"
9位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)+21"
10位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)+22"

ポイント賞
アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)

新人賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)

チーム総合成績
アスタナ

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