2月27日〜3月5日まで、アフリカはガボン共和国で開催されたUCIレース、ラ・トロピカル・アミッサボンゴへと出場した日仏混成チーム、インタープロ・サイクリング・アカデミーのレポートを紹介する。エリトリア出身のエースが総合2位に入るなど、今シーズンに向けて大きな弾みとなったという。



ガボン共和国で開催されたラ・トロピカル・アミッサ ボンゴガボン共和国で開催されたラ・トロピカル・アミッサ ボンゴ photo:www.tropicaleamissabongo.com
現地に到着したインタープロ・サイクリング・アカデミーのメンバー現地に到着したインタープロ・サイクリング・アカデミーのメンバー (c)Interpro Cycling Academy長野県飯田氏に拠点を置く日仏混成チーム、インタープロ・サイクリング・アカデミーが出場したラ・トロピカル・アミッサボンゴは、中部アフリカに位置するガボン共和国で開催された1週間のステージレース。UCIランクは1クラスであり、ディレクトエネルジーやデルコ・マルセイユKTMといったフランスの強豪コンチネンタルチーム勢も名を連ねた。

チーム結成10年以来、初となるUCIレースへの出場となったインタープロ。リーダーは過去に2度アフリカコンチネンタル王者に輝いている新加入のテスフォム・オクバマリアム(エリトリア)。現地での合流だったものの、チームとして上手く機能し、最終的にヨアン・ジェーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)に次ぐ総合2位を獲得した。その他のメンバーは、トム・ボシス(フランス)、吉田悠人、ダミアン・ガルシア(フランス)、水野恭兵、ジュリアン・アマドリ(フランス)という計6名。日本からガボンへは片道72時間の長旅だったという。以下は、チームによるレポート。



ディレクトエネルジーがコントロールするメイン集団ディレクトエネルジーがコントロールするメイン集団 (c)Interpro Cycling Academyトマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)らと逃げたトム・ボシス(フランス、インタープロ・サイクリング・アカデミー)トマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)らと逃げたトム・ボシス(フランス、インタープロ・サイクリング・アカデミー) (c)Interpro Cycling Academy大逃げに乗ったテスフォム・オクバマリアム(エリトリア、インタープロ・サイクリング・アカデミー)大逃げに乗ったテスフォム・オクバマリアム(エリトリア、インタープロ・サイクリング・アカデミー) (c)Interpro Cycling Academyヨアン・ジェーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)とテスフォム・オクバマリアム(エリトリア、インタープロ・サイクリング・アカデミー)ヨアン・ジェーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)とテスフォム・オクバマリアム(エリトリア、インタープロ・サイクリング・アカデミー) photo:www.tropicaleamissabongo.comアフリカで最も大きなレースである、ラ・トロピカル・アミッサボンゴ に出場してきました。我々が発足して10年、UCIコンチネンタル登録した初年度として始めて参戦するUCIレースでしたが、結果として素晴らしい成功を収めることができました。

第1ステージからインタープロ・サイクリング・アカデミーは、プロチーム相手に十分に戦える事を示しました。第2ステージはトム・ボシスがトマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)や、長くカチューシャに在籍したエドヴァルド・ヴォルガノフ(ロシア、ミンスク)を含む10人の逃げに入りました。

翌日はクイーンステージで、ダミアン・ガルシアとジュリアン・アマドリが、他チームのエースがほとんど入った先頭グループでテスフォムと共にゴールし、テスフォムは総合11位へとジャンプアップ。翌日は輸送機が飛べず、他チームの選手やバイクがスタート地点に到着できないアクシデントによってステージは中止、24時間後に同じ場所からスタートという事になったため、メンタルの切り替えもが求められたのです。

しかし、そこが我々のレース運びを有利にしたターニングポイントでした。ゴール勝負になると思われた翌ステージでは、ジュリアンとテスフォムを含む20人の選手達が逃げを決め、後ろの追走集団との差は7分差、メイン集団との差は14分とタイム差を広げることとなりました。総合リーダーを含む集団は追走を諦め、9分の差を得た13人の選手達によるステージ優勝の争いの末、ジェーヌが優勝して総合首位に立ち、続いたテスフォムは16秒差の総合2位にジャンプアップできました。

強力なディレクトエネルジーに対し、インタープロの作戦は残り2つのステージでテスフォムの総合2位を死守すること。6日目、3名が逃げ切ったステージでは集団内でスプリントに加わった吉田悠人が7位でゴールしました。吉田は育成メンバーの22歳であり、スプリントで先着を許した3名は全員が屈強なスプリンターでした。

最終日は、何名かの選手で中間計測ポイントによるタイムボーナスを取りに行こうと試みたものの、不発に。テスフォムは、過去にラ・トロピカル・アミッサボンゴでの入賞経験を持つニコデマス・ホラー(バイクエイド)よりも前でゴールしなければなりませんでした。

ヨアン・ジェーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)に次ぐ総合2位を獲得したテスフォム・オクバマリアム(エリトリア、インタープロ・サイクリング・アカデミー)ヨアン・ジェーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)に次ぐ総合2位を獲得したテスフォム・オクバマリアム(エリトリア、インタープロ・サイクリング・アカデミー) (c)Interpro Cycling Academy
レース前にはお互いの事を全く知らなかった選手も何名かいましたが、ワールドツアーライダーとしての知識や彼自身の強さによるカリスマ性を持ったエース、テスフォムを中心に走ったこの7日間で、我々は間違いなく団結することが出来ました。我々の多文化的で他に例をみないプロジェクトが形作られ、またそれが素晴らしいチャンスを若い選手達に生み出していることをとても嬉しく思います。初のUCIレースに対して大きな満足度と素晴らしい成績をもってデビューしたことは、これからシーズン、特にヨーロッパレース参戦に向けて大きな弾みにとなりました。

現在、我々はツアー・オブ・とちぎに向けて調整を進めています。その後は5、6月と2か月間フランス遠征に向かう予定です。


text:Inter Pro Cycling Academy
edit:So.Isobe