2月22日から3月1日にかけて、マレーシアでツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)が開催される。愛三工業やNIPPOヴィーニファンティーニら日本勢も多く出場する8日間の戦いをプレビューしておきたい。



温暖なマレー半島を舞台にした8日間のツール・ド・ランカウイ温暖なマレー半島を舞台にした8日間のツール・ド・ランカウイ photo:Kei Tsuji


ツール・ド・ランカウイ2017コースマップツール・ド・ランカウイ2017コースマップ 新都市プトラジャヤが今年のフィニッシュ地点新都市プトラジャヤが今年のフィニッシュ地点 photo:Kei Tsujiツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)が明日2月22日に開幕する。例年2月下旬〜3月上旬にかけて開催されている8日間のステージレースは今年で開催22回目だ。

「アジア最大のステージレース」と呼ばれるランカウイだが、UCIワールドツアーカレンダー入りしたアブダビツアーと開催日程が重なっているため、今年参加するUCIワールドチームは昨年総合優勝を輩出したディメンションデータのみ。近年台頭している中東レースの後塵を拝していることは否めず、トップチームを集めるべく議論されていたという、ツアー・ダウンアンダー直後に開催時期を移す案も実現に至っていない。

直訳すると「ランカウイ一周レース」だが、今年もランカウイ島には上陸せず、マレー半島を反時計回りに巡る8日間のステージが用意されている。今年監督としてNIPPOヴィーニファンティーニを率いる福島晋一が深い関係を持つトレンガヌ州が開幕地であり、プロトンはクアラベランから一路1222.2km先のフィニッシュ地点を目指す。

超級山岳キャメロンハイランド(タナラタ)山頂フィニッシュが用意されている第4ステージと、アップダウンが連続する第7ステージ以外は平坦のゴール勝負が予想されており、連日スプリンターたちの共演を目にすることができるはず。

総合を大きく左右するのは残り50kmを切ってから3%弱の緩斜面が延々と続き、残り13.6km地点で1級山岳リングレットをクリア、下り&平坦路を経て再び登りに転じ、平均勾配5%の登りを駆け上がってキャメロンハイランドに至る第4ステージで変わりないが、第7ステージは中盤から4級山岳が3つ続き、3つめの頂上がゴール8km手前に用意されているレイアウトだ。「総合争いがキャメロンハイランドだけではなく、その後のステージでも活発になることを期待している」と主催者は説明している。フィニッシュはこれまでのマラッカではなく、マレーシアの行政新首都として開発中の連邦直轄領、プトラジャヤだ。



ツール・ド・ランカウイ2017ステージリスト
2月22日(水)第1ステージ クアラベラン〜クアラトレンガヌ 124.8km
2月23日(木)第2ステージ ジェルテ〜ゲリク 208.1km
2月24日(金)第3ステージ スルダン〜パンタイ レミス 118.0km
2月25日(土)第4ステージ セリ・マンジュン〜キャメロンハイランド 174.4km
2月26日(日)第5ステージ メルーラヤ〜クアラクブバル 151.5km
2月27日(月)第6ステージ セナワン〜ムアル 176.3km
3月28日(火)第7ステージ ムラカ〜レンバウ 148.1km
3月1日(水)第8ステージ スティアワンサ〜プトラジャヤ 121.0km



昨年大会で総合優勝を輩出したディメンションデータ昨年大会で総合優勝を輩出したディメンションデータ photo:Kei Tsuji昨年の総合2位、ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)昨年の総合2位、ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア) photo:Kei Tsujiトロフェオ・ライグエリアを走るフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)トロフェオ・ライグエリアを走るフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) photo:CorVos昨年大会で勝利しているアンドレア・パリーニ(イタリア、現アンドローニ・ジョカトリ)が手を挙げる昨年大会で勝利しているアンドレア・パリーニ(イタリア、現アンドローニ・ジョカトリ)が手を挙げる photo:Kei Tsuji昨年総合優勝を果たしたレイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)は出場せず、南アフリカ王者に輝いたばかりのレイナルト・ヤンセファンレンズバーグがエースに据わる。ただし1チーム6名と少なく、ディメンションデータの主要メンバーはアブダビツアーに参戦しているため、主導権争いは混沌としたものになると見られている。

ディメンションデータに対し、UCIプロコンチネンタルチーム勢はユナイテッドヘルスケア、バルディアーニCSF、ウィリエール・トリエスティーナ、マンサナ・ポストボン、アンドローニ・ジョカトリ、NIPPOヴィーニファンティーニという6チームが参戦し、愛三工業などコンチネンタルチームやナショナルチームが13チーム続く。

総合を狙うのは昨年大会で2位に入ったダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)や昨年ツール・ド・台湾を制しているロビー・ハッカー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)ら。

スプリントでは今年ロット・スーダルから移籍したグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)や、昨年大会で勝利しているアンドレア・パリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)、ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)、ニコラス・マリーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)らが有力。フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)は積極的にアタックを仕掛けてくるだろう。

日本からは8年連続出場となる愛三工業(小森亮平、早川朋宏、住吉宏太、黒枝士揮、原田裕成、渡辺翔太郎)と、チームとしては初出場となるNIPPOヴィーニファンティーニの3名(中根英登、伊藤雅和、小林海)が出場する。

NIPPOの福島監督は「最も重要視しているのはマリーニの区間優勝と、中根と伊藤の総合成績。第1ステージから、マリーニの区間優勝を狙っている。彼はとてもモチベーションが高いし、コンディションもいい。マリーニの区間優勝のためには、スタキオッティの走りもとても重要になってくるだろう。またベルラートのコンディションも日を追うごとによくなっていくだろうから、得意のエスケープを期待したい。アジアツアーを初めて走る小林海も、今は万全と言える調子ではないが、調子を確認しながら、チャンスを狙いたい。

現在、とても調子が上がっているのが中根だ。彼にとっても大切なレースであるから、総合成績で上位に食い込むことを期待している。伊藤についても、落車により大ケガをした(2014年)忘れられないレース。今大会でリベンジとなる走りを期待している。伊藤も中根と同じく、総合を狙う役割になるが、二人ともステージによっては、タイムを失わない範囲でマリーニをアシストしていく」と語っている。

text:So.Isobe

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