1月15日、傾いた太陽に照らされたアデレードの周回コースでサントス・ツアー・ダウンアンダーの開幕戦ピープルズチョイスクラシックが開催。ハイスピードバトルはカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)の2年連続勝利に終わった。



開始早々、1周目からレースは高速化する開始早々、1周目からレースは高速化する photo:Kei Tsuji
新チームでの初戦に挑む新城幸也(バーレーン・メリダ)新チームでの初戦に挑む新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsujiスタートライン最前列に並んだペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)スタートライン最前列に並んだペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji



午後7時15分にレーススタート午後7時15分にレーススタート photo:Kei Tsuji8日間にわたって開催されるUCIワールドツアー初戦サントス・ツアー・ダウンアンダーが開幕した。初日の1月15日は、アデレード市東部の公園をぐるっと回る2.3kmコースを22周する50.6kmのクリテリウムレースだ。

レースは1985年から1995年までF1オーストラリアGPの舞台となったコースの一部を使用する。1996年にF1の開催地がメルボルンのアルバートパークに移ったことを受けて、南オーストラリア州が新たなスポーツイベントとして1999年に立ち上げたのがこのサントス・ツアー・ダウンアンダーだ。

集団内で周回を重ねる新城幸也(バーレーン・メリダ)集団内で周回を重ねる新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsuji「ピープルズチョイスクラシック」と名付けられたクリテリウムは、2日後に控えたUCIワールドツアーレースに出場する選手が全員顔を揃える。アデレード市民への顔見せ的な意味合いが強く、UCI非公認であるとともにこの日の成績はUCIワールドツアーレースの総合成績に反映されない。傾いた太陽の光に照らされて、午後7時15分にスタートが切られた(日没は午後8時31分)。

かつてのF1コースの一部を走るかつてのF1コースの一部を走る photo:Kei Tsuji沿道にびっしりと重なった観客たちに見守られながら、レースは1周目からアタックの応酬となる。5周ごとにスプリントポイント(賞金500ユーロ)が合計4回設定されていることもあり、逃げたい選手が集団先頭でアタックを繰り返す。ウィリアム・クラーク(オーストラリア、キャノンデール・ドラパック)とベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)が飛び出したところで集団はようやく落ち着いた。

逃げを見送ったメイン集団が周回コースを走る逃げを見送ったメイン集団が周回コースを走る photo:Kei Tsuji1回目のスプリントポイントはクラークの手に。しかし「逃げに乗った時点でレッドゾーンだったので、スプリントポイント通過後に失速してしまった」というクラークが先頭から脱落。先頭はオコーナー単独となる。ステージレースを得意とするオールラウンダーで、今季ディメンションデータ入りした21歳の一人旅が始まった。

「逃げに乗るつもりだったけど、独走になるとは思っていなかった。実質的なプロ初戦で独走し、大勢の観客の声援を独り占めできたことは誇らしい」と語るオコーナーが最大30秒程度のリードを築く。すると後方ではオリカ・スコットが中心になって組織的な追走がスタート。エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)も献身的に集団ローテーションに加わった。

2回目と3回目のスプリントポイントを独走のまま通過したオコーナーだったが、フィニッシュまで3周を残して集団に飲み込まれた。「このコースで集団に刃向かうことは事実上不可能。でも初戦からチームジャージをアピールできてよかったよ」と大一番で観客を沸かせたオコーナーは結果を前向きにとらえている。



観客が詰めかけた周回コースを走る観客が詰めかけた周回コースを走る photo:Kei Tsuji
単独で逃げ続けるベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)単独で逃げ続けるベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) photo:Kei Tsujiチーム右京に移籍したネイサン・アール(オーストラリア、UniSAオーストラリア)チーム右京に移籍したネイサン・アール(オーストラリア、UniSAオーストラリア) photo:Kei Tsuji
ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)がメイン集団を牽引ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)がメイン集団を牽引 photo:Kei Tsuji


リードを失いながらも逃げ続けるベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)リードを失いながらも逃げ続けるベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) photo:Kei Tsujiサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)やゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)といった総合優勝候補たちまで集団先頭に上がり、スプリンターのためにそれぞれローテーションを組むとレースは終盤戦。最終周回でトレック・セガフレードやサンウェブ、ボーラ・ハンスグローエが先頭に立ったが、最終コーナーを抜けたところでオリカ・スコットが最終トレインを発射させた。

チームメイトに守られて集団前方に位置するペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)チームメイトに守られて集団前方に位置するペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji先頭に立ったダリル・インピー(南アフリカ)からバトンタッチしたロジャー・クルーゲ(ドイツ)がさらに加速する。イェンス・フォイクト氏が「フィニッシュスピードは75km/hに達するはず」と予想する下り基調のストレートでクルーゲがトップスピードに達すると、残り200m地点でオーストラリアクリテリウムチャンピオンジャージが発進した。

下り基調の最終ストレートでスプリントが始まる下り基調の最終ストレートでスプリントが始まる photo:Kei Tsuji他の誰よりも低いコンパクトなポジションで突き進んだユアンが先頭へ。大きく飛び出したところで振り返るとそこにはペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)の姿が。しかしこの日のサガンの役目はあくまでもサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)をリードアウトすること。世界チャンピオンにアシストされたベネットが追い込んだものの、ユアンには届かなかった。

サガンやベネットを振り切ったカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)サガンやベネットを振り切ったカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) photo:Kei Tsuji2年連続でピープルズチョイスクラシックを制したユアン。スタート前は「とても大きなプレッシャーを感じていた。リラックスしようと必死だった」と言うが、新加入のクルーゲとの抜群の連携で連覇を果たしてみせた。「今日はチームが100%の力で走ってくれた。逃げが形成されるとすぐにチームメイトたちが集団先頭に立ってコントロールしてくれたので落ち着いて走ることができたよ。スプリンターチームとして先頭に出るのが早すぎたかと思ったけど、チームメイトの走りは完璧だった。初日を白星で終えたことがこの1週間の自信になる」。

ボーラ・ハンスグローエのベネットとサガンに続いてニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)が4位。アシストに徹した新城幸也は「ボニファツィオを先頭に連れてきて、最終周回で他のチームの列車に乗せたところで仕事を終えて下がりました。果たして本当の自分の状態がどうなのかは走ってみないと分からないので初戦は不安な部分もあるんですが、結果としては悪くなかった。そこそこ我慢(高強度に耐えること)もできるし、これから日に日に調子は上がっていくと感じています」と語っている。



優勝者インタビューを受けるカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)優勝者インタビューを受けるカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) photo:Kei Tsuji




ピープルズチョイスクラシック結果
1位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)         1h03’41”
2位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)
5位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
6位 マーク・レンショー(オーストラリア、ディメンションデータ)
7位 ショーン・ドゥビー(ベルギー、ロット・ソウダル)
8位 バティスト・プランカールト(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)
9位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、キャノンデール・ドラパック)
10位 ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター)

text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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