マテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)が激しくクラッシュした後、独走を開始したワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)がDVVフェルゼクリンゲン・トロフェー第6戦で勝利。日本人選手の結果と共にレポートする。



一時はトップ集団に入った3度の世界王者、ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)一時はトップ集団に入った3度の世界王者、ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) photo:CorVos徐々に調子を上げているラース・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)徐々に調子を上げているラース・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン) photo:CorVosアタックを繰り返すマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)アタックを繰り返すマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス) photo:CorVos先行するマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)は終盤にクラッシュ先行するマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)は終盤にクラッシュ photo:CorVos残り1周、ペースアップを開始したワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)残り1周、ペースアップを開始したワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス) photo:CorVos独走するワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)独走するワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス) photo:CorVosDVVフェルゼクリンゲン・トロフェー第6戦が開催されたのは、ベルギー北部、オランダ国境に面した街ロエンハウト。アントウェルペンにも近く、隣国オランダからはマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)の応援団が駆け付けた。

霧ががり鬱蒼とした雰囲気に包まれたコースは、基本的に硬く締まった土。高速サーキットでありながらバニーホップを要する深い溝や上下の細かいアップダウン、大きなウォッシュボードなどが詰め込まれ、選手のテクニックが問われる。

欧州遠征を続けている最中の弱虫ペダルサイクリングチーム(前田公平、織田聖、唐見実世子)と、ここに合流した小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)ら日本人選手が参戦し、今回は3度CX世界王者に輝いた経験を持つゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)やボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレック・セガフレード)といった現在ロード選手として活躍するメンバーも顔を揃え、その走りに注目が集まった。

レースは好スタートを決めたクレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス)が積極的に牽き、ここに調子を上げているトム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)らシングルリザルト常連メンバーが続く形でスタート。ローレンス・スウィーク(ベルギー、エラリアルエステート)はコーナー内側の杭にぶつかって落車し、以降精彩を欠いてしまう。

注目のスティバルは最後列スタートながら混戦状態から抜け出して、一気に序盤トップグループに割り込む走りで会場を沸かせた。最終的に1分3秒遅れの18位でフィニッシュしたスティバルは「まだトップスピードで走るコンディションには無いけれど、スタートではスペースを見つけてポジションアップできた」と語っている。スティバルのシクロクロスシーズンはこのDVV第6戦と、2日後のもう1戦で終える予定だという。

まだ復帰段階にあるラース・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)が中盤れレースを進めたその先、先頭ではファンデルポールが独走を開始する。前戦のワールドカップで勝利したワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)が追走に回り、ここに複数名が連なるロードレースのような展開が続いた。

レース開始40分を過ぎた頃にファンアールト、メーウセン、ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)がファンデルポールに合流。マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)も追いつき、ここから激しいアタック合戦の口火が切られた。

メーウセンやファントーレンハウトが次々と加速を試みたが、ハイスピードコースだけあって独走に持ち込むには至らない。ヨーロッパ王者のトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア)らも合流して次なる展開を待つ残り1周半、180度ターン手前のドロップオフでファンデルポールが落車した。

勢い余ってハイスピードで地面に叩きつけられたファンデルポールは暫く動くことができず、ここでレースからリタイア。救急隊が駆け付けても尚動けず容体が心配されたが、レース後に「ひどいクラッシュだったけれど、大丈夫。自分のミスだったが大事にならずラッキーだった」と自身のTwitterでコメントしている。

「あの落車はリスクを無視した彼のミス。でもレース中の舞い上がった状態だと仕方ないことだし、今日のコースが一層冷静になるのを難しくしていた」と言うファンアールトが発進。それまで先行していたアールツをパスして全力プッシュを開始すると、アルカンシエルの背中は遠くなっていくのみだった。



後続を引き離したワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)が勝利後続を引き離したワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)が勝利 photo:CorVos


1位ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)1位ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス) photo:CorVos残り1周を飛ばしに飛ばしたファンアールトは、追いすがるメーウセンとパウエルスを引き離してフィニッシュ。「スタートで失敗したことが、高速レースだけに後に響いてしまった。でも徐々にリズムを取り戻してからの勝利だったので、良い勝ちだった」とコメントした。

2位に入ったメーウセンは「マテューに謝りたい。僕が先行していたアールツと差を開けてしまい、彼が詰めようとした中での落車だった」とレース後に語っている。

エリートレースに出場した小坂と前田は共にレースを進めたものの、それぞれ80%ルールによって残り2周で足切りに。それぞれ33位と34位という結果に。U23レースに出場した織田聖はトップと同一周回の42位でフィニッシュ。「スーパープレスティージでは完走すらできなかったので、スタートでは出遅れたものの、パックで走り完走につなげることができたのは良かった」とコメント。女子レースの唐見実世子も同一周回46位でフィニッシュしている。

選手コメントはsporzaより。



DVVフェルゼクリンゲン・トロフェー2016-2017第6戦結果
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)     1h01'33"
2位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)               +02"
3位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)       +03"
4位 トーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア)               +06"
5位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)  +11"
6位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア)            +22"
7位 クレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス)              +41"
8位 イェンス・アダムス(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)        +55"
9位 ジム・アールノーツ(ベルギー、テレネット・フィデア)              +1'01"
10位 ティム・メルリエ(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)        +1"12
33位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)                -2Laps
34位 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)                   -2Laps

女子結果
1位 サンヌ・カント(ベルギー、IkoEnertherm・コレンドン)  39'51"
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボ・Liv)         +06"
3位 タリタ・デヨング(オランダ、ラボ・Liv)          +09"
46位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)       +6'02"  

U23結果
1位 エリ・イゼルビッド(ベルギー、テレネット・フィデア) 49'45"
2位 タイス・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア)   +11"
3位 ニコラ・クレップ(ベルギー、テレネット・フィデア)   +12"
42位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)         +4'59"

text:So.Isobe

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