現オーストラリアチャンピオンのジャック・ボブリッジ(トレック・セガフレード)が現役引退を発表した。27歳のスピードマンは2010年に発症した関節リウマチとともに歩んだプロ生活にピリオドを打った。



オーストラリアチャンピオンのジャック・ボブリッジ(オーストラリア、トレック・セガフレード)オーストラリアチャンピオンのジャック・ボブリッジ(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji


2009年ツアー・オブ・ジャパン ステージ2勝を飾ったジャック・ボブリッジ(チームAIS)2009年ツアー・オブ・ジャパン ステージ2勝を飾ったジャック・ボブリッジ(チームAIS) photo:Hideaki.TAKAGI出身地オーストラリア・アデレードの地元紙「ザ・アドヴァタイザー」のインタビューの中で、ボブリッジは今シーズン限りでの引退を発表した。ボブリッジを引退に追い込んだのは長年患っていた関節リウマチだった。

ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、トレック・セガフレード)ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsujiボブリッジはインタビューの中で「足や手、背中に痛みが走るんだ。症状が酷い時はグランツール並みに苦しみの中で走らないといけない。今季ヨーロッパに戻ってみて、関節の痛みによってもはやレースを楽しめない状態であると悟った」と語っている。厳しいトレーニングや過密スケジュールを伴う選手活動により関節リウマチが悪化し、今回の引退の決断に至った。

ジロ・デ・イタリアでグルペットから遅れたジャック・ボブリッジ(オーストラリア、トレック・セガフレード)ジロ・デ・イタリアでグルペットから遅れたジャック・ボブリッジ(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsujiボブリッジは自己免疫疾患の診断を受けた2010年以降、関節リウマチを患いながらのプロ生活を強いられた。TUE(治療使用特例)を申請してコルチコステロイドを使用することでレース活動を継続。TUEに関してボブリッジは2016年9月に自身のTwitterで「WADAへのハッキングにより個人情報が流出したが、情報が公になることに問題がないことを述べておきたい。関節リウマチを患っていることは周知の事実で、ハンドルバーを握れないほどの症状が出る時もある。この病を克服するために、UCIルールに則って、書面での承諾を得た上で、しかるべき治療を受けている」と説明している。

ボブリッジは1989年7月13日生まれの27歳。ジュニア時代からトラックとロードレースを両立するスピードマンとして活躍し、2009年にはツアー・オブ・ジャパンの南信州ステージと伊豆ステージで優勝している。同年、U23のタイムトライアル世界チャンピオンに輝き、その翌年にガーミン・トランジションズでプロ入りした。

トラック世界選手権では団体追い抜きで2つ、個人追い抜きで1つの金メダルを獲得。2011年にはトラック個人追い抜きで4分10秒534の世界記録をマークしている。オリカ・グリーンエッジやベルキンプロサイクリングを経て、2015年はリオ五輪のトラックレースに向けたトレーニングに集中するためにUCIコンチネンタルチームのバジェット・フォークリフツに所属した。

2015年にはアワーレコードに挑んだが、当時の記録保持者マティアス・ブランドル(オーストリア)の51.852kmに552m届かない51.300kmに終わっている。トレック・セガフレードでUCIワールドチームに返り咲いた2016年はオーストラリアチャンピオンに輝くとともに、自身4度目のジロ・デ・イタリアでグランツール初完走を達成。その後リオ五輪団体追い抜きで自身2つ目となる銀メダルを獲得した。

text:Kei Tsuji