8月6日から14日にかけて、インドネシアの西スマトラ州で「ツール・ド・シンカラ(UCI 2.2)」が開催されている。日本からはキナンサイクリングチームが出場。第1ステージから第4ステージまでをダイジェストレポートする。



第2ステージは断崖絶壁の下からスタート第2ステージは断崖絶壁の下からスタート photo:Satoru.Kato
アジアツアーUCI 2.2クラスのステージレース「ツール・ド・シンカラ」。これまでも日本のチームが出場して活躍した事から、ご存知の方も多いだろう。今年は9日間8ステージ。総距離1,073kmで行われる。舞台は、インドネシアのスマトラ島中部にある西スマトラ州。州のおよそ中央を赤道が通り、レースコースも赤道を挟んで北と南に設定されている。

8月のインドネシアは雨季が終わった後の乾季にあたる。体感的には日本の夏よりも湿度が低く、夜は20℃台前半まで気温が下がるため、冷房が要らないと思えるほど。しかし日中の日差しの強さが、赤道直下の熱帯である事を思い出させる。

レースの名前の由来となったシンカラ湖レースの名前の由来となったシンカラ湖 photo:Satoru.Katoレース前日のミーティングレース前日のミーティング photo:Satoru.Kato

コースサイドから応援する子供達コースサイドから応援する子供達 photo:Satoru.Kato記念撮影に応じるリカルド・ガルシア記念撮影に応じるリカルド・ガルシア photo:Satoru.Kato


日本からはキナンサイクリングチームが出場。メンバーは、ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)総合2位のマルコス・ガルシアを始め、リカルド・ガルシア、ジャイ・クロフォード、伊丹健治、野中竜馬、阿曽圭佑の6名がエントリー。他に、TOJでも活躍するイランのピシュガマンサイクリングチームや、アジア・オセアニアのチームを中心に19チーム110人が出場した。



第1ステージ 短距離レースで大差をつけたダイラン・ニューベリーが優勝 リカルド・ガルシアが2位

 第1ステージ スタート地点へのバイクの到着が遅れ、歩いてサインに向かうキナンサイクリングチームのメンバー 第1ステージ スタート地点へのバイクの到着が遅れ、歩いてサインに向かうキナンサイクリングチームのメンバー photo:Satoru.Katoハンドル周りに貼られたコースプロフィールと要注意選手のゼッケンナンバーハンドル周りに貼られたコースプロフィールと要注意選手のゼッケンナンバー photo:Satoru.Kato

カメラを向けると笑顔を見せてくれる子供達カメラを向けると笑顔を見せてくれる子供達 photo:Satoru.Kato第1ステージ 2位に入って表彰を受けるリカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)第1ステージ 2位に入って表彰を受けるリカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム) (c)KINAN Cycling Team


初日は95.8kmと短距離ながら、途中に1級山岳が入るコース。レース名の由来となった「シンカラ湖」をスタートしたレースは、序盤からアタック合戦が繰り返される。

レース中盤、キナンサイクリングチームの阿曽圭佑とリカルド・ガルシアを含む逃げ集団が形成される。その中からリカルドを含む8人が、後続に2~3分の差をつけて先行。この逃げが勝ち逃げとなり、最終的に4分以上の差になる。最後はダイラン・ニューベリー(データ#3シスコレーシングチームP/Bスコディ)が抜け出して優勝。リカルド・ガルシアが2位に入った。



第2ステージ ピシュガマンのエマミがステージ優勝 総合上位に変動なし

第2ステージはイスタノバサの王宮の前にゴール第2ステージはイスタノバサの王宮の前にゴール photo:Satoru.Kato第2ステージ ラヒーム・エマミ(ピシュガマンサイクリングチーム)が優勝第2ステージ ラヒーム・エマミ(ピシュガマンサイクリングチーム)が優勝 photo:Satoru.Kato

第2ステージ メイン集団でゴールするキナンサイクリングチームのメンバー第2ステージ メイン集団でゴールするキナンサイクリングチームのメンバー photo:Satoru.Kato
2日目はスタート直後に3級山岳を越え、後半に2級山岳をふたつ越える119.5km。この日もリアルスタート直後からアタック合戦が始まり、3級山岳を過ぎるところで8人の逃げ集団が形成される。この中にピシュガマンサイクリングチームが5人を送り込んだ事から、リーダーチームをはじめとして各チームが追走に協調。キナンサイクリングチームはリカルド・ガルシアを逃げに送り込んでいたが、複数のピシュガマンの逃げを容認出来ないと判断して追走に同調する。

メイン集団は2級山岳に入る手前で逃げを吸収。その後逃げと吸収を繰り返す中から、3人の逃げが決まり、これが勝ち逃げとなる。最後は、今年のツアー・オブ・ジャパンでも活躍したラヒーム・エマミ(ピシュガマンサイクリングチーム)がステージ優勝。総合2位のリカルド・ガルシアを含む総合上位勢はメイン集団内でゴールしたため、この日の総合順位に変動はなかった。



第3ステージ リカルド・ガルシアがステージ優勝 個人総合首位に

第3ステージ チームカーの回りでスタート前の準備第3ステージ チームカーの回りでスタート前の準備 photo:Satoru.Kato3日目はコース半ばに標高800mほどの2級山岳と3級山岳が連続する123.1km。山間部の生活道路がコースに設定されており、道幅が狭く、曲がりくねったアップダウンが連続。序盤の逃げを吸収した後、2級山岳に向かう登りで15人の逃げが形成され、この中にリカルド・ガルシア、マルコス・ガルシア、ジャイ・クロフォードのキナンチーム3名が加わる。

途中、クロフォードら3名が遅れて12名となった逃げ集団はそのまま逃げ切り。最後のスプリント勝負をリカルド・ガルシアが制してステージ優勝。リーダージャージのニューベリーが11分遅れた第3集団でゴールしたため、総合2位のリカルド・ガルシアが総合首位に立った。

第3ステージ リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)がリーダージャージに第3ステージ リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)がリーダージャージに photo:Satoru.Kato


第4ステージ 超級山岳ゴールでピシュガマンサイクリングチームが1・2・3位を独占し総合首位

第4ステージ リーダージャージを着てスタートサインをするリカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)第4ステージ リーダージャージを着てスタートサインをするリカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato第4ステージ リーダージャージを守るため、スタート前の打ち合わせに余念がない第4ステージ リーダージャージを守るため、スタート前の打ち合わせに余念がない photo:Satoru.Kato

第4ステージ コースマップを確認するジャイ・クロフォード(右)と野中竜馬第4ステージ コースマップを確認するジャイ・クロフォード(右)と野中竜馬 photo:Satoru.Kato第4ステージ 他チームの選手との情報交換も欠かせない第4ステージ 他チームの選手との情報交換も欠かせない photo:Satoru.Kato


4日目はスタート直後に2級山岳を越えた後海岸に向かって一気に下り、海沿いの平坦地を進んで再び山岳地帯に入り、標高1,200m超の超級山岳へゴールする151.6km。今大会のクイーンステージだ。

リーダージャージを獲得したキナンチームは、少人数の逃げを容認して集団を落ち着かせ、最後の登りで出来るだけチーム全体でリカルド・ガルシアをアシストしていく作戦で臨む。

リーダージャージを着てスタートリーダージャージを着てスタート photo:Satoru.Kato
この日は、終盤の登りでの勝負を各チーム想定してか、序盤から牽制気味にレースは進行。残り10kmから始まる登りで、ピシュガマンサイクリングチームの3人が先行。これをリカルド・ガルシアを含む4人が追いかけるも捕まらず。

山岳賞ジャージを着るアミール・コラドウズ(ピシュガマンサイクリングチーム)がステージ優勝。チームメイトのレザ・ホセインとラヒーム・エマミが続き、ピシュガマンサイクリングチームが1位から3位を独占した。リーダージャージのリカルド・ガルシアは3分近く遅れて6位でゴール。リーダージャージを失って総合3位に後退した。

第4ステージ 優勝したアミール・コラドウズ(ピシュガマンサイクリングチーム)が総合首位に第4ステージ 優勝したアミール・コラドウズ(ピシュガマンサイクリングチーム)が総合首位に photo:Satoru.Kato第4ステージ 3分近く遅れたリカルド・ガルシアは総合3位に後退第4ステージ 3分近く遅れたリカルド・ガルシアは総合3位に後退 photo:Satoru.Kato

第4ステージ ピシュガマンサイクリングチームが上位を独占第4ステージ ピシュガマンサイクリングチームが上位を独占 photo:Satoru.Kato第4ステージ 総合首位のアミール・コラドウズ(ピシュガマンサイクリングチーム)と、総合2位のダディ・スリャディ(トレンガヌサイクリングチーム)第4ステージ 総合首位のアミール・コラドウズ(ピシュガマンサイクリングチーム)と、総合2位のダディ・スリャディ(トレンガヌサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato


第4ステージまでを終えて、個人総合首位、山岳賞、ポイント賞をコラドウズが独占。イラン勢が強さを見せつける展開となっている。個人総合順位は、3位までが3分以内。標高1,000m超の山岳ステージも残っており、勝負の行方はまだまだわからない。



ツール・ド・シンカラ2016 第4ステージ終了時各賞順位

個人総合時間賞
1位 アミール・コラドウズ(ピシュガマンサイクリングチーム) 
2位 ダディ・スリャディ(トレンガヌサイクリングチーム) 
3位 リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム) 
4位 ラヒーム・エマミ(ピシュガマンサイクリングチーム) 
5位 レザ・ホセイン(ピシュガマンサイクリングチーム) 
6位 モハンマド・ラジャブルー(ピシュガマンサイクリングチーム) 
12h19'58"
+1'22"
+2'55"
+4'31"
+4'44"
+7'58"


ポイント賞
1位 アミール・コラドウズ(ピシュガマンサイクリングチーム) 39p
2位 リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)     35p
3位 アグン・アリ・サハバナ(KFCサイクリングチーム)     31p

山岳賞
1位 アミール・コラドウズ(ピシュガマンサイクリングチーム) 47p
2位 ダディ・スリャディ(トレンガヌサイクリングチーム)   30p
3位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)    26p

チーム総合時間賞
1位 ピシュガマンサイクリングチーム 37時間9分55秒
2位 トレンガヌサイクリングチーム  +23分46秒
3位 キナンサイクリングチーム    +32分56秒

text&photo:Satoru.Kato

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