落車したマイヨジョーヌがバイクを置いてランニングする光景が繰り広げられたツール第12ステージ。救済措置によって総合首位の座を守ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)らのコメントを紹介します。



ステージ優勝を飾ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)

ツールのステージ初優勝を飾ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)ツールのステージ初優勝を飾ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:TDWsport/Kei Tsuji
山岳賞トップに立ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)山岳賞トップに立ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:TDWsport/Kei Tsujiライバルたちに脚を使わせるために、登りが始まったタイミングで(チームメイトの)アンドレ・グライペルがアタック。彼はレース中ずっとボトルを運んでくれ、アドバイスを与えてくれ、そして風よけとなって走り続けてくれた。普段自分がしていることの逆だった。彼がどれだけ素晴らしい人物なのか分かってもらえると思う。

ステルヴィオでの勝利は、総合表彰台につながるものだったし、今回よりもエモーショナルだった。でもこれは世界最大のレースであるツール・ド・フランス。キャリアの中で最高の勝利だと言える。残るはブエルタ・ア・エスパーニャでのステージ優勝だけ。来年以降はジロとツールをスキップしてブエルタに出場し、全グランツールのステージ優勝を狙いたい。

単独で抜け出してフィニッシュしたバウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)

メイン集団から抜け出したままフィニッシュするバウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)メイン集団から抜け出したままフィニッシュするバウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:TDWsport/Kei Tsuji落車の混乱で足止めを食らい5分24秒遅れの扱いとなったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)落車の混乱で足止めを食らい5分24秒遅れの扱いとなったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Makoto.AYANO調子が良かったのでフルームとポートと肩を並べる走りができた。それまで集団後方で走っていたのでアタックへの反応が遅れたものの、フルームとポートがそこまで踏んでいなかったので合流。

でも残り1kmを切ったところで落車が発生。自分に何が起こったのか全くわからなかった。気が付いたらフルームとポートと一緒に地面に投げ出されていた。観客がバイク急停止の原因だったのかもしれないけど、実際に見ていないので分からない。幸い自分の自転車は壊れていなかったのですぐに再スタート。そこからフィニッシュまでただ闇雲に踏み続けた。

明日以降も観客が多く訪れる山岳が登場する。観客が詰め掛けると危険なので、せめて残りの数キロはフェンスが必要だ。

フルームから19秒のタイムを失ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

今日は波乱の連続。向かい風が強かったので集団で走っていると、落車したポートとフルームに追いついた。落車は運営側の問題であり、モーターバイクと観客の双方に責任がある。

救済措置によってマイヨジョーヌを守ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

長い審議の末にマイヨジョーヌキープが決まったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)長い審議の末にマイヨジョーヌキープが決まったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
サイズの合っていないニュートラルバイクで走るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)サイズの合っていないニュートラルバイクで走るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsujiアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) photo:Makoto.AYANOモンヴァントゥーではいつも何かが起こる。今日も例外ではなく、サプライズの連続だった。目の前を走っていたモーターバイクが突然ストップし、リッチーとバウク・モレマと自分が避けきれずに衝突して落車。後ろから突っ込んできたモーターバイクに踏まれてバイクが壊れてしまった。スペアバイクが載っているチームカーが遥か後ろを走っているとわかっていたので、仕方なく走ったんだ。

コミッセールの判断を歓迎する。正しい判断だと思う。コミッセールとツール主催者に感謝だ。ツールでは予想外のことが起こるんだと身構えておく必要が有る。前から言っているように今回のツールは過去最大のチャレンジ。明日のタイムトライアルが楽しみだ。

総合2位につけるアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)

ロードレースは数ある中でも最も観客と選手が近いスポーツ。もちろんリスクを伴う。今日は調子が良かったもののフルームとポートには付いていけなかった。もし仮にマイヨジョーヌが手元にやってきても、こんな形で総合首位に立つのは好ましくないと思っていた。コミッセールは良い判断をしたと思う。

明日は自分の得意分野ではないタイムトライアル。ライバルたちとのタイム差を出来るだけ少なく抑えたい。

フルームと落車したリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)

壊れたバイクをもって走るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)壊れたバイクをもって走るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
混沌としていた。観客が道全体に広がって、自分の目の前でモーターバイクが止まった。行き場をなくして突っ込むしかなかった。すぐ後ろを走っていたフルームが自分の上を転がっていった。モレマと同タイム扱いになって良かったけど、落車による身体への影響が心配だ。

観客のコントロールが効いていない状態だった。レース会場に来てその場を楽しみたい気持ちはわかるけど、選手と一緒に走る必要もないし、選手と接触したり背中を押す必要もない。どうして終盤にフェンスが設置されていなかったのかは分からない。観客の99%は素晴らしいけど、中には並走してセルフィーを撮ろうとする観客もいる。情熱と馬鹿げたことを混同してはいけない。

混乱のステージを振り返るホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

平坦区間では横風が吹いてエシュロンが形成され、ナーバスでストレスいっぱいのステージだった。モンヴァントゥーの登りが始まってからは脚の調子を感じて、クロイツィゲルやマーティンからリードを奪うことができた。終盤の落車は残念な出来事だ。もちろん事故は起こる事なのでそれ以上は何も言えない。でも事故を撮ろうと群がるフォトグラファーたちがとにかく邪魔だった。

text:Kei Tsuji

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