超級山岳ジブラルタルロードで総合争いが勃発。昨年総合2位に甘んじたジュリアン・アラフィリップが鮮烈なアタックでステージ優勝を飾り、総合首位に躍り出た。



太平洋に面した西海岸を北上する太平洋に面した西海岸を北上する photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes


ツアー・オブ・カリフォルニア2016第3ステージ コースプロフィールツアー・オブ・カリフォルニア2016第3ステージ コースプロフィール ブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームウィギンス)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)のマディソンコンビが談笑ブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームウィギンス)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)のマディソンコンビが談笑 photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodesメイン集団をコントロールするキャノンデールプロサイクリングメイン集団をコントロールするキャノンデールプロサイクリング photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes序盤から逃げた7名序盤から逃げた7名 photo:www.amgentourofcalifornia.com/Doug Pensingerツアー・オブ・カリフォルニアは折り返しを待たずにクイーンステージへと直面。大会スポンサーのアムジェン社があるサウザンドオークスを出発し、超級山岳ジブラルタルロード山頂へと至る167.5kmがその舞台だ。

最後に控えるジブラルタルロードは登坂距離12kmで平均勾配は8%にも達する。そこに至るまではほとんど平坦路が続くため、有力選手による純粋なステージ=総合争いが繰り広げられるものと予測されていた。

逃げるピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)とラクラン・モートン(オーストラリア、ジェリーベリーp/bマキシス)逃げるピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)とラクラン・モートン(オーストラリア、ジェリーベリーp/bマキシス) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes単独でフィニッシュを目指すピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)単独でフィニッシュを目指すピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodesスタート直後の登りで飛び出したのは、前日にベンジャミン・キング(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)と逃げ切りを成功させ、山岳賞首位に立っているエヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)や、初日に逃げた同2位のオスカル・クラーク(アメリカ、ホロウェスコ)、ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック・セガフレード)を含む7名。

山岳賞を狙ってハフマンとクラークは激しく競り合った結果、1つめの3級山岳はハフマン、2つめの2級山岳はクラーク、そして121km地点の3級山岳をハフマンがそれぞれ先着し、結果的に山岳賞の変動は無し。合計25ポイントを稼いだハフマンはフィニッシュを待たず、この日終了時点での山岳賞首位を決めている。

前日追い込みが遅れリーダージャージが動いたことで、この日キャノンデールプロサイクリングはタイム差3分ほどで終始レースをコントロール。ジブラルタルロード終盤のアタック合戦勃発までプロトンを牽ききった。

逃げグループをじわじわと追い詰める集団内ではブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)とピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)が絡む落車が発生し、激しく身体を打ち付けたケノーはその場でリタイアを選択。大きな怪我は見つからなかったものの、チームスカイにとってはジロ・デ・イタリアからのミケル・ランダ(スペイン)離脱と合わせ受難の1日となってしまう。

ジブラルタルロードの麓に到達する頃には逃げグループも分裂し、最後まで粘ったグレゴリー・ダニエル(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)も残り10kmで吸収。するとダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)とニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)が抜け出した。

今大会最年少、19歳のパウエルスは後方に戻るウィスを切り離して単独となり、テンポを上げて独走態勢を築きあげる。ハイケイデンスで登り続けるパウエルスに対しては、残り5kmでラクラン・モートン(オーストラリア、ジェリーベリーp/bマキシス)がメイン集団から追走を開始する。

そこに「総合を狙うチャンスがあるとしたら、最終盤のアタック合戦まで待っては分が悪い。だから早めに仕掛けて距離を稼いでおく必要があった。ライシー(モートン)はマークしておく必要がある選手と踏んでいたので、彼の動きに合わせて一緒に逃げた」と言うピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)が合流し、暫しの追走を経てパウエルスに追いついた。

やがて先頭からはステティーナが抜け出したものの、精鋭メンバーのみとなったメイン集団も間髪入れずに追い上げてくる。「向かい風で思うようにペースが上がらなかった」というステティーナには、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)を千切った前回大会総合2位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)が単独で合流に成功する。



独走勝利を飾ったジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)独走勝利を飾ったジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Ezra Shaw


ステージ表彰台 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)が中央に立つステージ表彰台 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)が中央に立つ photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodesリーダージャージに袖を通したジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)リーダージャージに袖を通したジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodesそして残り1km、息を整えたアラフィリップはゴール前で再び加速すると、ステティーナには打つ手無し。最終的にアラフィリップはステティーナを15秒、ベネットを25秒引き離してフィニッシュ。ボーナスタイムと合わせて一躍総合首位に浮上してみせた。

「今シーズン初勝利ということもあって、とても嬉しい。登りでは終盤になるにつれて全員の緊張感が高まっていて、誰もが仕掛けるタイミングを待っていた」とは、23歳のアラフィリップ。「調子良く感じていたし、ゴールに向けて全力でアタックした。ステージ前の目標としては、最終盤に良いポジションにつけていることだった。実際にうまくいったわけだが、1日を通してアシストしてくれたチームメイトに感謝したい。毎日リーダージャージを獲るために準備を重ねてきたが、今日は全てがうまく働いた」とレースを振り返った。

クイーンステージを終えてアラフィリップの総合リードは19秒。1分差以内に未だ9名がつけており、TTを得意とするローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)は58秒差の8位。しかし第6ステージの個人TTは20kmと短距離であるため、アラフィリップ有利であることには変わりない。

翌第4ステージはモロ・ベイをスタートし、世界的に有名なサーキットコース「ラグナ・セカ」を走りフィニッシュする217kmだ。



ツアー・オブ・カリフォルニア2016第3ステージ結果
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
2位 ピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)
3位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
4位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
5位 ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
6位 ローレンス・テンダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
7位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ジェリーベリーp/bマキシス)
8位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
9位 サミュエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
10位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)
4h36’59”
+15”
+25”
+27”
+30”
+33”
+35”
+48”

+59”


個人総合成績
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
2位 ピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)
3位 ジョージ・ベネット(オーストラリア、ロットNLユンボ)
4位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
5位 ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
6位 ローレンス・テンダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
7位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ジェリーベリーp/bマキシス)
8位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
9位 サミュエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
10位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレック・セガフレード)
12h49’47”
+19”
+31”
+37”
+40”
+43”
+45”
+58”

+1’09”


ポイント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 

山岳賞
1位 エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)

ヤングライダー賞
1位 ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)

チーム総合成績
1位 BMCレーシング

text:So.Isobe
photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes


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