大学生のクリテリウム王者を決める大会は1か月前の神宮外苑大会の再現に。男子は岡本隼(日本大)が圧勝、女子は入学したばかりの岡本二菜(日本体育大)が優勝した。



男子 1回目のポイント3位争いは岡本隼(日本大)が制しこのまま逃げの態勢へ男子 1回目のポイント3位争いは岡本隼(日本大)が制しこのまま逃げの態勢へ photo:Hideaki TAKAGI
クラス3 松下綾馬(京都産業大)が独走優勝クラス3 松下綾馬(京都産業大)が独走優勝 photo:Hideaki TAKAGI日本学生自転車競技連盟が主催する全日本学生選手権クリテリウム大会は、学生のクリテリウム王者を決める大会。今年は第18回を数え、会場は第15回からと同じ滋賀県東近江市の東近江ふれあい公園で4月29日に行われた。
女子 斎藤望(日本体育大)を追う江藤里佳子(鹿屋体育大)ら女子 斎藤望(日本体育大)を追う江藤里佳子(鹿屋体育大)ら photo:Hideaki TAKAGI女子 1年生の岡本二菜(日本体育大)が優勝女子 1年生の岡本二菜(日本体育大)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
この大会は伝統的に西日本の大学が活躍しており、第1回の大内薫(京都産業大)に始まり辻貴光・善光兄弟(立命館大)による5勝、第9回からは鹿屋体育大による7勝、そして昨年は秋田拓磨(朝日大、現シマノレーシング)が優勝するなど歴代の優勝者はその後も活躍しているのが特徴。

コースは河川敷の舗装路1周2kmでほぼ平坦だが風が強く、レース当日は時折風速10m近い強い風が吹き続け、どのクラスも風との戦いでメイン集団と呼べるものが存在しないほどに分断した。

男子クラス3は松下綾馬(京都産業大)が独走優勝

普及大会の位置づけの男子クラス3は、出走者上位5%以内はクラス2に昇格となりインカレなどの出場資格を得られるもの。序盤から松下綾馬(京都産業大)、佐藤大紀(中京大)、平林楓輝(明星大)の3人が逃げ、最終的に松下単独となり強風の中を独走した松下が優勝。これで松下と2位佐藤がクラス2へ昇格となった。

女子は1年生の岡本二菜(日本体育大)が優勝

女子は日本体育大が2015年度ロードレースポイントラインキング1位など第一人者の斎藤望ら4名が参加。序盤から1年生の岡本二菜や斎藤らがアタックを繰り出し他選手に脚を使わせる。最終周回で江藤里佳子(鹿屋体育大)がアタックしこれに岡本が反応してフィニッシュへ。バックストレートの追い風区間で独走した岡本が逃げ切って優勝。ラバネロで参戦した3月の神宮外苑クリテに続いて優勝を果たした。

優勝した岡本は4月に入学したばかり。「今日は順番に逃げたりチームとして動きました。風が強かったのですが、先輩のサポートで勝つことができ嬉しいです」と語る。

男子は岡本隼(日本大)と小林和希(明治大)が逃げる

男子決勝は予選2組を勝ち抜いた計50名によって20周40kmで行われた。このクラスのみポイントレース方式で2周毎に1位から5点3点2点が、フィニッシュ時はその倍点が得られる。強風のため序盤から集団が分断しサバイバルなレース展開になる。順天堂大8名を筆頭に朝日大6名、鹿屋体育大は昨年のTOJ東京ステージ5位の黒枝咲哉ら5名。早稲田大はジュニアネイションズカップステージ優勝の孫崎大樹ら5名。日本大は神宮外苑クリテ覇者の岡本隼、2015年インカレロード覇者の吉田悠人そしてジュニア世界戦など出場の草場啓吾の3名。

男子 50名が決勝に挑む男子 50名が決勝に挑む photo:Hideaki TAKAGI男子 2周目へ、廣瀬元輝(立命館大)がアタックし1回目5点獲得男子 2周目へ、廣瀬元輝(立命館大)がアタックし1回目5点獲得 photo:Hideaki TAKAGI

1周目から廣瀬元輝(立命館大)が逃げ1回目のポイントを1位通過する。3位争いを岡本隼(日本大)が制し、そのまま逃げの体制に入る。逃げに入ったのは岡本、2015年シーズンRCS総合優勝で昨年大会3位の小林和希(明治大)そして重田兼吾(順天堂大)。メイン集団は草場啓吾(日本大)が抑え逃げを確定させる。先頭はやがて岡本と小林の2名になり岡本がおもにリードして逃げ続ける。メイン集団は分裂し優勝候補の一人の黒枝は後方へ。

先頭は岡本が1位通過を繰り返し小林とともに逃げを確定。3位争いは終盤に重田兼吾(順天堂大)が集団トップ通過を繰り返し浮上。最終周回に単独抜け出した岡本はフィニッシュ時の倍点も獲得し優勝。これに小林、そしてメイン集団の戦いを制した重田が続いた。岡本の強さは圧倒的。神宮ではブリッジのタイミングとチームメイト森口寛己の動きが大きかったが、この日は岡本自身の力で抜け出した印象が強い。決勝に日本大は3名のみの出場と少数派でかつ吉田は序盤にメカトラで離脱していた。

男子 黒枝咲哉(鹿屋体育大)らは前に上がれない男子 黒枝咲哉(鹿屋体育大)らは前に上がれない photo:Hideaki TAKAGI男子 5回目のポイント3位の伊藤宏人(順天堂大)男子 5回目のポイント3位の伊藤宏人(順天堂大) photo:Hideaki TAKAGI

男子 40分経過、逃げ続ける岡本隼(日本大)と小林和希(明治大)男子 40分経過、逃げ続ける岡本隼(日本大)と小林和希(明治大) photo:Hideaki TAKAGI男子 岡本隼(日本大)が終始リードして圧勝男子 岡本隼(日本大)が終始リードして圧勝 photo:Hideaki TAKAGI

「逃げ切れるだけの練習はしてきた」優勝の岡本隼(日本大)

「序盤から逃げてどこまで持つかと思うところもありましたが、40kmの距離を逃げ切れるだけの練習はしてきました。小林さんと安心して逃げることができたことも大きいです。メイン集団ではチームメイトも動いてくれてチームで獲得した勝利と思います」

男子 表彰男子 表彰 photo:Hideaki TAKAGI女子 表彰女子 表彰 photo:Hideaki TAKAGIクラス3 表彰クラス3 表彰 photo:Hideaki TAKAGI大学生のレースはこの後、5月下旬からチームTTと個人TTそして6月に個人ロードとビッグレースが続き、8月の修善寺でのインカレへと続く。動向が気になるインカレに向けての各大学の勢力分野だが、現在のところ日本大の勢いが良い。2012年まで総合30連覇を達成した日本大、2013年から3連覇の鹿屋体育大。この2校を中心に数校が拮抗する展開が予想される。今春入学した1年生の走りも大きく影響を与えるだろう。

結果

男子 40km
1位 岡本隼(日本大)50点 1時間01分34秒3
2位 小林和希(明治大)31点
3位 重田兼吾(順天堂大)11点
4位 廣瀬元輝(立命館大)7点
5位 伊藤宏人(順天堂大)4点
6位 野本空(明治大)2点
7位 青野将大(法政大)2点
8位 草場啓吾(日本大)
9位 黒枝咲哉(鹿屋体育大)
10位 原裕紀(順天堂大)

女子 24km
1位 岡本二菜(日本体育大)43分19秒16
2位 江藤里佳子(鹿屋体育大)+04秒
3位 斎藤望(日本体育大)+24秒
4位 宮田菜摘(朝日大)+26秒
5位 高田奈生(鹿屋体育大)+2分01秒
6位 伊藤真生(日本体育大)+2分02秒

男子クラス3 24km
1位 松下綾馬(京都産業大)38分22秒
2位 佐藤大紀(中京大)+23秒
3位 平林楓輝(明星大)+33秒

photo&text:高木秀彰

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