日本からマトリックスパワータグも参加したブエルタ・ア・アンダルシア。「ルタデルソル(太陽のレース)」と呼ばれるこのレースで、最終日の1級山岳を制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が自身4度目の総合優勝を飾った。
チームプレゼンテーションに登場したマトリックスパワータグ photo:www.vueltaandalucia.es
第2ステージ リーダージャージを着用したダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ) photo:www.vueltaandalucia.es
第3ステージ リーダージャージのナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)をチームメイトが守って走る photo:www.vueltaandalucia.es2月17日から21日までの5日間、スペイン南部のアンダルシア地方を舞台に行われたブエルタ・ア・アンダルシア。オーストラリアや南米、中東などの遠隔地レースを避けた選手たちや、同日程開催のヴォルタ・アン・アルガルヴェを見送った選手たちがここでスタートを切った。
第5ステージ BMCレーシングがコントロールするメイン集団 photo:www.vueltaandalucia.es
第5ステージ 残り7km地点から飛び出したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が独走 photo:www.vueltaandalucia.es
第5ステージ 追撃を試みるティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)ら photo:www.vueltaandalucia.es出場したのは10のワールドツアーチームを筆頭とする24チームで、日本からはマトリックスパワータグ(トリビオ、フェルナンデス、佐野、土井、吉田、安原、田窪)も。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やバウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)らは今季初のステージレース参戦となり、ツール・ド・サンルイスに出場したラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)らも顔を揃えた。
山頂ゴールが2つ設定された昨年とは異なり、今年は開幕から3つのスプリントステージが続き、4日目に21kmの個人タイムトライアルが、そして最終日には1級山岳アルト・デ・ペニャスブランカスが用意されたステージレイアウトに。
予想通りゴール勝負に持ち込まれた開幕からの3ステージは、ティンコフが初日(ダニエーレ・ベンナーティ)と3日目(オスカル・ガット)を制し2勝。第2ステージはナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)が獲り、それぞれが今季初優勝。ポイント賞リーダーは11位→3位→2位と上位に絡み続けたベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)が獲得している。
迎えた4日目の個人タイムトライアル。細かなアップダウンが続く21kmコースの最速タイムは今季3戦目のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)の27分05秒だった。「追い風かつ登りと下りが続いたのでペース配分がとても難しかった」と語るヴァンガーデレンはウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)を2秒、ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)を7秒抑え、総合首位で最終日のクイーンステージを迎えた。
ブエルタ・ア・エスパーニャにも登場する1級山岳アルト・デ・ペニャスブランカスへと至る最終日。ワウト・ポエルス(オランダ)らを擁するチームスカイがコントロールする集団から仕掛けたのはダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター)。この動きはすぐに封じ込められたものの、モレーノからバトンを受けたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が鮮烈なアタックを敢行した。
「他の選手が苦しんでいたので、総合を獲るならロングアタックするしかないと思った」と、残り7km地点から飛び出したバルベルデ。すぐさま1分近くのリードを得ると、追いすがるヴァンガーデレンやバウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)を寄せ付けずに独走でフィニッシュし、タイム差を逆転し総合優勝してみせた。
2012〜2014年に続く、2年ぶり4回目のブエルタ・ア・アンダルシア総合優勝を一発で決めたバルベルデは、「これまでの3勝とは違い、とてもリラックスしてレースに臨むことができた。オフシーズンには良い練習を重ねることができたし、36歳にもかかわらず世界最高峰の選手たちと同レベルにあることを嬉しく思う」とチームサイト内でコメント。バルベルデは今年、ミラノ〜サンレモやフランドル・アルデンヌ両クラシックを経てジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスにダブル出場する予定だ。
「残り3kmで追撃を試みたけれど届かなかった。バルベルデに脱帽さ。」とは、追い上げ届かず総合2位に甘んじたヴァンガーデレン。「でもシーズンは始まったばかりだし、良い感触を得ることができた。このまま調子を上げていきたい」と加えた。
4度目の総合優勝を果たしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:www.vueltaandalucia.es
最終ステージDNFでレースを終えた土井雪広は、自身のInstagramで「最後は完走までたどりつかなかったけど、アンダルシアのツアーを怪我なく、700キロの道のりを走った。ヨーロッパはやっぱりいつ来ても皆リアルだ。ゾクゾクワクワクする」と心境を語っている。
選手コメントは各チーム公式サイト、SNSより。
ブエルタ・ア・アンダルシア2016
2月17日(水)第1ステージ モナステール・ラ・レアル〜セビーリャ 165.2km
第1ステージ 開幕スプリントを制したダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ) photo:www.vueltaandalucia.es
1位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ) 3h56’02”
2位 ベアト・ヴァンレルベールへ(ベルギー、トップスポーツ・フラーンデレン)
3位 ファンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
4位 オスカル・ガット(イタリア、ティンコフ)
5位 ジス・ファンホッケ(ベルギー、トップスポーツ・フラーンデレン)
2月18日(木)第2ステージ パロマレス・デル・リオ〜コルドバ 186.3km
第2ステージ 表彰式に立つナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) photo:www.vueltaandalucia.es
1位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) 4h39’33”
2位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
3位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
4位 クリストフ・ラポルテ(フランス、コフィディス)
5位 レイモンド・クレダー(オランダ、ルームポット)
2月19日(金)第3ステージ モナチル〜パドゥル 157.9km
第3ステージ オスカル・ガット(イタリア、ティンコフ)が集団スプリントを制する photo:www.vueltaandalucia.es
1位 オスカル・ガット(イタリア、ティンコフ) 3h51’17”
2位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
3位 レイモンド・クレダー(オランダ、ルームポット)
4位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
5位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
2月20日(土)第4ステージ アラウリン〜アラウリン 21km(個人TT)
第4ステージ トップタイムで優勝したティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:www.vueltaandalucia.es
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) 27’05”
2位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +02”
3位 ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング) +07”
4位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング) +15”
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエナジー) +17”
2月21日(日)第5ステージ サン・ロケ〜アルト・デ・ペニャスブランカス 171km
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 4h46’51”
2位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +36”
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +42”
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +48”
5位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ・ティンコフ) +1’07”
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 17h41’10”
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +26”
3位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +52”
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +56”
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1’11”
text:So.Isobe
photo:






山頂ゴールが2つ設定された昨年とは異なり、今年は開幕から3つのスプリントステージが続き、4日目に21kmの個人タイムトライアルが、そして最終日には1級山岳アルト・デ・ペニャスブランカスが用意されたステージレイアウトに。
予想通りゴール勝負に持ち込まれた開幕からの3ステージは、ティンコフが初日(ダニエーレ・ベンナーティ)と3日目(オスカル・ガット)を制し2勝。第2ステージはナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)が獲り、それぞれが今季初優勝。ポイント賞リーダーは11位→3位→2位と上位に絡み続けたベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)が獲得している。
迎えた4日目の個人タイムトライアル。細かなアップダウンが続く21kmコースの最速タイムは今季3戦目のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)の27分05秒だった。「追い風かつ登りと下りが続いたのでペース配分がとても難しかった」と語るヴァンガーデレンはウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)を2秒、ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)を7秒抑え、総合首位で最終日のクイーンステージを迎えた。
ブエルタ・ア・エスパーニャにも登場する1級山岳アルト・デ・ペニャスブランカスへと至る最終日。ワウト・ポエルス(オランダ)らを擁するチームスカイがコントロールする集団から仕掛けたのはダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター)。この動きはすぐに封じ込められたものの、モレーノからバトンを受けたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が鮮烈なアタックを敢行した。
「他の選手が苦しんでいたので、総合を獲るならロングアタックするしかないと思った」と、残り7km地点から飛び出したバルベルデ。すぐさま1分近くのリードを得ると、追いすがるヴァンガーデレンやバウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)を寄せ付けずに独走でフィニッシュし、タイム差を逆転し総合優勝してみせた。
2012〜2014年に続く、2年ぶり4回目のブエルタ・ア・アンダルシア総合優勝を一発で決めたバルベルデは、「これまでの3勝とは違い、とてもリラックスしてレースに臨むことができた。オフシーズンには良い練習を重ねることができたし、36歳にもかかわらず世界最高峰の選手たちと同レベルにあることを嬉しく思う」とチームサイト内でコメント。バルベルデは今年、ミラノ〜サンレモやフランドル・アルデンヌ両クラシックを経てジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスにダブル出場する予定だ。
「残り3kmで追撃を試みたけれど届かなかった。バルベルデに脱帽さ。」とは、追い上げ届かず総合2位に甘んじたヴァンガーデレン。「でもシーズンは始まったばかりだし、良い感触を得ることができた。このまま調子を上げていきたい」と加えた。

最終ステージDNFでレースを終えた土井雪広は、自身のInstagramで「最後は完走までたどりつかなかったけど、アンダルシアのツアーを怪我なく、700キロの道のりを走った。ヨーロッパはやっぱりいつ来ても皆リアルだ。ゾクゾクワクワクする」と心境を語っている。
選手コメントは各チーム公式サイト、SNSより。
ブエルタ・ア・アンダルシア2016
2月17日(水)第1ステージ モナステール・ラ・レアル〜セビーリャ 165.2km

1位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ) 3h56’02”
2位 ベアト・ヴァンレルベールへ(ベルギー、トップスポーツ・フラーンデレン)
3位 ファンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
4位 オスカル・ガット(イタリア、ティンコフ)
5位 ジス・ファンホッケ(ベルギー、トップスポーツ・フラーンデレン)
2月18日(木)第2ステージ パロマレス・デル・リオ〜コルドバ 186.3km

1位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) 4h39’33”
2位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
3位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
4位 クリストフ・ラポルテ(フランス、コフィディス)
5位 レイモンド・クレダー(オランダ、ルームポット)
2月19日(金)第3ステージ モナチル〜パドゥル 157.9km

1位 オスカル・ガット(イタリア、ティンコフ) 3h51’17”
2位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
3位 レイモンド・クレダー(オランダ、ルームポット)
4位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
5位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
2月20日(土)第4ステージ アラウリン〜アラウリン 21km(個人TT)

1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) 27’05”
2位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +02”
3位 ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング) +07”
4位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング) +15”
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエナジー) +17”
2月21日(日)第5ステージ サン・ロケ〜アルト・デ・ペニャスブランカス 171km
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 4h46’51”
2位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +36”
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +42”
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +48”
5位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ・ティンコフ) +1’07”
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 17h41’10”
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +26”
3位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +52”
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +56”
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1’11”
text:So.Isobe
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