スプリンターが勝負に絡めないアップダウンコースで行われたチャレンジマヨルカ2日目。残り20kmから独走に持ち込んだジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)が6年ぶりの勝利を掴んだ。



新チームでシーズンインしたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)新チームでシーズンインしたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:Bettini Photo


マヨルカ島北部の丘陵地帯を走るチャレンジマヨルカ2日目のトロフェオ・ポレンサ。標高500m級のカテゴリー山岳を3つ越える153kmコースで、終盤にかけて細かいアップダウンを繰り返す。アタッカーにもスプリンターにもチャンスがある丘陵ステージは序盤から高速化した(最終的な平均スピードは42.1km/h)。

レース序盤に34名という大きな逃げ集団が形成されたが、集団スプリントに持ち込みたいロット・ソウダルとディメンションデータがメイン集団を牽引。およそ100kmにわたって逃げ集団が先行したものの、フィニッシュまで40kmを残して吸収される。

この日最後のカテゴリー山岳であるガリレア峠でメイン集団はバラけ、下り区間で新たに20名が先行を開始。その中からさらにアタックしたブランビッラが独走に持ち込んだ一方で、2日連続勝利を狙ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が白旗を上げたためメイン集団は失速する。勝負は先頭ブランビッラと、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)を含む20名ほどの追走グループの間で繰り広げられることに。

「一度集団から遅れてしまって、復帰してすぐの下りでアタック。何名かが反応して付いてきたけど誰も協力しなかったので、残り20kmでもう一度アタックしたんだ。残り10kmでオフィシャルモトに『後続とのタイム差30秒』と告げられた時、これはオール・オア・ナッシングだと思った。振り返っても誰も見えなかったので全開で逃げ続けた」というブランビッラが15秒ほどのリードを保ったまま残り1kmサインを通過。フィニッシュラインに至る登りをダンシングで進んだブランビッラが、ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)らを2秒差で振り切った。



独走勝利したジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)独走勝利したジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) photo:Bettini Photo
トロフェオ・ポレンサ表彰台トロフェオ・ポレンサ表彰台 photo:Bettini Photo


2010年6月のGPノビリルビネッテリーエ以来となる、実に6年ぶりの勝利(プロ2勝目)を飾ったブランビッラは「勝利という忘れかけていた感覚を取り戻したかった。これまでになく調子は良いし、2016年は勝利の年にしたいと思っていたんだ」と久々の金星を喜ぶ。

現在28歳のブランビッラは2012年ジロ・デ・イタリアで総合13位の成績を残しているクライマーで、2013年にコルナゴCSFバルディアーニからオメガファーマ(現エティックス)に移籍。2015年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで鎖骨を骨折したためシーズン前半を棒に振ったが、シーズン後半にかけてブエルタ・ア・エスパーニャ総合13位、イル・ロンバルディア10位、アブダビツアー総合6位という成績を残している。

「この勝利は長く厳しい犠牲の成果だ。クヴィアトコウスキーやカンチェラーラ、バルベルデといった選手の前でフィニッシュするのは物凄く誇らしい。これからもトレーニングに励んで、チームに求められる動きが出来るようにしたい。とにかくこんなに良い形でシーズンをスタート出来て良かったよ。この勝利を彼女と、昨年亡くなった父親に捧げたい。必ず勝利を捧げると父親と約束していたんだ」とブランビッラは締めくくっている(エティックス・クイックステップ公式サイトより)。



チャレンジマヨルカ2016トロフェオ・ポレンサ結果
1位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)   3h32’23”
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)            +02”
3位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)
4位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)
5位 ディラン・ファンバールレ(オランダ、キャノンデール)
6位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)
7位 スコット・スウェイツ(イギリス、ボーラ・アルゴン18)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)
10位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)

text:Kei Tsuji
photo:Bettini Photo

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