独自の設計で人気を誇るBMCのアルミロードバイク「teammachine ALR01」をインプレッション。2015モデルとして同社が久々にリリースした、本格エントリーアルミレースバイクの詳細に迫る。



BMC teammachine ALR01BMC teammachine ALR01 photo:Makoto.AYANO
スイス、グレンヘンに拠点を置くBMCの設立は1994年のこと。歴史が浅いながらもフォナックへの機材供給、BMCレーシングチームの立ち上げ、2011年のカデル・エヴァンスによるツール・ド・フランス制覇やアルカンシエル獲得など、プロロードレースと密接に関わりつつ、独創性と実用性を兼ね備えたものづくりで地位を築き上げてきたブランドだ。

今回テストする「teammachine ALR01」は、同社のオールラウンドレーシングバイク「Altitude」シリーズへと2015年に加わったアルミモデル。下はシマノ・ソラ、上は同アルテグラという4つの完成車パッケージを揃えるエントリーモデルながら、上位のカーボンモデル同様のクオリティを楽しめる本格レーサーだ。

直線的なラインで構成されたリア三角。シートステーは非常に薄い直線的なラインで構成されたリア三角。シートステーは非常に薄い ボリュームのあるダウンチューブ。多角形の断面形状は上位モデルと同様だボリュームのあるダウンチューブ。多角形の断面形状は上位モデルと同様だ フロントフォークは上位カーボンモデルの「teammachine SLR03」と共通だフロントフォークは上位カーボンモデルの「teammachine SLR03」と共通だ


BMCが初めてツール・ド・フランスに出場した際に、フォナックチームが駆ったのがカーボンチューブをアルミラグで繋いだ「SLT01」だった。独特のクロスロックスケルトンラグと呼ばれたラグ構造は周囲を驚かせ、アルミ+カーボンバックのミドルグレード「SL01」などは、世界中で高い人気を得ることになった。

そんなBMCが久々に放ったアルミロードが、teammachine ALR01である。同社のフラッグシップモデル、SLR01と同じ”teammachine”を名乗り、品質の高さはそのままに、ビギナーでも手が届きやすい価格帯を目指している。

iSCという特徴あるシートポスト下の造形。BMCのアイデンティティだiSCという特徴あるシートポスト下の造形。BMCのアイデンティティだ BMCレーシングが使うSLR01を思わせる精悍なカラーリングBMCレーシングが使うSLR01を思わせる精悍なカラーリング

ボトムブラケットはスレッドのJIS式ボトムブラケットはスレッドのJIS式 トップチューブにはスイスデザインをさりげなくアピールするメッセージトップチューブにはスイスデザインをさりげなくアピールするメッセージ


iSCという特徴あるシートポスト下の造形や、コンパクトなリアバックなど、BMCのアイデンティティは完全に瓜ふたつ。ハイドロフォーミングによって形作られた各チューブはカーボン製と見紛う造形で、溶接部も滑らか。内部にはトリプルバテッド加工が施されており、剛性と軽さの両立が図られた。

フレームの上下で明確に分かれた設計思想も見ものだろう。上側1-1/8、下側1-1/2インチのテーパーヘッドチューブから、下側は大口径のダウンチューブ、左右非対称のチェーンステーまでは直線的で力強いデザインに。対してトップチューブは扁平な形状となり、シートステーはアルミとしては最も薄い部類にまで追い込まれている。ちなみにエンデュランスモデルの「granfondoGF02」はシートステーに屈曲を設けているが、このALR01はストレート形状。同じアルミフレームでも、あくまでレースバイクとしての思想が落とし込まれている。

パワー伝達の要でもあるチェーンステー。左右非対称設計を取り入れたパワー伝達の要でもあるチェーンステー。左右非対称設計を取り入れた ハンドル周りはBMCのオリジナル品。フレームとの統一感も高いハンドル周りはBMCのオリジナル品。フレームとの統一感も高い


フロントフォークは上位カーボンモデルの「teammachine SLR03」と共通で、ショルダー部にボリュームを持たせることで高剛性と柔軟性を両立している。54サイズのフレーム重量は1,295g(塗装済、ハンガー等込む)と他社のハイエンドアルミと比較すれば決して軽量ではないものの、高い耐久性はハードなトレーニングライドにも最適と言えるだろう。

また、エントリーモデルだけに汎用性の高い規格が用いられていることも見逃せないポイントだ。ボトムブラケットはスレッド式のJISであり、シートポストは27.2mm径。そしてメンテナンスを行いやすいよう、ワイヤー類は全てフレーム外側を伝う設計とされており、非常にユーザーフレンドリーだ。

シートチューブとシートステーの交点を下げ、リアバックをコンパクトな設計にシートチューブとシートステーの交点を下げ、リアバックをコンパクトな設計に ワイヤー類は全て外出し式に。メンテナンスを行いやすいよう配慮されているワイヤー類は全て外出し式に。メンテナンスを行いやすいよう配慮されている 上側1-1/8、下側1-1/2インチのテーパーヘッドチューブ上側1-1/8、下側1-1/2インチのテーパーヘッドチューブ


販売パッケージはソラ、ティアグラ、105、アルテグラという4つのコンポーネント別に完成車が揃い、クランクやホイールも全てシマノ製品で統一されている。今回のテストバイクは上級モデルのアルテグラ完成車。ホイールはWH-RS11で、完成車重量は8.2kg。プライスタグは26万円だ。

BMCが久々に放つアルミロードレーサー、teammachine ALR01。ただ単なる廉価製品でないことは、フレームに輝くUCI認証マークからも理解できる部分だ。SLR01瓜二つの弟分の性能を、二人のテスターが検証する。



ーインプレッション

「カーボンに匹敵する振動吸収性 レースからツーリングまで幅広く楽しめるバイク」
山崎敏正(シルベストサイクル)


良い意味で期待を裏切られました。アルミの欠点をうまく潰しており、カーボンに匹敵するレベルの振動吸収性をもって非常に滑らかに走ってくれます。北米系メーカーからも盛んに高性能なアルミ製レースバイクがリリースされていますが、それらとも充分に対等するだけの性能があり、よく造りこまれていると感じました。

「カーボンに匹敵する振動吸収性 レースからツーリングまで幅広く楽しめるバイク」 山崎敏正(シルベストサイクル)「カーボンに匹敵する振動吸収性 レースからツーリングまで幅広く楽しめるバイク」 山崎敏正(シルベストサイクル) 同じBMCで比較すると、エンデュランス系のGFシリーズにアルミモデルGF02がありますが、ALR01では更に性能に磨きが掛かったという印象があります。アルミ素材で優れた振動吸収性を実現した一方で、他の性能が犠牲になっていません。思わず欲しくなってしまいましたね。

振動吸収性の高さは、やや細めのフロントフォークによるものでしょう。大きな衝撃はいなしてくれる一方で、適度に路面状況を伝えてきてくれます。ソフトに仕上げたカーボン製エンデュランスモデルと比較すれば、やや多く振動が伝わってきますが、レーシングバイクとしては非常に好感を持てる味付けです。下りでフルブレーキングしても、なんの不安はありません。

同時に、ダウンチューブがとても太いため、ククっと軽快に加速してくれます。エントリーグレードにありがちな鈍重さは一切感じられません。特にダンシングに踏みごたえがありますが、反発力が強すぎるということはありません。登りのダンシングでも、ライダーのパワーを余すことなく推進力に変換してくれます。

私は比較的綺麗にペダルを回すタイプなので、ALR01のように多少硬めの乗り味が好みです。ビギナーさんの場合にはこのバイクを効率的に進められるよう心がければ、ペダリングスキルの向上に繋がるでしょう。全体に不安定な印象が一切なく、走りに落ち着きやどっしりとした感があります。

フレーム単体で1.3kgと、軽いわけではないものの、走っている限りでは重いという印象はありません。できれば決戦用のカーボンホイールを装着して、もう一度試乗してみたいですね。ホイールやハンドル、サドルなどを好みに調整することで、上位モデルを迫る乗り味に化ける可能性も充分に持っています。細かな部分ではエンドの剛性が高いのか、変速が的確に決まってくれる印象がありました。

最も得意とするシチュエーションは平坦のクリテリウムでしょう。落車して壊したとしても金銭面のダメージが少ないという意味でも、オススメですね。一方で、国内は舗装が比較的スムーズなことから、ロングライドでも疲れにくいはず。価格的にもこなれていますから、輪行で多少荒く扱っても気にならないでしょうし、1台でレースからツーリングまであらゆる使い方をするという方には最適ですね。

完成車のパッケージングは全体的に不満は感じないものの、ホイールが重いためなのか、登りで多少引きずる感じがありました。個人的にはロヴァールRapide CLX40を組み合わせて、登り性能を高めてあげたいですね。標準ホイールはそのまま練習用として使用できます。

総じて、1台目として買っても、アップグレードしながら長く乗り続けたいと思わせてくれるバイクです。1台目がアルミでも、2台目がALR 01という選択肢もアリではないでしょうか。他のアルミバイクと比較することで、より魅力的に思えてくれるだけの性能があります。アルミの進化には本当に驚かされますね。

「上位グレードのカーボンに通じる鋭い加速が魅力」
鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)


個人的にアルミの進化は止まったと考えていましたが、今回の試乗でその考えを改めさせられることになりました。ライバル車種はカーボン製がほとんどですが、その中で敢えてアルミを選ぶ意味は反応性にあるといえるでしょう。同価格帯のカーボンにはない鋭い加速を、ALR 01は見せてくれます。踏んだ瞬間からすっと進む感覚は上位グレードのカーボンに通じるものがあります。

非常に太いダウンチューブからも想像できる通り、やはり剛性は高めです。登りでのレスポンスは高いレベルにあり、ダンシングがとても軽快です。一方では、かつてのアルミバイクのように反発が強すぎて疲れてしまうということはありません。ブラインドテストしたら、高級なカーボンと区別が付かないかもしれません。フォークやヘッド周りの剛性が高く、高速域から安心してフルブレーキングすることができます。

「上位グレードのカーボンに通じる鋭い加速が魅力」 鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)「上位グレードのカーボンに通じる鋭い加速が魅力」 鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
ダウンチューブと対照的に、トップチューブはとても細く、ダンシングした際に脚に当たりにくというのは個人的には評価できるポイントです。恐らく、この細さはBMC独自の設計だからこそ成し得たもので、T字断面としたシートチューブ側の造形によって必要な剛性を確保しているのでしょう。カーボンと同じくリアトライアングルをコンパクトとしたのは、剛性を向上させるという意味合いに加え、溶接による熱の集中を避けるためなのかもしれません。

フレーム単体で約1.3gは、他のアルミバイクと比較しても重めですが、重量が走行性能をスポイルしているという印象はありませんし、むしろ軽快感のほうが勝っています。コツコツと若干ながらも振動は伝わってきますが、かつてのアルミを知っている身としては、充分に快適だと感じました。

BBを昨今主流となったプレスフィット式ではなくねじ切り式としたことや、ケーブルを全て外出しとしたことなど、ユーザーフレンドリーな点もこのバイクの大きな魅力ですね。アルミバイクが活況の中にあって、しっかりと他ブランドを研究しているなと思いました。

総じて設計コンセプトの通り、上位モデルの走りをアルミで再現したのがALR 01といえるでしょう。ビギナーに最適なのはもちろんのこと、レースバイクとしての素質を充分に備えています。レースに落車はつきものですから、バイクの価格をなるべく抑えたいけど走行性能も妥協しなくないという競技者におすすめですね。また、レースには出ないけれどロードレーサーならではのスピード感を楽しみたいという方にも。エントリーグレードのアルミだと思って舐めて掛かると、驚かされるはずです。

今回の試乗車はULTEGRA仕様ですが、21万円の105仕様であればライバル車種と比較しても、非常に魅力的なプライス設定ですね。パーツアッセンブルについてはロングゲージのリアディレーラーとロー側32Tのスプロケットが標準装備されている点が好評価です。走破性が高くなることで、ビギナーの方でも安心してハードなコースに走りに行くことができるでしょう。

ホイールを交換するとすれば、高剛性なアルミリムのホイールを組み合わせて、反応性の良さをさらに引き立たせたいですね。マヴィックであればKSYRIUM SLRが良いのではないでしょうか。ロングライドならばR-SYS SLRがオススメですね。

BMC teammachine ALR01BMC teammachine ALR01 photo:Makoto.AYANO
BMC teammachine ALR01アルテグラ完成車
フレーム:トリプルバテッド、ハイドロフォーミング アルミ、TCC、BB68mm JIS
サイズ:47, 51, 54, 57
フォーク:SLR03/ALR01専用、フルカーボン、TCC、1-1/8”、1-1/2”
メインコンポーネント:シマノ105
クランクセット:FC-RS500 50-34T
ブレーキ:BR-R561
ハンドル、ステム、シートポスト:BMCオリジナル
サドル:セラロイヤル Sirio
ホイール:WH-RS11
タイヤ:コンチネンタル Ultra Sport 2 SL 700x23c
重量:8.2kg (カタログ値)
価格:260,000円(税抜)



インプレライダーのプロフィール

鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ) 鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
スポーツバイクファクトリー北浦和スズキの店長兼代表取締役を務める。過去には大手自転車ショップで修行を積んだ後、独立し現在の北浦和に店を構える。週末はショップのお客さんとのライドやトライアスロンに力を入れている。ショップでは個人のポジションやフィッティングを追求すると同時に、ツーリングなどのイベントを開催することで走る場を提供し、ユーザーに満足してもらうことを第一に考えている。「買ってもらった方に自転車を続けてもらう」ことをモットーに魅力あるバイクライフを提案する日々を送っている。

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山崎敏正(シルベストサイクル)山崎敏正(シルベストサイクル) 山崎敏正(シルベストサイクル)
「てnち」のニックネームで親しまれているシルベストサイクル総括店長。選手としてはモスクワオリンピックの日本代表に選出された経験を持つ一方で、サンツアーの開発部に在籍していたことから機材への造詣も深い。現在も現役でロードレースを走る。シルベストサイクルは梅田、箕面、京都と関西に3箇所に店舗を構え「頑張るアスリートのためのショップ」として信頼の技術力や確かなフィッティングサービスなどを提供する。加えて、ロードレースやロングライド、トライアスロン、トレイルランなど様々なジャンルのソフトサービスを展開している。

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ウエア協力:reric

photo:Makoto.AYANO
text:So.Isobe

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