10月8日、アラブ首長国連邦(UAE)で第1回アブダビツアー(UCI2.1)が開幕した。ビッグネーム揃いの中東レースの初日は50度を超える暑さによって距離が短縮。最終スプリントでアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)が勝利した。



砂漠のど真ん中をスタート砂漠のど真ん中をスタート photo:Tim de Waele
ラクダに乗って出発するペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)ラクダに乗って出発するペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waeleレース前半は砂漠の一本道を走るレース前半は砂漠の一本道を走る photo:Tim de Waele


道幅のある幹線道路を走るプロトン道幅のある幹線道路を走るプロトン photo:Tim de Waeleツール・ド・フランス主催者ASOが手がけるツアー・オブ・カタールとツアー・オブ・オマーンに続き、ジロ・デ・イタリアの主催者RCSスポルトがアラブ首長国連邦の最大都市ドバイを舞台にドバイツアーを初開催したのが2014年2月のこと。中東第3のステージレースとしての成功を受け、アラブ首長国連邦の首都アブダビでステージレースが初開催される運びとなった。

プロトンが砂漠の丘を越えていくプロトンが砂漠の丘を越えていく photo:Tim de WaeleUCIレースカテゴリーは他の中東3レースがHC(超級)レースであるのに対して初開催のアブダビツアーは1クラス。しかし出場選手は豪華だ。10月4日のイル・ロンバルディアに出場したビッグネームが10月5日にミラノで開催されたジロ・デ・イタリアのコースプレゼンテーションに出席し、そのまま揃ってアブダビまで移動した。

独走で逃げるフランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)独走で逃げるフランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ) photo:Tim de WaeleこうしたRCSスポルトのパッケージングによってヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)といったビッグネームが揃った。レース期間は10月11日までの4日間。スプリンター向きの平坦ステージが大半だが、第3ステージには標高1025mの本格的な山頂フィニッシュが設定されている。

集団スプリントを制したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)集団スプリントを制したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele初日の第1ステージは内陸に位置するカスール・アル・サラブからマディーナット・ゼイドまでの174kmで行われる予定だったが、高温によってスローペースでレースが進んだためフィニッシュ地点の14.8km周回がカット。全長159.5kmで争われることに。

リーダージャージを手にしたアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)リーダージャージを手にしたアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele4km地点で形成された6名の逃げグループが最大4分のリードを築いたものの、暑さによって選手が次々に脱落する。フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)だけが生き残って逃げ続けたものの、砂漠を貫く直線平坦コースで大集団には立ち向かえない。

残り30kmでメイン集団を飛び出したラファ・シティウイ(チュニジア、スカイダイブドバイ)がチームメイトのマンセボをパスして先頭へ。単独で2分先行したシティウイも残り1kmで吸収され、大集団スプリントに持ち込まれた。

アルカンシェルを着るサガンがダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)のためにリードアウトし、その後ろから加速したグアルディーニが頭一つ抜け出して先着した。

「スタートの時点で気温は53度まで上がっていた。そんな高温の中で走るのは初めての経験。でも表情を見る限り自分は他の選手よりも苦しんでいなかった」。グアルディーニはレース後の記者会見でまず最初に暑さについて語った。

今シーズン8勝目を飾ったグアルディーニは「アスタナは総合成績狙いに特化しているものの、自分はリードアウトトレインを必要としないスプリンター。今日の勝利がジロ・デ・イタリア出場に繋がればと願っている。来年はスプリンター向きのステージが多いからね」とコメント。ニーバリとアルという二大オールラウンダーが出場しているアスタナの中で、グアルディーニは懸命に自分のポジションを確立しようとしている。

選手コメントはレース公式リリースより。



アブダビツアー2015第1ステージ結果
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)       4h21’11”
2位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
3位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)
4位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ)
5位 マルコ・カーノラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
6位 エドウィン・アビラ(コロンビア、コロンビア)
7位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
8位 ホアホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
9位 ミハエル・シュワルツマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
10位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・アルペシン)

個人総合成績
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)       4h21’01”
2位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)    +04”
3位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)     +06”
4位 ポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)           +07”
5位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)
6位 アレッサンドロ・バッツァーナ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア) +08”
7位 ソンゲソ・ジム(南アフリカ、MTNキュベカ)            +09”
8位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ)       +10”
9位 マルコ・カーノラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
10位 エドウィン・アビラ(コロンビア、コロンビア)

ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)

スプリント賞
ポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)

ヤングライダー賞
ソンゲソ・ジム(南アフリカ、MTNキュベカ)

チーム総合成績
ユナイテッドヘルスケア

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

最新ニュース(全ジャンル)