ロンド・ファン・フラーンデレンを彷彿とさせるエネコ・ツアー最終ステージでマヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)が勝利。ライバルたちの攻撃を抑え込んだティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)が2年連続総合優勝に輝いた。



ミュール・ファン・ヘラールツベルヘンが大会のクライマックスミュール・ファン・ヘラールツベルヘンが大会のクライマックス photo:Tim de Waele


エネコ・ツアー2015第7ステージエネコ・ツアー2015第7ステージ image:www.sport.be/enecotourエネコ・ツアーを締めくくる第7ステージはベルギー・フランドル地方のサン=ピエール=ルウからヘラールツベルヘンまでの188.6km。合計17ヶ所の急坂の多くは石畳に覆われており、ロンド・ファン・フラーンデレンでもおなじみのレベルグやベレンドリーシュ、テンボッシュが断続的に登場する。

逃げグループを形成するビョルン・ルークマンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)逃げグループを形成するビョルン・ルークマンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト) photo:Tim de Waele最後はデンデロールトベルグ(石畳/全長700m/平均8.0%)、ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン(石畳/全長1100m/平均8.7%/最大19.8%:通称ミュール・カペルミュール)、ボスベルグ(石畳/全長1000m/平均6.0%)、オンケルゼーレ(アスファルト/全長1500m/平均3.0%)を含む周回コースを2周。フィニッシュラインはミュール・ファン・ヘラールツベルヘンの中腹に引かれている。

ロット・ソウダルとアスタナがけん引するメイン集団ロット・ソウダルとアスタナがけん引するメイン集団 photo:Tim de Waeleレース序盤に形成された14名の逃げグループの中から1回目のミュール・ファン・ヘラールツベルヘンで飛び出したのはビョルン・ルークマンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)、マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)、イヴ・ランパート(ベルギー、エティックス・クイックステップ)という3名。

チームメイトに守られて走るリーダージャージのティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)チームメイトに守られて走るリーダージャージのティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele一方、ロット・ソウダルやアスタナ率いるメイン集団からはドリス・デヴェナインス(ベルギー、IAMサイクリング)やステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)、ミカエル・アンデルセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)らが飛び出して追走グループを形成する。しかし総合争いに影響を及ぼすこの追走グループはロット・ソウダル勢に引き戻された。

ミュール・ファン・ヘラールツベルヘンを駆け上がるマヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)ミュール・ファン・ヘラールツベルヘンを駆け上がるマヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング) photo:Tim de Waele先頭のルークマンス、クインツィアート、ランパートは協調体制を築きながら1分近いリードで連続する急坂をこなし、メイン集団を振り切ってフィニッシュに向かう。ヘラールツベルヘンに至る平均7.6%の石畳坂で勝負が決まると思われたが、残り6kmのデンデロールトベルグでクインツィアートがアタック。ルークマンスとランパートはこの加速に反応できず、クインツィアートの独走が始まった。

ミュール・ファン・ヘラールツベルヘンを走るリーダージャージのティム・ウェレンス(ベルギー、BMCレーシング)ミュール・ファン・ヘラールツベルヘンを走るリーダージャージのティム・ウェレンス(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleエスケープトリオの中で独走力に秀でたクインツィアートが30秒近いリードを広げてヘラールツベルヘンへ。残り1kmを切って始まる登りでベルギー勢2名が追い上げたものの届かず、何度も後方をチェックしたクインツィアートが独走でフィニッシュした。

ミュール・ファン・ヘラールツベルヘンを走るトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)ミュール・ファン・ヘラールツベルヘンを走るトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleクインツィアートはグランツール17回出場のベテラン。2014年ロード世界選手権チームタイムトライアルの優勝メンバーであり、今年クリテリウム・ドゥ・ドーフィネとツール・ド・フランスのチームタイムトライアルでもBMCレーシングの優勝に貢献している。近年はアシスト役に回ることが多いが、2009年にロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベで9位。エネコ・ツアーではリクイガス所属時の2006年にもステージ優勝を飾っている。

「勝つか死ぬか、そんなレースだった」とクインツィアートは振り返る。「後ろを振り向くことはしたくなかったけど、実際は何度も振り向いて確認してしまった。土曜日のステージで総合順位を落としてしまったので今日はステージ優勝だけを狙って走った。ルークマンスとランパートという強力な伴侶を得て理想的な展開に持ち込めたんだ」。ファンアフェルマートとジルベールの二枚看板で挑みながらリーダージャージに届かずにいたBMCレーシングに35歳のベテランが栄光をもたらした。

メイン集団からはグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)らが飛び出して先行したものの大きなタイム差はつかず。42秒遅れのステージ18位で最終日を終えたティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)が2年連続で総合優勝に輝いた。

「昨年の総合優勝は晴天の霹靂だった。2年目の今年はもっと複雑で難しいレースだったよ。ファンアフェルマートやジルベールといった有力選手もいたけど、昨日の第6ステージのサンロッシュでレースの行方は決まった。この勝利は強力なチームメイトたちの努力の賜物。自分に向いているのはグランツールではなく、1週間のステージレース向きだということをこのエネコ・ツアーで改めて感じたよ」。

ウェレンスは今年のパリ〜ニースで総合10位という成績を残したが、初出場のツール・ド・フランスは総合129位。今後はGPプルエーやカナダのUCIワールドツアーレース2連戦、ロード世界選手権に出場し、昨年4位に入ったジロ・ディ・ロンバルディアでシーズンを締めくくる予定だ。

選手コメントはレース公式サイトならびにロット・ソウダル公式サイトより。



ルークマンスらを振り切ってフィニッシュするマヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)ルークマンスらを振り切ってフィニッシュするマヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング) photo:Tim de Waele
総合表彰台、2位ファンアフェルマート、優勝ウェレンス、3位ケルデルマン総合表彰台、2位ファンアフェルマート、優勝ウェレンス、3位ケルデルマン photo:Tim de Waele



エネコ・ツアー2015第7ステージ結果
1位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)       4h18’18”
2位 ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)     +03”
3位 イヴ・ランパート(ベルギー、エティックス・クイックステップ)      +08”
4位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)       +38”
5位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
6位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)           +40”
7位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)
8位 ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)           +42”
9位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
10位 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、オリカ・グリーンエッジ)
18位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)

個人総合成績
1位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)         26h31’59”
2位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)      +59”
3位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)          +1’17”
4位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)          +1’40”
5位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)   +1’48”
6位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)             +1’54”
7位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)      +2’02”
8位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)          +2’11”
9位 クリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)
10位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)

ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)

チーム総合成績
ロット・ソウダル

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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