標高2093mの超級山岳ゴッタルド峠を越えるツール・ド・スイス第3ステージで、31名によるスプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が優勝。総合はトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)が守った。



標高2093mの超級山岳ゴッタルド峠標高2093mの超級山岳ゴッタルド峠 photo:Tim de Waele


ツール・ド・スイス2015第3ステージツール・ド・スイス2015第3ステージ image:www.tourdesuisse.chツール・ド・スイス第3ステージの注目は18.8km地点で通過する超級山岳ゴッタルド峠(12.8km/7.1%)だ。細かい石畳が敷かれた標高2093mの峠を序盤に越え、終盤にかけて2級山岳と3級山岳を立て続けにクリアする。

逃げるステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)ら3名逃げるステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)ら3名 photo:Tim de Waeleステージ全長が117.3kmと短く、スタート直後に超級山岳ゴッタルド峠の登坂が始まることから、スタート時間ぎりぎりまでローラー台でアップする選手が続出。超級山岳ゴッタルド峠に向かう登坂が始まると、ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)とマルコ・マルカート(イタリア、ワンティ・グループグベルト)が飛び出した。

石畳が敷かれた標高2093mの超級山岳ゴッタルド峠を進む石畳が敷かれた標高2093mの超級山岳ゴッタルド峠を進む photo:Tim de Waele単独追走を仕掛けたブラニスラウ・サモイラウ(ベラルーシ、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)が追いついて先頭は3名となり、最大の難所を越えて平坦区間でリードを広げる。先頭3名は6分のリードをキープしたまま残り40kmに差し掛かった。

雪が残る標高2093mの超級山岳ゴッタルド峠を進む雪が残る標高2093mの超級山岳ゴッタルド峠を進む photo:Tim de Waele逃げる3名がいずれも総合下位の選手であったためジャイアント・アルペシンに追撃の意志はなく、代わってティンコフ・サクソが先頭に立ってペースを上げる。残り15km地点の2級山岳レオンティカ通過時点でタイム差は33秒。

落車の影響で絡んでしまったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)のバイク落車の影響で絡んでしまったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)のバイク photo:Tim de Waele最後まで逃げていたデニフルとサモイラウは、下りで集団から飛び出したミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)やヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)を含む精鋭グループに残り9kmで吸収された。

残り8kmでアタックを仕掛けるミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)やヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)残り8kmでアタックを仕掛けるミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)やヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール) photo:Tim de Waele最後の3級山岳アクイラでアルバジーニが再びアタックするとヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)だけが反応。30名強に縮小したメイン集団の先頭では、サガンのためにラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)が一定ペースを作る。頂上手前で飛び出したセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)も、逃げていたアルバジーニもバケランツも、残り6kmで全員吸収された。

スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)やジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)、ローレンス・テンダム(オランダ、ロットNLユンボ)らのカウンターアタックは決まらず、マイカが全てのアタックを処理して残り2km。

ロングスパートを仕掛けたエスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)を追う形で、ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)とサガンがスプリントを開始する。下りコーナーを含む危険なフィニッシュ前で先頭に出たサガンの独壇場だった。

今シーズン4勝目を飾ったサガンは「ラファル・マイカが集団のペースを上げてアタックを封じ込め、集団スプリントに持ち込んでくれた。自分の出番であるスプリントで結果を残せて良かったよ。チームメイトたちの働きがなければ勝利はなかった」とコメント。

サガンはスイスでステージ通算10勝目。ボーナスタイムによってサガンは5秒差の総合3位に浮上した。また、2日連続ステージ2位のモレーノが同じく5秒差の総合2位につけている。

総合首位を守ったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)は「レースは常にコントロール下に置かれていたので、最後までリーダージャージを失う心配はしていなかったよ。いま自分はチームリーダーとして勉強中であり、徐々に板についてきた」と語る。「明日はボーナスタイムが鍵を握る。サガンが総合首位を狙ってくるだろう。でもチームにはジョン(デゲンコルブ)がいる。自分にとって大事なのは水曜日の第5ステージでタイムロスを最小限に抑えることだ」とドゥムランは付け加えた。

選手コメントはチーム公式サイトより。



小集団スプリントで勝利したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)小集団スプリントで勝利したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele

リーダージャージを守ったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)リーダージャージを守ったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) photo:Tim de Waele



ツール・ド・スイス2015第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)        3h00’35”
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
4位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
5位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
6位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)

個人総合成績
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)      6h43’12”
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)              +05”
3位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
4位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)              +07”
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)                    +12”
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)              +14”
7位 スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)                 +15”
8位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)       +18”
9位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)   +19”
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)

ポイント賞
ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)

山岳賞
ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)

ベストスイスライダー賞
スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)

チーム総合成績
チームスカイ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele