Wiggle Hondaに所属し、ヨーロッパを中心として活躍する萩原麻由子。先週末に行われた2つのUCI1.1レース、Grand Prix de Plumelec-Morbihan DamesとGooik-Geraardsbergen-Gooikにてそれぞれ3位に入った。それでは本人のレポートをお届けしよう。



5月29日・30日 Grand Prix de Plumelec-Morbihan Dames  距離108km 

Grand Prix de Plumelec-Morbihan Dames 表彰式Grand Prix de Plumelec-Morbihan Dames 表彰式
西フランス、ブルターニュ地方のPlumelec にて連日2日間で行われたワンデーレースに参加しました。29日はカテゴリーUCI1.2クラス、30日はUCI1.1クラスのレースでした。同週末にはオランダ、スイス、アメリカ、と同時期にUCIレースが開催されていたため、各強豪チームは最高2チームに分かれて遠征しているところが多く、我がチームもオランダとフランス二手に分かれ遠征していました。

このため、フランスでのレースには主に地元フランスのクラブチームが多く参戦し、UCIチームの参加は自分のチームであるWiggle Honda を含め3チームに留まりました。参加人数も100人未満という小集団、スタートリスト上では我がチームが一番強い布陣での参戦となりました。

Grand Prix de Plumelec-Morbihan DamesGrand Prix de Plumelec-Morbihan Dames 集団をコントロールするWiggle Honda集団をコントロールするWiggle Honda こういった状況は一見すると簡単と思われますが、チームとして機能できる強豪チームが少ないと、自分のチームだけでレースを支配せねばならず、別の種類の難しさとハードさが生じます。勝つことは常に簡単ではないと、ロードレースをしていると実感します。

今回の遠征では地元ブルターニュ地方出身の強豪選手、Audrey Cordon-Ragot 選手を中心とした作戦で挑みました。コースレイアウトも起伏の富んだコースという事で、私も最終局面の登りに備えるように指示をもらっていました。レースが始まるとAudery へのマークがきつく、終始集団はスローペースになる場面を繰り返しながら、地元フランスのUCIチームであるFuturescope による攻撃が繰り返し行われました。

1日目のレースでは、常にその動きに対応していたスプリンターのChloe Hoskingを含む4名の逃げがゴールまで逃げ切りを成功させ、Chloe がスプリントを制し優勝、Audreyは集団スプリントの頭で5位となりました。私は最終周等で攻撃できましたが決定的ではなく、最終的には12位と、10位以内入賞によるUCIポイント獲得を逃してしまいました。

翌日の1.1のレースは、先日の小周回に含まれる1~2キロの登りを10周回するコースで行われました。この日もエースであるAudreyから、常にそばにいて最終局面に備えることといわれてスタートしました。この日も序盤からFurturescopeによる攻撃の応酬がはじまり、チームメイトがチェックに回ります。

そしてFurturescopeによる単独エスケープが決まり、その差は最大2分半まで開きました。はじめは自分以外のチームメイト3人でローテーションし、これを追いかけます。その後、もう一つのUCIチーム、スペインのLointekもローテーションに加わり、ラスト4周を手前に逃げを吸収。吸収した瞬間、さらにFurturescope によるカウンター攻撃。その時ちょうど後ろにいた私と数人が続き、5人の逃げが決まりました。

後ろにエースが居るため、ローテーションはそこそこに回し、最少21秒差を保って最終ラップに3人で突入しました。最終ラップ手前でチームの指示により攻撃をしましたが、あまり効果的なアタックにはなりませんでした。足も限界に来ていたため、ぎりぎりまで我慢して一発で行く作戦でラストの坂に。待って待ってラスト300メートル、渾身のアタックをしたところ左ハムストリングスを攣り、先行していたスペインの選手に離され、さらに後ろにいた選手にも抜かされ3位でフィニッシュ。

ラスト500mで渾身のアタックを仕掛けたラスト500mで渾身のアタックを仕掛けた
勝たなければいけない状況下での3位。逃げが決まってからの駆け引きで私が焦ってしまったこと、もっとAuderyを待つべきだったこと、焦りすぎて後手に回るのを恐れてしまい、先走って自滅したこと等、反省点が多く残るレースとなりました。優勝したスペインの選手は21歳と若く、われわれ2チームが見合う中で積極的な走りで最後も制し、強い走りが印象的でした。

レース後は、共に翌日のベルギーのレースへ向かうチームメイトとビールでリカバリーをしてから車に乗り込み、ベルギーへ向かいます。移動時間はトータルで9時間。長距離運転をして下さったチーム監督にも感謝でした。



5月31日 Gooik-Geraardsbergen-Gooik

Gooik-Geraardsbergen-Gooikでフィニッシュする萩原麻由子Gooik-Geraardsbergen-Gooikでフィニッシュする萩原麻由子 (c)Bart Hazen / Wiggle Honda
レースは午後2時過ぎにスタートということで、朝はゆっくりとできました。しかしスケジュールは詰め詰めで、マッサージやローラーでのアップ等もできずそのまま現地入り。このレースはミュールバンヘラズベルゲンやボスベルグといった石畳の激坂を通過するクラシックレース。悪路に加えて、当日は雨と風。苦手三拍子の揃ったレースで、フレッシュではない自分がどこまでできるのか、まったく見当もつかない状態でありました。

ただ言えることは、チームの勝利の為に自分が出来る限りの力を最大限に出し尽くしたいという思いでスタートしました。チームにはクラシック、特に悪天候に強いElisa Longo Borgini 、エーススプリンターのGiorgia Bronzini、トラック五輪チャンピオンの Dani King、クライマーのAnna Sanchis、スプリンターで昨年同レース6位入賞のChloe Hosking と、強力な布陣で臨みました。

Emma Johansonが攻撃を仕掛けるEmma Johansonが攻撃を仕掛ける (c)Bart Hazen / Wiggle Honda 何度も逃げが出来ては吸収される何度も逃げが出来ては吸収される (c)Bart Hazen / Wiggle Hondaこのあと少人数に絞られた集団から3名の逃げに加わった。このあと少人数に絞られた集団から3名の逃げに加わった。 (c)Bart Hazen / Wiggle Honda単独ブリッジを成功させた萩原単独ブリッジを成功させた萩原 (c)Bart Hazen / Wiggle Honda今回のレースキャプテンはGiorgia。彼女を司令塔に、逃げやスプリントといった様々な局面に各選手が備える作戦。80キロ地点にある石畳の激坂「ミュールバンヘラズベルゲン」までは、Orica AIS、Boelsを始め各チームが積極的に攻撃を仕掛けるものの、決定的な逃げは形成されないまま、集団でミュールに突入しました。

実は私にとってここはかつての練習場所でもあり、鮮明ではないものの土地勘がありました。その為、いつミュールに突入するかを予測することができ、先頭ではないものの集団の前方で激坂を登り始めることができました。しかし足がきつく、頂上を越えた時にはElisaを含む、各チームから良いメンバーが入った逃げが決まっていました。

逃げに誰も送り込むことが出来なかったRabobankが働き、小周回の前で集団は一つに。30名前後で最後の1周10キロの小周回に突入します。そこでエースのGiorgiaから、BoelsのEllen van dijkの番手を死守するよう指示を受けます。彼女はTT元世界チャンピオンであり、逃げに入ると非常に危険な存在だから。

それ以外にもEmma Johanson をはじめとする強豪選手が攻撃。これにはElisaが応戦し、一時彼女らを含む逃げが決まりますが、吸収を繰り返します。その脇で私はもはや限界も近く、少し登る丘で毎回遅れ、下りでVan Dijkの番手に戻るという動きを繰り返していました。しかし、Van Dijkも数回アタックし、必死に追走していると、今日の彼女にいつものキレがないなとも感じていました。

それでも大変強い選手なので、付き切れしかけながらもチェックしていると、Oricaの選手がアタック。それを追ってVan Dilkが路肩の隙間を使ってアタック、少し間をおいて私が追走、やっとの思いで追いつきました。しかしあまりのキツさに石畳区間で着き切れし、前にOrica、Van Dilkの2人を先行させてしまい、私は宙ぶらりんの状態に。

ここで集団に戻ると、さらに我がチームにとって最悪で不利な展開となります。しかし前方には2人、うち1人は独走のスペシャリストのVan Dijk。私の脳裏には「無理」の二文字が浮かびます。しかしエースから言われていた指示を外しての失敗は許されません。力の限り前を追走することを決意し、ペダルを踏み込みました。

しかしこの日は強い風と展開が私に味方したのか、向かい風区間で差を縮め、10キロをかけブリッジをかけることに成功。その後、私、Van Dilk、Gracie(Orica)の3人はいずれもスプリンターではなく、また後ろの集団にエースが居るため、ほどほどにローテを回し距離を刻みます。

私も後ろにチームメイトがほぼ残っているので、どうせなら逃げに乗っていないRabobankをはじめとしたほかのチームをもっと痛めつけたいので、捕まるまで全力を尽くそうと思って走ります。ラスト3kmを過ぎ、30秒差。逃げ切れるのか、捕まるのか、何とも言えない状況なので、攻撃を試みるとその動きにOricaのGracieがチェックに入り、それを数回繰り返すともう残り1キロ地点に達しました。

Gooik-Geraardsbergen-Gooik 表彰式Gooik-Geraardsbergen-Gooik 表彰式 (c)Bart Hazen / Wiggle Honda
ラストは緩やかに上る直線ゴール。どうせ最後までついていっても勝機はないので1キロで思い切りアタックしました。当たり前ですが、格上の2人にラスト200mあたりで捲られ3位でゴール。またしても3位という結果でしたが、最終局面で1人で逃げにブリッジをかけられたことは今後の自信に繋がりました。勝ちこそはまだ得られてはいませんが、一段ずつ登り詰めていきたいと思いました。

また苦手な部類に入る、テクニックを要する悪天候でのベルギーのレースで上手く走れた事も、今後の自信となりそうです。翌週はアメリカにて行われるワールドカップに参戦予定です。チームの勝利へ貢献できるよう、しっかり準備して向かいたいと思います。

report:Mayuko Hagiwara
photo:Bart Hazen / Wiggle Honda photographer
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