4月5日に開催されるロンド・ファン・フラーンデレン(UCIワールドツアー)を前に、有力候補たちがコメントを発表。264kmの長丁場に挑むトップ選手たちの意気込みをチェックしておきましょう。

ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele良い流れに乗っているし、それはチームも同じ。今シーズンは出だしから好調で、先週の走りも自信になるものだった。金曜日(E3ハレルベーク)に勝利して日曜日(ヘント〜ウェヴェルヘム)の表彰台に上ったことは大きなモチベーションをあたえてくれる。フランドルでも同じような結果を残したい。

プレッシャーには慣れている。例えば、本当に些細なミスが命取りになる五輪のトラックレースに慣れているので、何も新しいことじゃない。頭の中でプレッシャーを乗り越えて、自分に与えられたことを実行するだけ。でもさすがに優勝候補の一角として感じるプレッシャーは大きい。子どもの頃からテレビの前で観戦し、いつか走ってみたいと夢見ていたレースであり、そこで勝つ可能性があるなんてスペシャルだ。仮に先週良い結果を残していなければ、ライバルからマークに遭うこともなく、プレッシャーからも解放されていたと思う。でもそんなこと関係ないと思えるほど大きな自信を得た。

戦略的なレースになるはず。もちろん最後は脚の勝負になるけど、戦略も大きな鍵を握るんだ。ボーネンとカンチェラーラが欠場する状況の中、BMCやクイックステップ、サガンやファンマルクといったライバルたちがチャンスを狙ってくる。我々も戦略に合わせて、好調のチームメイトとともに走る。フランドルとパリ〜ルーベでは何が起こるか予想不可能だけど、チームの歴史の中で最も良いポジションにつけていることは間違いない。

ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)

ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleロンドに向けて最高のコンディションにある。この数週間にわたって好調さが続いていて、そのピークが週末にやってくることを望んでいる。とてもハードだったヘント〜ウェヴェルヘムから1週間が経ち、しっかりとリカバリー完了。ここまでの走りも悪くなかったけど、もっと大きな結果が欲しい。ケーキの上に乗せる最後のサクランボが欲しい。日曜日に向けて準備は出来た。これが3回目のツール・デ・フランドル出場だ。

水曜日に試走して記憶をリフレッシュしたよ。今日(金曜日)ラスト50kmを走って、記憶に叩き込むとともに、フィニッシュのイメージを視覚化出来た。コースを再確認して細部チューニングする作業は好きだ。

優勝候補に数えられることでレースの展望は変わってくる。これまではただ走って展開に合わせるだけだったけど、これからは展開を作って勝たなければならない。でもチームには優勝候補の一人であるニキ・テルプストラもいる。E3ハレルベークの集団スプリントでアレクサンダー・クリストフを破ったマッテーオ・トレンティンもいるし、独走に持ち込めば誰も追いつけないステイン・ファンデンベルフもいる。つまり勝てる選手が4人いて、あとはどうやってカードを切るかだ。4人全員が安全に、悪い運につかまらないようにして、終盤の勝負どころに挑めればチャンスがある。

トム(ボーネン)の欠場は残念だ。彼は抜群のリーダーシップで牽引してくれるのでチームに平和が訪れる。愛するレースを欠場する彼のためにも、日曜日は勝利を果たしたい。

ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)

ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele脚の感触は良いけど、なんといってもロンドはスペシャルなレースだ。先週日曜日に続いて良い状態でレースに挑みたい。今週は良いリカバリーウィークだった。登場する登りは今シーズンすでに走っているものが多いけど、登り前後の流れが違う。試走を終えた今、ようやくツール・デ・フランドルに向けて気持ちの整理がついたといえる。

今シーズンここまでチームは良い成績を残しているものの、日曜日は表彰台の頂点を目指したい。優勝候補に挙げられていないかもしれないけど、チームはクラシックレースの勝負に常に絡んでいるし、そこに勝利を加えたい。チームとして日曜日の戦いに向けて準備は整っている。自分の強みは長く厳しいワンデーレース。ゼネク(スティバル)やマッテーオ(トレンティン)には爆発力があり、自分とステイン(ファンデンベルフ)には独走力がある。色んなシナリオに対応出来る布陣であり、日曜日のスタートラインに立つのが今から楽しみだ。

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン) photo:Tim de Waeleロンド・ファン・フラーンデレンは点と点をスプリントで結ぶレースだ。気を休める瞬間なんてなく、一日中ずっと集中しなければならない。昨年は良くコントロールされたレースだったけど、カンチェラーラとボーネンがいないことで、日曜日は予測不能かつオープンなレースになるだろう。絶対的な優勝候補がいないので多くの選手にチャンスがある。

オウデクワレモントからフィニッシュまでは激しい攻防になるだろう。オウデナールデ(フィニッシュ地点)に向かうのは精鋭グループになるはずで、その中に残りたい。より大きな集団の勝負になったとしたらチャンスだ。

アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)

アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Tim de Waele昨年の同じ時期と比べると、コンディションは良くもなく悪くもなく。でもスプリント力は向上している。フランドルは過去3年間走っているし、ベルギーで経験を積んだので登りもよく知っている。フランドルで勝つのは決して簡単ではないけど、今のコンディションが日曜日まで続いていることを望む。ミラノ〜サンレモで起きたようなこと(スプリント敗退)がフランドルでも起こり得るけど、あの時は本調子ではなかった。今は最高の調子だ。

トリスタン・ホフマン監督(ティンコフ・サクソ)

サガンを信頼し、彼に託す。彼の調子が良いことは間違いない。ここまでのレースでは運悪く勝負に乗れなかったが、先週からコンディションは着実に上がっており、チームメイトたちは彼を全力でサポートする。ロンドはクラシックの王様であり、勝負を争うのはいつでもビッグネームたちだ。当然トラブルによって脱落することもあるが、最後は決まってビッグネームが肩と肩を突き合わす展開になる。残り50kmから始まるオウデクワレモントとパテルベルグの2セットと、その間にあるコッペンベルグにどれだけフレッシュな状態で挑めるかが鍵を握る。

狭い道で大落車が発生した場合、後方で走っていることが致命的になり得る。だからE3ハレルベークで示したように、常に集団の前に選手を集める必要が有る。ミカエル(モルコフ)、パヴェル(ブラット)、ニコライ(トルソーフ)の3人が前半から集団前方で警備にあたり、レースが重要な局面に達したところでマティ(ブレシェル)、クリス(ユールイェンセン)、マチェイ(ボドナール)がペーター(サガン)を援護する。

マシュー・ウィルソン監督(オリカ・グリーンエッジ)

このレースで勝負に絡むことが出来るのは世界の中でほんの一握りの選手だけ。ファビアン・カンチェラーラやトム・ボーネンには、他のどんな強い選手にもない特殊な能力が備わっている。でも今年はその2人がいない。つまりレースは多くの選手にオープンな状態だ。オリカ・グリーンエッジには石畳クラシックが得意なイェンス・ケウケレールとマシュー・ヘイマンがいる。展開によって彼らにチャンスが回ってくるだろう。でも今回は経験を積むための若手も揃えているので、現実的にはトップ10入りを果たすことができれば成功だと思っている。

ロンドはベルギーにおいて極めて大きな存在であり、ナショナルスポーツイベントと言っていいほど国民全員が関心を寄せる。誰もが好きな選手や好きなチームをもっていて、国民の半分がコース脇に立って応援しているんじゃないかと思うほど。沿道には観客が連なって、その熱気は集団の中からも感じることが出来る。

選手コメントは各チーム公式サイトより。

text:Kei Tsuji