高校選抜ロードを制したのは男女の実力者だった。終始レースをリードし、最も動いた石上優大(神奈川・横浜)が3人のスプリントを制した。女子は昨年に続いて梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)が1周目から独走優勝を飾った。



高校選抜大会最終日4日目は個人ロードレース。3月22日(日)、熊本県山鹿市の公道を舞台にレースが行なわれた。コースは山鹿市菊鹿町あんずの丘を中心とした1周11.5km、標高差100m強と50m強の2つの登坂のある変化に富んだもの。女子は3周、男子は7周で行なわれた。

男子1周目 会場のあんずの丘を駆け上がる集団男子1周目 会場のあんずの丘を駆け上がる集団 photo:Hideaki TAKAGI
オープニングレースは大町健斗(広島・安芸府中)が独走優勝

オープニングロード 全体トップは大町健斗(広島・安芸府中)オープニングロード 全体トップは大町健斗(広島・安芸府中) photo:Hideaki TAKAGI朝一番のレースは、人数制限や資格不足で本戦に出られない高校生、中学生そして一般登録者が出場する3周のオープニングレース。3クラスが同時スタートでクラス別に着順集計するもの。終始積極的に動いたのは高校1年生の大町と一般の白石真悟(シマノドリンキング)。最終周回の上りで大町が抜け出し独走して全体のトップでゴール。

「白石さんたちが下りで追ってくることを考えると1分くらいの差が欲しかったのですが、45秒差と聞いて逃げ切れると思いました。いったん抜け出してからはゴールまで絶対に逃げ切る意思で走り通しました。今日はレース前から逃げて勝つと決めていたので、予定通りです」と大町。1週間前の西日本チャレンジロードではオープン扱いながら、なんとエリートクラスで独走優勝を果たしている。今までアタックを連発してゴールまで届かないことが多かった大町だが、2週連続でようやく実力に見合った結果を出した。

女子は梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)が独走連覇

44人がスタートした女子はKOMのあとの下り区間を考慮し、下り終えて2つ目の上り区間に入ったところで正式スタートが切られた。この1.5kmほどの緩い上り区間で早くも梶原が独走を開始。ここからゴールまでの2周半を独走で逃げ切った。梶原を追走した細谷夢菜(埼玉・浦和工)と古山稀絵(東京・昭和一学園)が2位3位に、4位以下は集団でフィニッシュ。

女子最終周回へ 梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)が独走を続け優勝女子最終周回へ 梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)が独走を続け優勝 photo:Hideaki TAKAGI女子最終周回へ 2位の細谷夢菜(埼玉・浦和工)と3位古山稀絵(東京・昭和一学園)女子最終周回へ 2位の細谷夢菜(埼玉・浦和工)と3位古山稀絵(東京・昭和一学園) photo:Hideaki TAKAGI

「今日は1周目の上りから逃げて勝つという作戦でした。一つ目の上りがニュートラルだったので2つ目の上りでひとりになったので踏み続けました。優勝できましたが、もっと速く走らねばと思っています。トラックも含めて今年は勝ちに来たこと以上に、記録を塗り替えることなどにこだわりました」と、梶原はさらに上を目指す。

男子 攻撃を続けた3人の勝負を制した石上優大(神奈川・横浜)

175人が出走した男子は7周80.5kmのレース。有力どころは1ヶ月前のアジア選手権組の沢田桂太郎(宮城・東北)、渡邉歩(福島・学法石川)、石上の3人と中村圭佑(東京・昭和一学園)、日野竜嘉(愛媛・松山聖陵)ら。集団でのスプリント勝負では徳田匠(京都・北桑田)、本大会ポイントレース覇者の今村駿介(福岡・祐誠)らの名前が挙がる。

レースは上りのたびのペースアップでふるいにかけられ、最終周回に集団は24人にまで数を減らす展開に。毎周回の上りでペースを上げるのは、石上、中村、日野ら。この3人のペースアップで集団は分裂するが下り区間を経て合流する展開を繰り返す。優勝候補の一角、沢田はメカトラで大きく後退する。レースが大きく動いたのは6周目。この3人や徳田らが加わったペースアップで10人ほどの集団に分裂、下りを経て7周目に入る時点で24人にまとまる。

男子シード選手の沢田桂太郎(宮城・東北)と中村圭佑(東京・昭和一学園)男子シード選手の沢田桂太郎(宮城・東北)と中村圭佑(東京・昭和一学園) photo:Hideaki TAKAGI男子4周目、上り区間で中村圭佑(東京・昭和一学園)、日野竜嘉(愛媛・松山聖陵)、石上優大(神奈川・横浜)らがペースアップし分断男子4周目、上り区間で中村圭佑(東京・昭和一学園)、日野竜嘉(愛媛・松山聖陵)、石上優大(神奈川・横浜)らがペースアップし分断 photo:Hideaki TAKAGI
男子最終周回へ、先頭は24人の集団男子最終周回へ、先頭は24人の集団 photo:Hideaki TAKAGI徳田匠(京都・北桑田)ら4位以下ゴール徳田匠(京都・北桑田)ら4位以下ゴール photo:Hideaki TAKAGI

7周目の一つ目の上り区間でペースが上がり先頭は石上、日野、中村の3人のみに。この3人はラスト1kmまでは差を広げるために協調し35秒にまでその差は広がる。ここから3人の牽制が始まり交差点を過ぎて上りゴールへ。ラスト250mで中村が先に仕掛け、これをアウト側から石上が、イン側から日野がかわし、ライン手前で伸びた石上が優勝。

石上優大(神奈川・横浜)が3人のスプリントを制し優勝石上優大(神奈川・横浜)が3人のスプリントを制し優勝 photo:Hideaki TAKAGI
「3周目くらいで今日は勝てると思いました」優勝した石上優大(神奈川・横浜)

「今日の石上は120点の出来」と評価する柿木孝之JCFコーチ「今日の石上は120点の出来」と評価する柿木孝之JCFコーチ photo:Hideaki TAKAGI「上りで中村たちとペースを上げたら去年よりも余裕で集団を絞れたので、3周目くらいで今日は勝てると思いました。最後は1人になる予定が2人を連れてきてしまいましたが」と石上。どこからでもどのような展開になっても「勝つ自信があった」という石上。上位者が異口同音に「石上が強かった」と証言するほどに下りや平坦区間も先頭を引き続ける石上の優勝は完璧なもの。その石上は別の思いでこのレースに臨んでいた。

「アジア選で日本チームとしては勝ったので結果オーライです。ですが自分が逃げていたところを日本チームに吸収されて悔しい思いをしていました。なので今日は力を証明して勝つことを考えていました」と石上。アジア選で逃げていた石上を吸収しに行ったのは日本選手たち。吸収後もチームのために働いた石上の動きなどで狙い通りに沢田のスプリントで優勝という最高の結果を出したが、いっぽうの石上個人には悔しさが残っていた。



結果

個人ロード男子表彰個人ロード男子表彰 photo:Hideaki TAKAGI男子 80.5km
1位 石上優大(神奈川・横浜)2時間06分14秒
2位 日野竜嘉(愛媛・松山聖陵)
3位 中村圭佑(東京・昭和一学園)
4位 徳田匠(京都・北桑田)+21秒
5位 今村駿介(福岡・祐誠)
6位 奥村十夢(奈良・榛生昇陽)
7位 黒川晴智(岡山・東岡山工)
8位 三好憲士郎(奈良・榛生昇陽)
個人ロード女子表彰個人ロード女子表彰 photo:Hideaki TAKAGI高校別男子総合表彰高校別男子総合表彰 photo:Hideaki TAKAGI高校別女子総合表彰高校別女子総合表彰 photo:Hideaki TAKAGI
女子 34.5km
1位 梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)1時間03分10秒
2位 細谷夢菜(埼玉・浦和工)+1分48秒
3位 古山稀絵(東京・昭和一学園)+1分58秒
4位 元砂水咲美(奈良・榛生昇陽)+3分02秒
5位 石井菜摘(栃木・作新学院)
6位 儀間光希(沖縄・北中城)+3分07秒
7位 坂口楓華(兵庫・播磨南)+3分14秒
8位 根岸恵美(岡山・興陽)+3分18秒

オープンロード 34.5km
高校生
1位 大町健斗(広島・安芸府中)53分33秒
2位 篠田幸希(群馬・前橋工)+13秒
3位 納家一樹(東京・八王子桑志)

中学生
1位 日野泰静(チーム グロシャ)53分50秒
2位 吉武慶太 +01秒
3位 佐藤健(飯塚日新館中)+03秒

一般
1位 白石真悟(シマノドリンキング)53分51秒
2位 大堀雅行(PURPLE MONKEY)
3位 川村侃生(タクリーノ・モンタナ)

男子学校対抗

1位 祐誠高等学校 31点
2位 岐阜第一高等学校 18点
3位 学校法人石川高等学校 13点
4位 和歌山県立和歌山北高等学校 12点
5位 岡山県立岡山工業高等学校 12点
6位 群馬県立前橋工業高等学校 11点
7位 東北高等学校 10点
8位 開新高等学校 10点
8位 昭和第一学園高等学校 10点

女子学校対抗
1位 筑波大学附属坂戸高等学校 27点
2位 昭和第一学園高等学校 24点
3位 祐誠高等学校 22点
4位 埼玉県立浦和工業高等学校 20点
5位 鹿児島県立南大隅高等学校 20点
6位 岐阜県立岐阜商業高等学校 14点
7位 岡山県立興陽高等学校 11点
8位 桜丘高等学校 10点

photo&text:高木秀彰