高校選抜大会トラックが熊本競輪場で3月19日から始まった。アジア選5冠達成の梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)は出場2種目で圧倒、男子は福岡・祐誠高校が3km個抜きで橋本陸が、ポイントレースで今村駿介が制し2勝。



高校生にとってインターハイに並ぶ重要な大会が3月に行われるこの高校選抜大会。3月19日(木)からトラック3日間、ロード1日の計4日間で競われる。例年トラックは小倉メディアドームで行なわれてきたが今年は熊本競輪場が会場。ロードは山鹿市周辺で行なわれる。熊本競輪場は直線部分が全国最長の500mトラックであり、特に競走種目はこのバンクの特性をいかに使うかで勝敗が決まる。最終バックを先頭で通過しても9割以上が失速し、ほとんどは最終4コーナーからの勝負になっている。

大会2日目(トラック2日目)は男女合わせて4種目の決勝が行われた。今大会は特に女子選手がトラックだけでも52人と多数がエントリー。女子ケイリンだけで1回戦が6組行なわれるほど。その中でもアジア選手権でトラックとロードで5冠を達成した梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)の走りは他を圧倒した。

女子2kmインディヴィデュアル・パーシュート

予選で2分36秒166の大会新を出した梶原と、2分41秒096を出した橋本優弥(岐阜・県岐阜商)の2人が1-2位決定戦に。序盤からリードの梶原が2分37秒112で優勝。「去年のタイムを1秒縮められて良かったです。でも今日は32秒が目標でしたので決勝でもタイムを上げられるようになりたいです」と語る。女子ジュニア日本記録は2014年8月に伊豆ベロドロームで鈴木奈央(静岡・星陵高)が出した2分30秒969。

2kmインディヴィデュアル・パーシュート 1位 2分36秒166(大会新・予選時)梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)2kmインディヴィデュアル・パーシュート 1位 2分36秒166(大会新・予選時)梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸) photo:Hideaki TAKAGI女子2kmインディヴィデュアル・パーシュート 表彰女子2kmインディヴィデュアル・パーシュート 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)2分36秒166(大会新)以下すべて予選時タイム 
2位 橋本優弥(岐阜・県岐阜商)2分41秒096 
3位 古山稀絵(東京・昭和一学園)2分43秒613 
4位 中村愛花(福井・福井科技)2分45秒479 
5位 根岸恵美(岡山・興陽)2分46秒141 
6位 内村舞織(鹿児島・南大隅)2分47秒808 
7位 阪本ほのか(奈良・榛生昇陽)2分47秒830 
8位 吉田夢姫(大分・日出総合)2分48秒038 

男子3kmインディヴィデュアル・パーシュート

予選では上位3人が3分35秒台の好タイムを出し、3分35秒130の沢田桂太郎(宮城・東北)と3分35秒487の橋本陸(福岡・祐誠)が1-2位決定戦に。橋本が終盤に差を広げ、この1年間でアジア選ロードなど数々のタイトルを取ってきた沢田を下して優勝。「予選では自己ベストを2秒更新しましたが、決勝の相手が沢田選手で正直勝てると思いませんでした。ですが自分を信じてラスト2周でスパートをかけて勝てることができました」全国大会初優勝の橋本は強化指定選手への復活と更なる高みを目指す。

3kmインディヴィデュアル・パーシュート 優勝の橋本陸(福岡・祐誠)3kmインディヴィデュアル・パーシュート 優勝の橋本陸(福岡・祐誠) photo:Hideaki TAKAGI男子3kmインディヴィデュアル・パーシュート 表彰男子3kmインディヴィデュアル・パーシュート 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 橋本陸(福岡・祐誠)3分35秒487(予選時) 
2位 沢田桂太郎(宮城・東北)3分35秒130(予選時) 
3位 安川義道(奈良・榛生昇陽)3分35秒653(予選時) 
4位 大矢正聡(岐阜・岐阜第一)3分41秒011 
5位 中村圭佑(東京・昭和一学園)3分43秒478 
6位 永田吏玖(岐阜・岐南工)3分44秒149 
7位 小野舜介(岡山・興陽)3分44秒762 
8位 松本京太(静岡・静岡北)3分45秒191 

男子ポイントレース

48周24km、4周毎で計12回のポイントで行なわれた決勝。中盤に鋭く抜け出した今村駿介(福岡・祐誠)が14周ほど独走して計3回を1位通過。集団に吸収後も加点し、ゴールポイントも1位通過して圧勝。「初めて全国大会で優勝できて嬉しいです。最初から決めていた作戦通りの展開なので全力で踏むだけでした」と語る今村は、アジア選トラックメンバー。チームパーシュートで3位、スクラッチで7位に入っている。

ポイントレース ゴールポイントも取った1位の今村駿介(福岡・祐誠)ポイントレース ゴールポイントも取った1位の今村駿介(福岡・祐誠) photo:Hideaki TAKAGIポイントレース 表彰ポイントレース 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 今村駿介(福岡・祐誠)28点
2位 石井駿平(群馬・前橋工)15点
3位 小玉和寿(福島・学法石川)11点
4位 新城銀二(沖縄・八重山)11点
5位 竹井慧(香川・高松工芸)10点
6位 井手口滝吾(鹿児島・南大隅)10点
7位 勝呂真至(静岡・伊豆総合)8点
8位 真保雅俊(神奈川・保土ヶ谷)8点

女子スクラッチ


12周6kmで行なわれた決勝。1周目終盤から逃げたのは梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)。一時は半周近く差を広げるが集団も容認せずラスト2周前で吸収、振り出しに戻った全員でのゴール勝負は梶原が直線で先行、橋本優弥(岐阜・県岐阜商)も追い上げるが届かず梶原が2勝目を挙げた。「去年に続いて逃げて勝とうと思ったのですが、ゴール勝負でもスプリントで勝てるという自信をつけることができました。逃げ切りたかったので悔しさはありますが」とどこからでも勝てる強さを見せた梶原。2位で競技歴11ヶ月の橋本とともに、日本の将来の自転車界を担う逸材だ。

女子スクラッチ 梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)が橋本優弥(岐阜・県岐阜商)をスプリントで下して優勝女子スクラッチ 梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)が橋本優弥(岐阜・県岐阜商)をスプリントで下して優勝 photo:Hideaki TAKAGI女子スクラッチ 表彰女子スクラッチ 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

1位 梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸)
2位 橋本優弥(岐阜・県岐阜商)
3位 根岸恵美(岡山・興陽)
4位 古山稀絵(東京・昭和一学園)
5位 吉田夢姫(大分・日出総合)
6位 横山美瑞生(山形・米沢工)
7位 元砂水咲美(奈良・榛生昇陽)
8位 中村愛花(福井・福井科技)

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photo&text:高木秀彰

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