オンループから一夜。フランドル地方でセミクラシック2戦目となるクールネ〜ブリュッセル〜クールネが開催され、マーク・カヴェンディッシュがアレクサンドル・クリストフらを抑えて勝利。エティックス・クイックステップは昨日のリベンジを達成した。



石畳の急坂オウデ・クワレモントを行くプロトン石畳の急坂オウデ・クワレモントを行くプロトン photo:CorVos


先行するトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)ら先行するトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)ら photo:CorVosイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)の華麗な勝利から一夜明け、ベルギーのフランドル地方は2連戦2日目の日曜日を迎えた。

追走グループを形成したセプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)ら19名追走グループを形成したセプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)ら19名 photo:CorVosクールネ〜ブリュッセル〜クールネは開催67回目を迎えるセミクラシックレースであり、その名の通りベルギーのクールネをスタートし、首都ブリュッセル手前で引き返してクールネにゴールする193km。レースの最後はクールネ近郊の16kmの周回コースを2周してゴールする。

前日の優勝者、イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)が積極的に動く前日の優勝者、イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)が積極的に動く photo:CorVosローテーションを回すようトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が促すローテーションを回すようトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が促す photo:CorVos前日のオンループ・ヘットニュースブラッドよりも難易度が低くスプリントに持ち込まれやすいため、各チームはクラシックハンターに加えてスプリンターを出場メンバーにラインアップ。2強と目されるエティックス・クイックステップはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)、2連勝を目論むチームスカイはエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)をエースに据え、他にはアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)やゲラルド・チオレック(ドイツ、MTNキュベカ)といった強豪勢がクールネの街からスタートを切った。

ゴール前4kmからアタックしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)ゴール前4kmからアタックしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:CorVosこの日フランドル地方は天候にこそ恵まれたものの強い風が吹き、それによって逃げグループが形成されたのもスタートから30kmを経てからのこと。マッティア・ポッゾ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)やジミー・アングルヴァン(フランス、ユーロップカー)ら8名が集団から抜け出すと、3分ほどのリードを経て巡航モードに切り替える。

レースは中盤を過ぎて大きな動きが発生する。集団でトム・ボーネン(ベルギー)らエティックス・クイックステップ勢が急坂でペースアップを行うと、次なるオウデ・クワレモント(最大勾配11.6%)で完全に分断。エティックス勢を最大勢力とした、各チームのエース級選手を含む30名ほどの追走グループが形成された。

エシュロン(斜め編隊)を組んで横風区間を突き進む精鋭グループからは力つきた選手たちが次々と千切れていき、最終的に人数は19名に。カヴェンディッシュやヴィヴィアーニ、クリストフらもこのグループに入ったが、ゴールに備えて後方で待機する。

一方大人数を従えるメイン集団では、メンバーを先行グループに乗せられなかったMTNキュベカやAG2Rラモンディアールが必死の追走を開始する。暫く19人vs大集団の構図が続いたが、逃げグループ内のローテーションが上手く回らないことも手伝って、1分あったタイムギャップはゴールまで35kmを残してついにゼロに。吸収前にクリス・ボックマンス(ベルギー、ロット・ソウダル)が単騎飛び出したが、やがて大人数を揃える集団によって吸収された。

次なるアタックを嫌ったカチューシャが集団コントロールを担い、残り10kmを切るとチームスカイやロットNLユンボ、更にワンティらもこの動きに加わる。さながらステージレースのスプリントステージのような展開でゴールまでの距離を減らしていく。

ゴールまで距離を残して発進したフィリップ・ジルベール(BMCレーシング)のアタックも不発に終わり、ロット・ソウダル優位のままスプリントへ。クリストフが絶好の位置からスプリントを開始したが、後方から追い上げたのはカヴェンディッシュ。勢いを維持したままクリストフをパスすると、番手につけたヴィヴィアーニも引き離し、今期5勝目となるガッツポーズを繰り出した。



スプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)スプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:CorVos


マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が表彰台の中央に立つマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が表彰台の中央に立つ photo:CorVos「(3対1でチームスカイに敗れた)オンループの敗北を返上するようにクラシックシーズン序盤を勝利で幕あけられたのは本当に良かった。チームメートは相変わらず素晴らしい働きをしてくれたし、今日1日中、100%僕に尽くしてくれた」とカヴェンディッシュはレースを振り返る。

「オウデ・クワレモントの後に形成された先頭集団には19人しかいなかったけど、そのうち5人がエティックスだったのは、僕らの強さを証明しているだろう。昨日も勝てなくとも、僕たちの強さは明らかだったと思う。だから今日も同じように逃げを捕らえ、そしてスプリントに備えた。トム(ボーネン)はクールネで過去3回勝っているけど、今朝チームバスの中で僕をリードアウトすると言ってくれたんだ。クリストフは世界でも屈指のスプリンターだし、すごく調子がいい。彼とのスプリントで競り勝てたことは本当にうれしいよ」と加えた。

一方途中動きに加わった上に3位と、フランドルクラシックへの順応性を見せたヴィヴィアーニ。「2週間のトラック競技の後だけど、ロードレースで使う脚の調子は本当に良くて、200kmのハードなレースでもかなり走ることができた。クールネもそうだし、べルギーレースは本当に好きなんだ。最後のスプリントで20番手ぐらいから3番手まで上がれたのも、これからのクラシックシーズンに向けてはかなり良い兆候だと思う」とコメントした。



クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2015結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
2位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
3位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
4位 トム・ファンアスブロック(ベルギー、ロットNLユンボ)
5位 ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
6位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)
7位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
8位 クリスティアン・スバラグリ(イタリア、MTNキュベカ)
9位 レイモンド・クレダー(オランダ、ルームポット)
10位 マッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)
DNF 小石佑馬(CCTp/bチャンピオンシステム)
DNF 徳田鍛造(CCTp/bチャンピオンシステム)
DNF 徳田優(CCTp/bチャンピオンシステム)

text:So.Isobe
photo:CorVos

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