2009年2月18日、ツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)第4ステージが行なわれ、逃げ吸収後の大集団はハイスピードのまま最終ストレートになだれ込んだ。接戦を制したのは、前日に連係ミスで勝機を失ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)。早くも今シーズン3勝目だ。

序盤にアタックするフロイド・ランディス(アメリカ、OUCHマキシス)ら序盤にアタックするフロイド・ランディス(アメリカ、OUCHマキシス)ら photo:CorVosシエラ・ネバダ山脈を通過する185kmの第4ステージは、難易度が低いながらも5つの山岳ポイントが登場する。ゴール地点クロビスに向かうコース後半部は平坦路が続くため、前日に引き続いてスプリンターチームの活躍に注目が集まった。

前日までの降り続いた雨は止み、選手たちを迎えたのは晴れ渡る蒼天。しかし気温は低いままで、山岳ポイントの沿道には積雪も見られた。

山岳ポイントに向かってアタックするフランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)山岳ポイントに向かってアタックするフランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング) photo:CorVosレースは序盤からエスケープを試みる選手が後を絶たず、ジェリー・ベリーを中心に積極的にアタックが繰り返された。フロイド・ランディス(アメリカ、OUCHマキシス)やクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)も逃げを試みたが、アスタナがこれらをきっちりマークする。最初の3級山岳の上りが始まった40km地点で、ようやく4名の逃げが決まった。

集団から飛び出したのは山岳賞とスプリント賞トップのフランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)、タイラー・ハミルトン(アメリカ、ロックレーシング)、ジェイソン・マッカートニー(アメリカ、サクソバンク)、そしてセルジュ・パウエルス(ベルギー、サーヴェロ)4名だ。

病院に搬送されるキム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)病院に搬送されるキム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア) photo:CorVos総合成績において脅威となるマンセーボは、2つ山岳ポイントとスプリントポイントを先頭で通過すると逃げグループを離脱し、アスタナがコントロールするメイン集団へと戻った。残る3つの山岳ポイントは全てハミルトンが先頭通過を果たし、マンセーボの山岳賞ジャージキープに貢献している。

先頭3名が順調にタイム差を積み重ねる中、90km地点でメイン集団内に落車が発生し、オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)やキム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、ランディスを含む10名ほどが地面に投げ出された。

雪に覆われた山岳ポイントを通過していく雪に覆われた山岳ポイントを通過していく photo:CorVosヘーシンクとランディスは再スタートを切ったが、フレイレとキルシェンは立ち上がることができずにリタイア。二人のビッグ選手が病院へと搬送された。フレイレは肋骨、キルシェンは鎖骨と肋骨を骨折した。

落車の影響でメイン集団のペースは下がり、ゴールまで90kmと4級山岳一つを残してタイム差は6分15秒に。ここからチームコロンビアが集団コントロールを開始した。

ラスト1kmで飛び出したペドロ・オリッリョ(スペイン、ラボバンク)ラスト1kmで飛び出したペドロ・オリッリョ(スペイン、ラボバンク) photo:CorVosほとんどのスプリンターが山岳で生き残ったため、チームコロンビア、クイックステップ、ガーミンの連合軍が猛烈な勢いでペースアップ。最大6分15秒あったタイム差は瞬く間に縮まり、ラスト30kmで3分、ラスト20kmで1分30秒、そしてラスト10kmで30秒に。最後まで抵抗したパウエルスも、集団の計算通りラスト3kmで吸収された。

皮肉にもパウエルスを飲み込んだのは、チームメイトが牽引するメイン集団。トル・フースホフト(ノルウェー)で2連勝を狙うサーヴェロが主導権を握る形でラスト1kmのアーチを通過。超ハイスピードの集団からはペドロ・オリッリョ(スペイン、ラボバンク)が飛び出したが、チームコロンビアが牽引する集団がこれを封じ込めた。

片手を挙げるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)と、バイクを投げ込むトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)片手を挙げるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)と、バイクを投げ込むトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:CorVos路上チョークペイントの黄色い粉が巻き上がる最終ストレートで繰り広げられたスプリントバトル。早めに仕掛けて先頭に立ったカヴェンディッシュは伸び切らず、後方からボーネンとフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)が迫り来る。ボーネンはバイクを投げ出してゴールに飛び込んだが、先に片手を挙げたカヴェンディッシュに数センチ届かず。僅差の勝負はカヴに軍配が上がった。

連係ミスで前日のスプリントを落としたカヴェンディッシュが、持ち前のスプリントで勝利をもぎ取った。ツアー・オブ・カリフォルニアではステージ初勝利。ツアー・オブ・カタールに続くシーズン3勝目である。

またこの日、フレイレとキルシェンの他にも、昨年山岳賞を獲得したスコット・ナイダム(アメリカ、BMCレーシング)やビクトルウーゴ・ペーニャ(コロンビア、ロックレーシング)がリタイア。序盤ステージの悪天候で体調を崩す選手が続出している。

レース公式サイトより

ツアー・オブ・カリフォルニア2009第4ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)4h42'38"
2位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
3位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
4位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)
5位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)
6位 マルクス・ツベルグ(スイス、BMCレーシング)
7位 フレッド・ロドリゲス(アメリカ、ロックレーシング)
8位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、コラヴィータ)
9位 バーナード・サルツバーガー(オーストラリア、FLY・V・オーストラリア)
10位 マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)

個人総合成績
1位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)18h33'52"
2位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)+24"
3位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)+28"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+30"
5位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、アスタナ)+34"
6位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)+38"
7位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)
8位 ホセルイス・ルビエラ(スペイン、アスタナ)
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+39"

山岳賞
フランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)

スプリント賞
フランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)

新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)

チーム総合成績
アスタナ

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