ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム2014に出場する選手たちが、今年も大会前日に日本の文化に触れる交流会に招かれた。神社で巫女舞、書道・茶道を体験。エキゾチックな一日を過ごした。



氷川神社を前に出場選手皆で記念撮影氷川神社を前に出場選手皆で記念撮影 (c)Makoto.AYANO
昨年は相撲体験と盆栽見学で日本を体験した、さいたまクリテリウム恒例の交流会。今年も開催された交流会のメニューは昨年とは違っていた。午後14時、まず一行はバスでさいたま市大宮区の武蔵一宮氷川神社にやってきた。

氷川神社にやってきたヴィンチェンツォ・ニーバリ氷川神社にやってきたヴィンチェンツォ・ニーバリ (c)Makoto.AYANOアージェードゥーゼルのロメン・バルデとブレル・カドリアージェードゥーゼルのロメン・バルデとブレル・カドリ (c)Makoto.AYANO


バスはツール・ド・フランスの送迎バスよろしく、フロントガラスに乗車チームのジャージがイラストで記され、この細かい点からもASO主催イベントであることが伺われる。
フルーム、サガン、ペロー、キッテル、マイカ、バルデ、デマール、クリストフ、フミ&ユキヤ.....。ツールのスターたちが続々とバスから降りてくる。そしてASOのツール運営スタッフに英雄ベルナール・イノー氏、各国のメディアらも、昨年にも増して大勢でやって来た。

氷川神社についての説明を真剣な表情で聞くクリス・フルーム氷川神社についての説明を真剣な表情で聞くクリス・フルーム (c)Makoto.AYANO手を清めるマルセル・キッテル手を清めるマルセル・キッテル (c)Makoto.AYANO


一行は昨日にパリのポルトマイヨで開催されたツール・ド・フランス2015プレゼンテーションを終えてから、全員が一緒の飛行機で一路日本へと飛んできたというわけだ。奥さんや彼女も同伴することができるので、選手たちは観光も兼ねて来日できる。日本に来るのが初めての選手も多い。

池の鯉がツボにはまったヴィンチェンツォ・ニーバリ池の鯉がツボにはまったヴィンチェンツォ・ニーバリ (c)Makoto.AYANO賽銭を上げて手を合わせるロメン・バルデ賽銭を上げて手を合わせるロメン・バルデ (c)Makoto.AYANO


正月には200万人が参拝するという、日本でも10本の指に入る規模のこの氷川神社。選手たちは歩きながら神聖な雰囲気を楽しんでいるようだった。ニーバリは池の鯉に妙に惹かれていた。
ここでの最初のメニューは巫女舞の見物だ。雅楽に合わせてゆっくりと舞う巫女さん二人を、息を飲んで見守る選手たち。通常は撮影もできないこの神事を、今回は神社側の協力もあって特別に観ることができた。この様子は海外TV局でも放送されるようだ。

巫女舞を見守る選手たち巫女舞を見守る選手たち (c)Makoto.AYANO
続いて場所を変えて、県立与野高校の女学生たちが待つ公共施設へ。そこでは書道・茶道の体験が用意されていた。
まず書道。「退屈なものにならなければ良いな」という心配をよそに、そこで披露されたのは音楽付きの賑やかな書道パフォーマンス。まずは何人もの書き手が何畳もある大きな紙にバケツに入れた絵の具と刷毛で、与謝野晶子の処女作「乱れ髪」の文を書き込んでいく。中央に「凛々しく」と大書きして見せた。女学生も英語で詩の意味を説明する。

青春謳歌 まさにアスリートに贈る言葉だ青春謳歌 まさにアスリートに贈る言葉だ (c)Makoto.AYANO凛の書道パネルをバックに「きゃりーぱみゅぱみゅ」の曲で踊るパフォーマンス凛の書道パネルをバックに「きゃりーぱみゅぱみゅ」の曲で踊るパフォーマンス (c)Makoto.AYANO


続いては「きゃりーぱみゅぱみゅ」のメロディーに乗って女子学生が歌と踊りのパフォーマンス。このトラディショナルでありながらもどこかポップなショーに、選手たちもしきりにスマホで撮影していた。

そしてニーバリ、サガン、マイカの3賞選手が壇上に上がり、書道体験。羽織袴に着替えた3人。大きな筆で、ニーバリが「王」、サガンが「速」、マイカが「山」と書いた。もちろん優勝、ポイント賞、山岳賞の意味だ。

ニーバリ、サガン、マイカが書道パフォーマンスにチャレンジニーバリ、サガン、マイカが書道パフォーマンスにチャレンジ (c)Makoto.AYANO
速(ポイント賞)、王(総合優勝)、山(山岳賞)速(ポイント賞)、王(総合優勝)、山(山岳賞) (c)Makoto.AYANO
速と書いたペーター・サガン速と書いたペーター・サガン (c)Makoto.AYANO山と書いたラファル・マイカ山と書いたラファル・マイカ (c)Makoto.AYANO


続いては茶道体験だ。正座して、まずお茶菓子をいただく。女学生が点てた抹茶の椀を差し出されると、隣の人に「お先に」と断ってから、器をかかげて、右に三回まわして、飲む。椀は途中で置いたりせず、飲みきるまで集中する。飲み終えれば「けっこうなお点前(てまえ)でした」と言う。そういった一連の流れを女学生に説明してもらいながら。でも、選手たちは皆、正座を続けることができずにすぐに膝を崩してしまうのだった。

お茶の作法を真剣に聞くクリス・フルームお茶の作法を真剣に聞くクリス・フルーム (c)Makoto.AYANO畳の部屋での茶道体験畳の部屋での茶道体験 (c)Makoto.AYANO


浮世絵のうちわをもらって喜ぶクリス・フルーム浮世絵のうちわをもらって喜ぶクリス・フルーム (c)Makoto.AYANOカタカナの名前が書かれた色紙を持たされるニーバリ。マイカは「?」カタカナの名前が書かれた色紙を持たされるニーバリ。マイカは「?」 (c)Makoto.AYANO


2年連続でさいたまクリテの交流会を体験したフルームは、「お茶はベリーストロングでエスプレッソみたいだね。今年のパフォーマンスも楽しかったよ」と話していた。

その後、フルーム、サガン、マイカ、フミ&ユキヤは記者発表会に出席。前夜祭パーティに出席した後、J SPORTSの我らワールド公開生放送に出演。夜遅くまでスケジュールびっしりの忙しい一日を送った。

ツール・ド・フランスのチャンピオンと聞いて大喜びの女子学生とニーバリツール・ド・フランスのチャンピオンと聞いて大喜びの女子学生とニーバリ (c)Makoto.AYANO

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photo&text:Makoto.AYANO