ジャパンカップオープン男子のビッグタイトルを手にしたのはロイック・デリアック(キナンAACA)。古賀志林道でアタックして圧巻の逃げ切りを演じた。女子は最後の上り区間で抜け出した西加南子(LUMINARIA)が通算3勝目を挙げた。



オープン男子 ロイック・デリアック(キナンAACA)が逃げ切り優勝オープン男子 ロイック・デリアック(キナンAACA)が逃げ切り優勝 photo:HIdeaki TAKAGI
オープン男子 5周+1周 80.8kmのレースオープン男子 5周+1周 80.8kmのレース photo:HIdeaki TAKAGIオープン男子 2周目、先頭集団は4人に絞られるオープン男子 2周目、先頭集団は4人に絞られる photo:HIdeaki TAKAGI国内のアマチュア中心のレースで最も格が高く若手の登竜門とされるのがジャパンカップオープンレース。JCFまたはUCI登録のジュニア以上の選手という資格要件だけであり、コンチネンタルチーム、実業団チーム、クラブチーム、学連、高体連加盟高などがその対象となる。以前には高校生が1位や2位を取ったこともある大会だ。
オープン男子 面手利輝(EQA U23)と高岡亮寛(イナーメ信濃山形)が6周目に入るオープン男子 面手利輝(EQA U23)と高岡亮寛(イナーメ信濃山形)が6周目に入る photo:HIdeaki TAKAGIオープン男子 6周目に入るメイン集団。中央に優勝したロイック・デリアック(キナンAACA)がオープン男子 6周目に入るメイン集団。中央に優勝したロイック・デリアック(キナンAACA)が photo:HIdeaki TAKAGI
10月18日(土)、ジャパンカップ本戦と同じコースを使用してオープン男子と女子のレースが開催された。朝から抜けるような秋空のもと、ビッグタイトルを目指して男子と女子のレースが11時05分と07分にスタート。

オープン男子

16歳の渡辺歩(EQADS/学法石川高)から51歳の選手まで、あるいは前日まで開催されていた長崎国体に出場していた選手など合計168名がスタート。男子は14.1km5周+10.3kmの80.8kmのレースだ。

1周目後半の鶴CC上り区間で8名が先行し、さらに古賀志林道の上りで4人に絞られる。メンバーは面手利輝(EQA U23)、中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、武末真和(ロヂャースレーシングチーム)、佐々木真也(日本大)。2周目にこの4人はメイン集団に45秒の差をつける。メイン集団からは9名の追走ができる。

3周目にはすべての逃げは吸収されるが、上りでアタックがかかり清水太己(EQA U23)が単独先頭で集団に25秒差をつけて4周目へ。ここで清水は吸収され6周目へ入り、面手、菅野正明・片岡真之介(ニールプライド・メンズクラブ)、海藤稜馬(山形大院)が先行するが平坦区間を経て吸収。さらに面手と菅野がアタックするが吸収される。

最終6周回へは面手が高岡亮寛(イナーメ信濃山形)をやや離して先頭で突入。さらに中井路雅(京都産業大)そして小室雅成(ロヂャースレーシングチーム)と菅野らが続く。古賀志林道の上り区間でデリアックが鋭くアタックし、先頭の面手とともに下りへ。ここでデリアックが単独となりゴールに向けて独走を開始する。

面手は後方の高岡、清水、紺野元汰・中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、才田直人(ニールプライド・メンズクラブ)らに合流するが、先頭のデリアックとの差は30秒。デリアックは独走のままフィニッシュ。見事な逃げ切り勝利を決めた。2位集団は紺野、中村とイナーメ信濃山形が集団の1・2番を取った。
2位3位はともにイナーメ信濃山形の紺野元汰と中村龍太郎2位3位はともにイナーメ信濃山形の紺野元汰と中村龍太郎 photo:HIdeaki TAKAGI
優勝したロイック・デリアック(キナンAACA)

デリアックはすでにJBCFのみやだクリテリウムでも優勝している25歳のフランス人選手。
「このコースを走るのは初めて。チームの石田(哲也)さんから最後の周でアタックするよう言われていたので、そのとおりに勝てて嬉しい」

「経歴は20歳でAG2Rのスタジエとして活動、昨年まで3年間フランスのコンチネンタルチームのルーベ・リールメトロポールに所属。今年前半はブラニャック(木下智裕選手も過去に所属)にいたが、今年5月下旬に来日。キナンAACAに所属し、ツール・ド・熊野も走った。プロ選手を続けたくて来日した。チームは来年格上となるので、腰を落ち着け来年もキナンで走りたい」



オープン女子

オープン女子 西加南子(LUMINARIA)が最後の上りで抜け出して優勝オープン女子 西加南子(LUMINARIA)が最後の上りで抜け出して優勝 photo:HIdeaki TAKAGI
オープン女子 3周 42.3kmのレースオープン女子 3周 42.3kmのレース photo:HIdeaki TAKAGIオープン女子 2周目、鶴CC上りを金子広美(イナーメ信濃山形)と西加南子(LUMINARIA)がペースを作るオープン女子 2周目、鶴CC上りを金子広美(イナーメ信濃山形)と西加南子(LUMINARIA)がペースを作る photo:HIdeaki TAKAGI


女子は14.1km3周の42.3kmのレース。過去2回優勝の西、昨年優勝の金子広美(イナーメ信濃山形)、9月の世界選手権ロードジュニアでともに10位台の坂口聖香(日本体育大学)と梶原悠未(筑波大学附属坂戸高校)ら40名が出走した。1周目で約15名に絞られ、上りごとに人数を減らしていく。昨年の覇者、金子が主に上りのペースをつくるが、少人数に絞るには至らない。

3周目の後半まで集団でレースは進み、最後の鶴CCの上り区間で金子がペースアップした。これに西と針谷千紗子(Live GARDEN BICI STELLE)が反応し、3人が先行。ピークの100mほど手前の緩傾斜区間で西がアタック。これが決まり、西は金子に差をつけて下りへ。この差を保ったまま西が優勝した。

オープン女子優勝の西加南子(LUMINARIA)。ジャパンカップオープン女子で2010年、11年に続いて3回目の優勝オープン女子優勝の西加南子(LUMINARIA)。ジャパンカップオープン女子で2010年、11年に続いて3回目の優勝 photo:HIdeaki TAKAGI優勝した西加南子(LUMINARIA)

西は2010年、2011年に本レースで優勝し、3年ぶり3度目の優勝だ。「今年前半で怪我を負い、出場できるレースが少なかった。最後のひとつは勝ちたいと集中してきた。たった3周だけれども自分にとっては今年最後の重要なレース。いつもの年のジャパンカップと比べて今年は勝ちたいという思い入れが強かった」

「金子さんは私よりもっと勝ちたい気持ちが強かったと思うし、金子さんに勝つというのは難しいことだと思っていた。勝てるとは思っていなかったので、本当に嬉しい」。



結果
オープン男子 80.8km
1位 ロイック・デリアック(フランス、キナンAACA)2時間09分10秒
2位 紺野元汰(イナーメ信濃山形)+25秒
3位 中村龍太郎(イナーメ信濃山形)
4位 清水太己(EQA U23)
5位 武末真和(ロヂャースレーシングチーム)
6位 才田直人(ニールプライド・メンズクラブ)
7位 青木峻二(ロヂャースレーシングチーム)
8位 面手利輝(EQA U23)+41秒
9位 中井路雅(京都産業大)+1分09秒
10位 重田兼吾(順天堂大)

オープン女子 42.3km
1位 西加南子(LUMINARIA)1時間19分11秒
2位 金子広美(イナーメ信濃山形)+04秒
3位 針谷千紗子(Live GARDEN BICI STELLE)+20秒

photo&text:Hideaki TAKAGI