迫り来る大集団を振り切って、今年プロ入りしたばかりの22歳の新人が独走勝利。ツール・ド・ポローニュ第2ステージで序盤から逃げたペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)が21秒差の独走フィニッシュを果たした。



ツール・ド・ポローニュ2014第2ステージツール・ド・ポローニュ2014第2ステージ photo:tourdepologne.plトルンからワルシャワまで平野を226kmに渡って駆け抜ける第2ステージ。スプリンターの晴れ舞台と目された平坦コースでペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)、バルトロミエイ・マティシアック(ポーランド、CCCポルサット)、プリジミスラウ・カスペルケウィッツ(ポーランド、ポーランドナショナルチーム)の3名が逃げた。

笑顔で走るラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)ら笑顔で走るラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)ら photo:tourdepologne.pl最大7分のリードを得て逃げるエスケープトリオ。リーダージャージ擁するAG2Rラモンディアールが集団を率い、後半にかけてカチューシャ、オリカ・グリーンエッジ、ティンコフ・サクソ、ジャイアント・シマノ、ベルキン、ロット・ベリソルも合流する。

逃げるバルトロミエイ・マティシアック(ポーランド、CCCポルサット)ら逃げるバルトロミエイ・マティシアック(ポーランド、CCCポルサット)ら photo:tourdepologne.plしかしタイム差の縮小は鈍く、フィニッシュまで50kmを残してタイム差は6分。逃げを捉えることが出来ないまま、ワルシャワの周回コース(4.8km x 3周)に差し掛かった。

ワルシャワの周回コースを独走するペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)ワルシャワの周回コースを独走するペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:tourdepologne.pl先頭ではヴァコッチが独走を開始し、単独で大集団に勝負を挑む。スプリンターチームが束になってかかってもタイム差は縮まり切らず、ヴァコッチが21秒差で逃げ切った。メイン集団は勝利したと勘違いしてガッツポーズしたマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)を先頭にフィニッシュしている。

「UCIワールドツアーレースで独走勝利するなんてアンビリーバブル。最後の周回コースに入ってからがキツく、タイム差が縮まると同時に脚が悲鳴を上げた。残り5kmを切ってから更に厳しくなり、全開で走り続けた。他に何も考えず、ただただ全開で走り続けることだけを考えていた」とヴァコッチは語る。

ヴァコッチはオメガファーマの育成チームを経て今年プロ入りしたばかりの22歳。プラハ大学で経済学を専攻しており、今年7月にポーランドで開催された世界大学選手権ではロードレースとタイムトライアルで優勝している。

「逃げ切りは予想していなかったし、集団にとっても想定外だったと思う。タイム差が開いてから体力を温存して、終盤のペースアップと独走に備えていたんだ。チャンスを与えてくれたチームに感謝している。出来る限りこのジャージを守りたい」。そう語る新星が総合2位以下を27秒引き離してUCIワールドツアーを引っ張る。

選手コメントはレース公式サイトより。



独走でフィニッシュするペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)独走でフィニッシュするペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tim de Waeleリーダージャージを手にしたペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)リーダージャージを手にしたペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tim de Waele



ツール・ド・ポローニュ2014第2ステージ結果
1位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ボリス・ファレー(ベルギー、ロット・ベリソル)
4位 ラモン・シンケルダム(オランダ、ジャイアント・シマノ)
5位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、AG2Rラモンディアール)
6位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 マルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ)
8位 ギヨーム・ボワヴァン(カナダ、キャノンデール)
9位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)
10位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
151位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
5h23'54"
+21"








+2'45"


個人総合成績
1位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、AG2Rラモンディアール)
3位 ロマン・マイキン(ロシア、ルスヴェロ)
4位 ボリス・ファレー(ベルギー、ロット・ベリソル)
5位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6位 マチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCポルサット)
7位 マティアス・クリセク(オーストリア、キャノンデール)
8位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 マルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ)
10位 ギヨーム・ボワヴァン(カナダ、キャノンデール)
11h11'28"
+27"
+31"
+33"

+35"

+37"



ポイント賞
ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、AG2Rラモンディアール)

山岳賞
マチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCポルサット)

スプリント賞
ペトル・ヴァコッチ(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)

チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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