イージーなスプリントステージになるかと思いきや、横風とそれに乗じたオメガファーマ・クイックステップのアタックがレースの展開を大きく変えた。勝負を制し安堵するアンドレ・グライペルらのコメントを紹介する。



ステージ優勝を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)

他を圧倒するスプリントで勝利したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)他を圧倒するスプリントで勝利したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:CorVos
胸のチームロゴを指さしてアピールするアンドレ・グライペル(ロット・ベリソル) 胸のチームロゴを指さしてアピールするアンドレ・グライペル(ロット・ベリソル) photo:Makoto.AYANO今日の勝利は僕だけのものじゃない。チームのものだ。勝利を収められなかったここ数日チームは批判されてきたけれど、僕らはステージ優勝の日が来ることを信じていた。

ずっとたくさんのよい仕事をし続けてくれたラルスイティング・バク、落車で100%の状態でなかったバルト・ デクレルク、スプリントのトレインで重要な役割のグレゴリー・ヘンダーソンたちに、勝利を持って感謝できることは本当にうれしい。本当にほっとしたよ。僕の肩にはプレッシャーがのしかかっていたけれど、スポーツマンにはプレッシャーとうまく付き合っていく必要がある。今日はそれが出来たんだ。

積極的に攻め続けたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド)やマーク・レンショー(オーストラリア)ら、オメガファーマ・クイックステップ勢

新人賞ジャージを着て走るミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)新人賞ジャージを着て走るミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) photo:A.S.O.クヴィアトコウスキー:僕たちは横風区間でリスクをとってエシュロンを組み、全力でアタックした。後ろは振り返らなかった。フィニッシュへ向けてよいポジションをとると同時に、集団を縮小させるために動いた。

終盤のレースをハードにしたトニ・マルティン(オメガファーマ・クイックステップ)終盤のレースをハードにしたトニ・マルティン(オメガファーマ・クイックステップ) photo:Makoto.AYANOまた最終番では少し違うトライをしてみた。マッテーオ・トレンティンが僕の番手にいたんだけれど、最終コーナーで彼が遅れてしまったので持てる力を全て使ってフィニッシュへとアタックした。でも、仕掛けるのが早すぎたね。僕が思っていたよりもゴールまで遠かった。でも、チームはスプリント狙いに切り替えて、マーク・レンショーを5位に送りこむことができた。今日の展開を通して、オメガファーマ・クイックステップがどんな状況でも動ける能力があることを示せたと思う。

レンショー:強烈な風の中で多くのランドアバウトを走りぬけた。だから非常にせわしないステージだったよ。僕らは集団の前方に位置していて、最終局面まで完璧な布陣を築いていた。僕らはミカルでトライしようと考え、計画を実行した。

挑戦すること。それが僕らのできること全てだ。決して諦めるつもりは無い。平坦やスプリントにおいて、最も強いのは僕らのチームだ。常にそういったシチュエーションで集団をコントロールしているのは僕達だ。これからは小さな登りステージとなるけど、チャンスを逃さないようにトライし続けるつもりだ。ツールの次の局面でも、今のよい雰囲気を保っていきたい。

チームスカイのエースを務めるリッチー・ポート(オーストラリア)

ゴール後にインタビューを受けるリッチー・ポルト(オーストラリア、チームスカイ)ゴール後にインタビューを受けるリッチー・ポルト(オーストラリア、チームスカイ) photo:A.S.O.今日は緊張を強いられたステージだった。でも幸運なことに、ベルンハルト・アイゼルと、ゲラント・トーマスがいて、その後に付いていることができた。

敢闘賞を獲得したルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)敢闘賞を獲得したルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) photo:A.S.O.強い風と滑りやすい路面でタフなレースになったけど、7人はなんとかやり過ごすことができた。シャビエル・ザンディオはすでにこのツールで何度かクラッシュしていたし、彼を失うことは残念だ。でも、明日からも同じような戦いが僕らを待っている。

敢闘賞を獲得したルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)

良き一日だった。世界最大のレースの先頭を走っているのは何だか素晴しい気分だよ。もちろん逃げ切り勝利にトライしたし、今日は昨ステージの影響でスプリンターが疲れているように見えたからチャンスがあると思っていた。とにかく、今日の逃げは僕のスピリット。これからもチャレンジを続けていくよ。

地元からの応援に喜ぶマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

勝負に絡めなかったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)勝負に絡めなかったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:CorVos更なるステージ優勝のチャンスを失ってしまった事はかなり残念だが、でも最終盤はシンプルに脚が無かった。僕らは一日中集団コントロールを行っていたけれど、オメガがペースアップした時にミスを犯した。一人で風にさらされている瞬間がたびたびあって、スプリントに必要なエネルギーをそこで消費してしまった。チェンとドリスは今日素晴らしい働きをしてくれた。それからグライペル、おめでとう。ドイツにとっての4勝目だ。

落車したアルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)落車したアルノー・デマール(フランス、FDJ.fr) photo:A.S.O.フィニッシュでは僕の地元からたくさんの人が駆けつけてくれていて驚かされたよ。クナックヴルスト(ドイツのソーセージ)を手に応援しに来てくれた。説明させて欲しいけれど、クナックヴルストはすごく美味しいんだ。だから勝負には絡めなかったけれど、最終的に大成功に終わったステージだった。

話は変わって、僕は自分のIDを書いたブレスレットをつけている。サイクリストとして一人で練習に出ることがよくあるけれど、緊急事態の時に誰に連絡すれば良いか、そして自分は誰かなど最低限のことが書いてある。とても大切なアイディアだと思うんだ。

落車したアルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)

あの時は本当にツイてなかった。ティボーよりも悪かった。落車して全身を痛めてしまい、ティボーがいる大人数のグループからも遅れてしまった。残念だし、今日は簡単じゃなかった。時間が経つにつれて状況も良くなっていくだろうけれど、今年のツールは最終盤が本当にキツい。ここ数日間のハイライトはステージ3位になったことくらい。

text:So.Isobe,Naoki.Yasuoka