オウデクワレモントで決定的な動きを作りながらも、いつもの独走パターンには持ち込めなかった。しかし、彼が最強であることには変わりなかった。第98回ロンド・ファン・フラーンデレン(UCIワールドツアー)で、ディフェンディングチャンピオンのファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)が勝った。



ロンド・ファン・フラーンデレン2014ロンド・ファン・フラーンデレン2014 image:www.rondevanvlaanderen.beブルージュのマルクト広場を、200名(8名x25チーム)の選手たちがスタートして行った。天候は小雨。しかしレースの進行とともに雨が止んだため、重要な石畳の登りが雨に濡れることはなかった。

ブルージュ・マルクト広場に集まった観客たちブルージュ・マルクト広場に集まった観客たち photo:Tim de Waele例年と同じ地域で行なわれながらも、新しい周回が取り入れられたことで刺激がプラスされた第98回大会の259kmコース。テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)やダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)ら11名が逃げグループを形成し、メイン集団に対してリードを広げながら逃げる展開となる。

2度落車したステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)2度落車したステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele細い田舎道のワインディングや街中の中央分離帯、ロータリー、歩道の段差、沿道から身を乗り出す観客たち、吹き付ける風、そして勝負どころに向かうナーバスなプロトン。様々な要因が重なり、メイン集団内では数えきれないほどの落車が発生する。

逃げグループが淡々とペースを刻む逃げグループが淡々とペースを刻む photo:Makoto AYANOルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ)やセプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)、トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)、ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、トレックファクトリーレーシング)、ステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)、ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)ら、有力選手も相次いで地面に投げ出される。

ロット・ベリソルとトレックファクトリーレーシングがレース前半から戦力的に苦しい展開に。また、ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・シャープ)は中央分離帯に立っていた女性に衝突し、ともに病院へ搬送された。衝突された65歳の女性は脳手術が必要な重体との情報。

3度の優勝者トム・ボーネン(ベルギー)のために、メイン集団の先頭はオメガファーマ・クイックステップが固めてレース後半へ。

連続して登場する急坂により先頭グループはフィニー、インピー、アレクサンダー・クチンスキー(ベラルーシ、カチューシャ)、ロメン・ジングル(ベルギー、コフィディス)、スティグ・ブロークス(ベルギー、ロット・ベリソル)、ヤメス・ファンランドスホート(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)の6名に絞られる。逃げとメイン集団のタイム差が3分を推移しながら、レースは残り100kmを切った。



オウデ・クワレモントを上るメイン集団オウデ・クワレモントを上るメイン集団 photo:Makoto AYANO


オメガファーマ・クイックステップが多勢を誇るオメガファーマ・クイックステップが多勢を誇る photo:Makoto AYANOメイン集団からミッチェル・ドッカー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やダミアン・ゴダン(フランス、AG2Rラモンディアール)らが相次いで飛び出したが、人数を揃えることが出来ずに吸収。

「コッペンベルグ」で先行するトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)「コッペンベルグ」で先行するトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tim de Waele残り72kmの「カナリーベルグ」で飛び出したマヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)とマッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)、ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)の強力なトリオもメイン集団を引き離せない。

やがて2回目の「オウデクワレモント」で先頭はインピー、ブロークス、フィニーの3人に。続く「パテルベルグ」でメイン集団からイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)が飛び出すシーンも見られたが、先頭グループに追いつくことなく吸収される。40名ほどに絞られたメイン集団が、最大勾配22%の「コッペンベルグ」に差し掛かった。

ボーネンを先頭にハイスピードで「コッペンベルグ」を駆け上がったメイン集団は、粘り強く逃げ続けていたインピーを頂上通過後に吸収する。「コッペンベルグ」からフィニッシュラインまでは44km。逃げ吸収とともに、本命たちによるバトルが始まった。



セプ・ファンマルク(ベルキン)を逃さないファビアン・カンチェラーラ(トレックファクトリーレーシング)セプ・ファンマルク(ベルキン)を逃さないファビアン・カンチェラーラ(トレックファクトリーレーシング) photo:Makoto AYANO


後続を突き放すファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)とセプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)後続を突き放すファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)とセプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン) photo:Tim de Waele「コッペンベルグ」で16名ほどに絞られた精鋭グループからはゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)やドリス・デヴェナインス(ベルギー、ジャイアント・シマノ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)らが飛び出したものの、オメガファーマ・クイックステップがチェック、もしくは集団を率いて封じ込める。

逃げるフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がオウデ・クワレモントで粘る逃げるフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がオウデ・クワレモントで粘る photo:Makoto AYANO残り37km地点の「ターインベルグ」でファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)やペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)らが脚試しのペースアップを試みたが決まらない。

セプ・ファンマルク(ベルキン)とファビアン・カンチェラーラがパテルブルクでライバルたちから抜け出すセプ・ファンマルク(ベルキン)とファビアン・カンチェラーラがパテルブルクでライバルたちから抜け出す photo:Makoto AYANOすると「クルイスベルグ」の手前、残り31km地点でフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がアタックし、ここにステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が反応して2名で先行。後方にエース(ボーネン)を残すファンデンベルフは先頭交代に加わらず、ファンアフェルマートがほぼ単独で引き続けた。

先頭グループを形成するファンデンベルフ、カンチェラーラ、ファンマルク、ファンアフェルマート先頭グループを形成するファンデンベルフ、カンチェラーラ、ファンマルク、ファンアフェルマート photo:Tim de Waele一時的に1分のリードを得たファンアフェルマートとファンデンベルフの2人。キャノンデール率いるメイン集団を45秒振り切って、残り16km地点の「オウデクワレモント」に突入した。

残り4kmを切ってアタックするステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)残り4kmを切ってアタックするステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tim de Waele石畳に覆われた平均4%/最大11.6%/長さ2200mの「オウデクワレモント」で猛烈なペースアップを見せたのは、「オウデクワレモントでセレクションをかける必要があった」と語るディフェンディングチャンピオンのカンチェラーラだった。シッティングでペダルを踏み倒したカンチェラーラに反応出来たのはファンマルクだけ。

「230km地点までは良かったが、先頭に残るには何かが足りていなかった」ち語るボーネンや、「勝負の鍵を握る場面で思うように走れなかった。カンチェラーラとファンマルクが加速したとき、追い込めなかった。そこでチャンスを失った」と振り返るペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)はここで出遅れてしまう。

ライバルたちを振り切ることに成功したカンチェラーラとファンマルク。2人は続く最後の「パテルベルグ」を並んでクリアし、まずファンデンベルフ、そしてファンアフェルマートの順に捉えた。

こうして残り11km地点でカンチェラーラ、ファンマルク、ファンアフェルマート、ファンデンベルフのグループが形成された。後方ではアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)やニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)が追撃を試みたが届かない。名前に"ファン(Van〜)"がつくベルギー人3名とスイス人1名による勝負に持ち込まれた。

そこまで付き位置で体力を温存していたファンデンベルフが残り3.5kmで仕掛けたが決まらない。このアタックを切っ掛けに協調体制は崩れ、続いてファンアフェルマートやカンチェラーラがカウンターアタックを仕掛ける。

先頭4名のまま残り1km。互いの様子をチェックしながら、ピリピリとした牽制を行ないながら最終ストレートを進む4名。残り200mからスプリントが始まり、ダンシングのストローク毎にカンチェラーラが前に出る。カンチェラーラのスプリントが伸びた。



フランドルの旗が翻る中でのゴールスプリントフランドルの旗が翻る中でのゴールスプリント photo:Tim de Waele


4名によるゴールスプリントで勝利したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)4名によるゴールスプリントで勝利したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele表彰台の裏でジャージを着替えながらビールを一飲みしたカンチェラーラ。ロンド制覇は2010年と2013年に続く3度目。最多優勝記録としてボーネンやムセーウに仲間入りした。

鉄でできたロンドのトロフィーを受け取ったファビアン・カンチェラーラ鉄でできたロンドのトロフィーを受け取ったファビアン・カンチェラーラ photo:Makoto AYANO「後続が追いつくと勝負が終わってしまうので、ディルク(デモル監督)に何度も無線でタイム差を聞いていた。とにかくエキサイティングなフィニッシュだったと思う。ベルギー人たちには申し訳ないことをしたけどね」と、2年連続で表彰台の頂点に立ったカンチェラーラは話す。

「独走に持ち込みたかったけど、脚が足りなかったので、4人でのスプリントという賭けに出た。何度かアタックで振り切られそうになったよ。人間と人間のぶつかり合いで、最後の最後までプッシュし続けた。どうやって勝ったのかは覚えていない。ただ、勝ったんだ。これはチームと、花束を家に持って帰ると約束した妻への勝利だよ」。

2013年大会で見せた圧倒的な走力は影を潜めたものの、ゴールスプリントでも勝てることを証明してみせたカンチェラーラ。加速力ではスプリンターに叶わないが、スピードが乗ってからの伸びは時にスプリンターをも凌駕する。事実、ミラノ〜サンレモではスプリンターに混ざって2位という成績を残している。

なお、カンチェラーラは「モニュメント」の表彰台登壇記録を11戦に伸ばしている。パリ〜ルーベでも優勝候補の筆頭だ。

選手コメントは各チームの公式リリースより。




1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
2位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
3位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)
4位 ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
6位 ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
9位 ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
10位 セバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ガーミン・シャープ)
11位 ヴァンサン・ジェローム(フランス、ユーロップカー)
12位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシング)
13位 ニキ・セレンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)
14位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、ジャイアント・シマノ)
15位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
16位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
17位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)
18位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
19位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
20位 セバスティアン・ミナール(フランス、AG2Rラモンディアール)
6h15'18"



+08"
+18"
+35"
+37"
+41"
+43"
+1'12"

+1'15"
+1'19"
+1'25"





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