パリ郊外のサンジェルマンをスタートし、ヌムールへと至る今大会最初のマスドステージは、大集団スプリントで決着。フランスチャンピオンジャージを着るナセル・ブアニ(フランス、FDJ)が、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・メリダ)らに競り勝った。

スタート地点に現れたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)スタート地点に現れたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) photo:Cor.Vos3月5日(月)に開催されたパリ~ニース(UCIワールドツアー)第1ステージ。いよいよこの日より、マスド形式でのレースが幕を明けた。第1ステージの舞台となるのは、パリ郊外のサンジェルマンから南東に向かってエタンプを通過し、最後ヌムールの街へと至る195km。ヌムールでは周回コースが用意され、コースプロフィールはほぼ完全にオールフラットだ。

逃げるベルトイヤン・リンデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)ら逃げるベルトイヤン・リンデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)ら photo:Cor.Vos119.5km地点に4級山岳コート・ドゥ・ビュティエが用意されるが、標高は107mと丘程度のもので難易度は低く、ゴール地点では大集団スプリントが予想された。マイヨ・ジョーヌを着るダミアン・ゴダン(フランス、ユーロップカー)の持つリードが僅かなため、中間スプリントやゴール地点ではボーナスタイムによるマイヨ・ジョーヌ争いが起こるものと予想された。

ユーロップカーが集団を牽引するユーロップカーが集団を牽引する photo:Cor.Vosファーストアタックはロメン・シカール(フランス、エウスカルテル・エウスカディ)、ベルトイヤン・リンデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ヤニック・タラバルドン(フランス、ソジャサン)の3名。早くも集団はこの動きを見送り、あっさりとこの日のエスケープが形成された。

急速に後方とのタイム差を広げる3名は、スタートから42km地点で最大タイム差7分20秒をマーク。ユーロップカーがコントロールするメイン集団はやがてタイム差を4~5分ほどまで詰め、逃げとの間隔を調整。唯一のカテゴリー山岳コート・ドゥ・ビュティエはリンデマンが先頭通過し、山岳賞ジャージの獲得を決定させる。

チームメイトに守られて走るダミアン・ゴダン(フランス、ユーロップカー)チームメイトに守られて走るダミアン・ゴダン(フランス、ユーロップカー) photo:Cor.Vosレース開始3時間を平均38.4km/hで刻むペースの中、メイン集団では127km地点で落車が発生。これ巻き込まれたルイ・コスタ(ポルトガル、モビスターチーム)がリタイアを喫してしまう。また、ピエリック・フェドリゴ(フランス、FDJ)も体調不良でレースを去った。

ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)が先頭で粘るナセル・ブアニ(フランス、FDJ)が先頭で粘る photo:Cor.Vos逃げとの間隔をジワリと詰めていくメイン集団は、ナセル・ブアニ(フランス)での勝利を狙うFDJ勢が牽引に加担したことでペースアップ。やがて、ゴールまで23kmを残した早いタイミングで逃げは全て吸収された。

集団後方ではスピードが上がったことによる集団分裂が発生し、スプリント勝利を狙うマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)やトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)は第2集団へ。アシストが追走を試みたものの、ゴールまでに追いつくことは叶わなかった。

各チームが主導権争いを繰り広げる中では、リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)のため別府史之も残り2kmの局面で先頭に立つ。そのままオリカ・グリーンエッジが人数を揃えたまま、フラムルージュのアーチをくぐった。

しかしアシストを早いタイミングで失ってしまったハワードは埋もれ、早いタイミングからまずはシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)がスプリントを開始。しかしその動きをフランスチャンピオンが上回る。

アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・メリダ)らを下したナセル・ブアニ(フランス、FDJ)。マイヨ・ジョーヌも獲得したアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・メリダ)らを下したナセル・ブアニ(フランス、FDJ)。マイヨ・ジョーヌも獲得した photo:Cor.Vosシャヴァネルを右側からパスしたブアニは、追いすがるアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・メリダ)やイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)から僅かなリードを保ったままゴールへと飛び込む。レースほぼ全体に渡って集団コントロールを行ったFDJの作戦が決まった。

ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)がマイヨ・ジョーヌを獲得ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)がマイヨ・ジョーヌを獲得 photo:Cor.Vos「既にツアー・オブ・オマーンでステージ優勝できていたことに満足していたけれど、最近の調子に自信が持てず、それからというものレースに出ていなかった。」そう語るブアニは10秒のボーナスタイムを獲得したことでゴダンと0秒差に並び、マイヨ・ジョーヌと新人賞も同時に獲得。地元フランスのビッグレースで最良の結果を出してみせた。

「このレースでの初勝利を飾れて満足しているよ。特にナショナルチャンピオンジャージを着ての勝利は格別。第2、第3ステージはスプリンター向けのコースだから、他チーム同様僕らも勝利を狙って走っていくつもりだよ」と加えた。

表彰式で、フランスチャンピオンジャージの上にマイヨ・ジョーヌを重ねたブアニ。フランス人によるステージ2連勝、3賞(総合、山岳、ポイント)ジャージの獲得、総合1~3位独占など、近年低迷したフランスの復活を予感させる結果を見せている。ポイント賞を獲得したシャヴァネルはゴール後、「フランスでは、特に新しい世代のスプリンターが台頭してきている。スプリントが多い近年のレースでは喜ぶべきことだよ」とコメントした。


山岳賞ジャージを手にしたベルトイヤン・リンデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)山岳賞ジャージを手にしたベルトイヤン・リンデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Cor.Vosポイント賞ジャージを受け取るシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)ポイント賞ジャージを受け取るシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor.Vos


最終局面で集団を牽いたを行った別府史之は、トップと同一集団内の45位でゴール。途中の落車でリタイアしたコスタは手首に怪我を負ったが、骨折は無かった。

翌第2ステージは、ヴィモリーからセリリーにかけての200.5km。カテゴリーされた山岳の無いオールフラットなコースで、ゴールでは再び大集団スプリントが繰り広げられるだろう。ブアニがジャージをキープできるかにも期待が掛かる。


パリ~ニース2013第1ステージ結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)4h47′24″
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・メリダ) 
3位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)
5位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
6位 マーク・レンショー(オーストラリア、ブランコプロサイクリング)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスターチーム)
8位 リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ボルト・ボジッチ(スロバキア、アスタナ)
10位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)
45位 別府史之(オリカ・グリーンエッジ)

個人総合成績
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ) 4h51′01″
2位 ダミアン・ゴダン(フランス、ユーロップカー)
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +01″
4位 リエーヴェ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) 
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)
6位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・メリダ) +02″
7位 ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ブランコプロサイクリング)
8位 ジョフロワ・スープ(フランス、FDJ)
9位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ) +03″
10位 トニー・ガロパン(フランス、レディオシャック・レオパード) 

ポイント賞
シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)

山岳賞
ベルトイヤン・リンデマン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)

新人賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)

チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ


text:So.Isobe
photo:Cor.Vos

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