アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)による三つ巴の闘い。ツアー・オブ・オマーン(UCI2.HC)の勝者を決めるバトルは、フルームに軍配が上がった。

ツアー・オブ・オマーン2013第5ステージツアー・オブ・オマーン2013第5ステージ photo:A.S.O.グリーンマウンテン頂上決戦から一夜明け、エヴァンスから24秒、コンタドールから25秒、そしてニーバリから34秒のリードをもって第5ステージに挑んだフルーム。首都マスカット郊外の山岳地帯を駆ける第5ステージで実質的な総合優勝者が決まる。

マスカット郊外の山岳地帯を行くマスカット郊外の山岳地帯を行く photo:A.S.O.レース後半には、標高355mのKOMブシェールアラムラットを3回クリア。3回目のKOMからゴールまでは13kmしか離れていない。

フルームのために働くブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)フルームのために働くブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.この日、ポイント賞ジャージを着るペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)は体調不良によりスタートせず。11km地点で、多くのUCIプロチームライダーを含む逃げグループが生まれた。

メイン集団のペースアップを図るサクソ・ティンコフメイン集団のペースアップを図るサクソ・ティンコフ photo:A.S.O.逃げたのは元シクロクロス世界チャンピオンのゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)やフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)、ヘスス・エルナンデス(スペイン、サクソ・ティンコフ)ら、脚の揃った9名。スカイプロサイクリングが牽引するメイン集団は、2分30秒ほど後方でタイム差に目を光らせた。

2回目のKOMブシェールアラムラットで動くアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)2回目のKOMブシェールアラムラットで動くアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:A.S.O.勝負が動いたのは、2回目のKOMブシェールアラムラット。平均勾配10%・登坂距離3.6kmの登りで、サクソ・ティンコフがペースを上げるメイン集団から、ニーバリとコンタドールが飛び出した。

KOMブシェールアラムラットで動くアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)KOMブシェールアラムラットで動くアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) photo:A.S.O.逃げに入っていたチームメイトのエルナンデスが先頭で頂上を通過するその15秒後に、コンタドールが頂上を通過。しかしフルームを始めとするライバルたちから決定的なリードは奪えない。

逃げは全て吸収され、3回目の、つまり最後のKOMブシェールアラムラットで再びコンタドールが攻撃開始。コンタドールの動きにすぐさま反応したエヴァンスが失速すると、代わってフルームとロドリゲスの2人がコンタドールを追いかける。頂上通過後、コンタドールにフルームとロドリゲスが追いつき、三強が飛び出した状態でゴールまでのダウンヒルに差し掛かった。

ゴールまで3kmを残して先頭3名と追走7名のタイム差は20秒。牽制で少しペースを落としたものの、タイム差は最後まで埋まらず、3名によるゴールスプリント勝負に。先に仕掛けたフルームが、追い上げるコンタドールを僅差で振り切った。

今シーズン初勝利を飾り、ボーナスタイムによって総合に王手をかけたフルームは「チームの作戦は、出来るだけ集団を一つにまとめて登りの勝負にもちこむこと。サクソ・ティンコフのペースアップで厳しい展開になり、周りにはリッチー(ポルト)しかいなくなった。彼のおかげで最後の登りのポジションをキープして、コンタドールの動きをカバーすることが出来たんだ」と語る。

「アルベルトとロドリゲスの3人でのスプリントはエキサイティングだったよ。明日は平坦ステージなので、スプリンターチームがコントロールしてくれることを願う。総合リードが27秒まで広がったので、落ち着いて最終ステージに挑みたい」。コンディションにバラツキがあるシーズン序盤とは言え、山岳レースでコンタドールやロドリゲスを破った意味は大きい。

この日、西谷泰治(日本ナショナルチーム)と西薗良太(チャンピオンシステム)はともに1分51秒遅れの第2集団でゴール。それぞれ総合33位と総合37位につける。西薗は「GC(総合成績)が僅差だったこともあって、トップクライマーたちが大暴れし、その後ろでさらに横風との戦争。チームメイトのチュンカイを守りつつも、ベストを尽くしました」とツイートしている。

選手コメントはチーム公式サイトより。

3名でのゴールスプリントを制したクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)3名でのゴールスプリントを制したクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が個人総合成績トップを堅守クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が個人総合成績トップを堅守 photo:A.S.O.





ツアー・オブ・オマーン2013第5ステージ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)           3h29'19"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)             +04"
5位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
7位 ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)
8位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
9位 ヘスス・エルナンデス(スペイン、サクソ・ティンコフ)
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)        +08"

42位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)                   +1'51"
45位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)
68位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)                   +8'07"
104位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム)                   +12'48"    
114位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム) 
134位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム)                   +13'23"
135位 木下智裕(日本、日本ナショナルチーム)
136位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)
139位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム)                  +20'55"  

個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)           20h04'13"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)            +27"
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)           +39"
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)                 +50"
5位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)         +1'13"
6位 ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)
7位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)               +1'19"
8位 ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)                    +1'34"
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)        +1'44"
10位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)              +2'00"

ポイント賞
クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)

新人賞
ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)

総合敢闘賞
ボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)

チーム総合成績
BMCレーシングチーム


text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
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