2017/03/10(金) - 18:59
独創的なフォルムを持つONEの対極に位置するのがこのO2。フレーム重量740gという軽さを武器にグランツアーの過酷な山岳に挑む、文字通りの軽量バイクの実力を問うた。
双胴式のダウンチューブが採用された「ONE」ばかりに目が行きがちだが、ファクターが考える最もオールラウンド性の高いデザインを形にしたのが「O2」だ。実際、今季からサポートを受けるワールドツアーチーム、アージェードゥーゼル・ラモンディアールもメインバイクとして使用するのがこのO2。「酸素」という意味の通りの軽量マシンだ。
ONEとは打って変わってシンプルなデザインが採用されたO2。身軽さを活かしたヒルクライムを始めとするレースはもちろんグランフォンドや、パヴェを始めとする悪路での走行など、どんなシチュエーションにも対応できる仕上がりだ。ファクターはO2を、あらゆる環境に自身の色を適応させる”カメレオン”と表現しており、その汎用性の高さを窺い知ることができる。
一番の特徴はフレーム重量740gという軽量性だろう。ONEと同じく弾性率の異なる3種類のカーボン(もちろん取り扱いの難しいピッチ系カーボンも含まれている)を適材適所で使い分け、一切無駄のないフレーム設計とカーボンレイヤリングにより、剛性や快適性を犠牲とすること無く軽量化を果たした。ただ軽いだけの、危うさを感じさせる軽量バイクとは一線を画す仕上がりだ。
そこにファクター独自のエアロダイナミクス技術を投入することで、ただの軽量クライミングバイクではなく、全方位に性能を高めたオールラウンド性を獲得している。各チューブは抗力が最小限になるようプロファイリングされ、組み合わせるO2独自のSvelteフォークもクラウン部にインテグレーテッドデザインが用いられることでスムーズな空気の流れを生み出している。
アッセンブルされるステム一体型ハンドルも前方投影面積を小さくするのに一役買っている。その他にも、専用の取外し可能なガーミンマウント、コラム部に装着するDi2ジャンクションマウント、内蔵シートクランプ等空力を向上させる工夫が随所に散りばめられている。
O2は基本的に軽量クライミングバイクながら、パリ〜ルーベなどの極悪極まる荒れたパヴェが続く「北のクラシックレース」を考慮して最大28Cまで対応するタイヤクリアランスが与えられる。シェイプアップされたシートステーによって、振動吸収性能をもう一段階高いレベルに押し上げる一方で、チェーンステーには左右非対称デザインが用いられペダリングのパワー伝達を高めている。
販売パッケージはデュラエースDi2、アルテグラDi2を搭載した完成車とフレームセットの3種類。完成車にはブラックインクのThirty Clincherホイールがアッセンブルされる。こちらもハブ、BBにはセラミックスピード製のセラミックベアリングが採用となっている。カラーはブラック、レッド、ターコイズの3種類だ。早速インプレッションに移ろう。
藤岡:軽量バイクらしいパリッとした反応の良さと、角の立たない踏み応えで脚への負担の少なさを感じます。ややヘッドチューブアングルが寝ているためか安定感が高く、全体的に細身ながら高い巡航性能が好印象でした。純粋な剛性感で言えばONEの方が高いかと思いますが、このO2はバランスの良さが特徴です。疲れてきても踏みこめるフィーリングゆえ、長距離レースやロングライドでも活きるでしょう。
若生:やはり一番気持ち良く感じたのは登り。フレーム自体の軽さも手伝ってか、トルクを掛けるよりは回していくペダリングが合っていると思います。ウィップを伴って加速していく様はONEと若干似ていて、レーシングバイクとしての性格を十分に感じることができました。とはいえ、ピーキーな部分はほとんど感じません。
藤岡:しっかりとパワーをかけると伸びのある加速を見せるので、レース中の細かいペースの上げ下げやアタックにも対応できますし、スプリントにも自信を持って参加していけます。アージェードゥーゼルもこのO2をメインバイクで使用するとのことですし、この1台で幅広いシチュエーションに使える懐の深さは持ち合わせていると感じます。アップダウンのあるロードレースで特に活躍できそうですよね。
若生:ONEよりもクセがない分、より多くの人にマッチするバイクだと思いますね。性能としても見た目としても上手にまとまってちゃんと形になっている。シンプルなデザイン、カラーリングにも好感を持てますし、クライミングマシンとしてユーザーの選択肢を増やすバイクとなってくるのではないでしょうか。
藤岡:バーデン・クックやデーヴィッド・ミラーといった元プロ選手が開発に携わっているだけあって、レース機材としてよく考えられた性能を有していますよね。シンプルな構造の分、ONEよりもO2の方が全体的に完成されている印象を受けました。しかし、それぞれ狙っている性能の方向性は異なると思うので、自分の用途に合わせてそれぞれ検討するのが良いでしょう。
若生:自分としては今後このファクターを駆るアージェードゥーゼルにも注目していきたいですね。まだまだ国内では知名度の低いメーカーですが、プロ選手の活躍次第ではこのバイクも俄然人気が出るのではないかと思っています。まだ台数は少なく珍しいバイクですから、乗っているだけで個性を演出してくれるはず。堅実なO2か、より独自性を感じさせるONEかというところでしょうか。
藤岡:何かの性能に特化せず何でもこなすオールラウンドなバイクならこのO2。ONEとはまた形状の異なる一体型ハンドルも使いやすいですし、自分がレースで使用する機材として選ぶならこのバイクですね。新興ブランドながら、それほどまで高い性能を感じられる仕上がりでした。
フレーム重量740g 山岳で活きるアージェードゥーゼルのメインバイク
双胴式のダウンチューブが採用された「ONE」ばかりに目が行きがちだが、ファクターが考える最もオールラウンド性の高いデザインを形にしたのが「O2」だ。実際、今季からサポートを受けるワールドツアーチーム、アージェードゥーゼル・ラモンディアールもメインバイクとして使用するのがこのO2。「酸素」という意味の通りの軽量マシンだ。
ONEとは打って変わってシンプルなデザインが採用されたO2。身軽さを活かしたヒルクライムを始めとするレースはもちろんグランフォンドや、パヴェを始めとする悪路での走行など、どんなシチュエーションにも対応できる仕上がりだ。ファクターはO2を、あらゆる環境に自身の色を適応させる”カメレオン”と表現しており、その汎用性の高さを窺い知ることができる。
一番の特徴はフレーム重量740gという軽量性だろう。ONEと同じく弾性率の異なる3種類のカーボン(もちろん取り扱いの難しいピッチ系カーボンも含まれている)を適材適所で使い分け、一切無駄のないフレーム設計とカーボンレイヤリングにより、剛性や快適性を犠牲とすること無く軽量化を果たした。ただ軽いだけの、危うさを感じさせる軽量バイクとは一線を画す仕上がりだ。
そこにファクター独自のエアロダイナミクス技術を投入することで、ただの軽量クライミングバイクではなく、全方位に性能を高めたオールラウンド性を獲得している。各チューブは抗力が最小限になるようプロファイリングされ、組み合わせるO2独自のSvelteフォークもクラウン部にインテグレーテッドデザインが用いられることでスムーズな空気の流れを生み出している。
アッセンブルされるステム一体型ハンドルも前方投影面積を小さくするのに一役買っている。その他にも、専用の取外し可能なガーミンマウント、コラム部に装着するDi2ジャンクションマウント、内蔵シートクランプ等空力を向上させる工夫が随所に散りばめられている。
O2は基本的に軽量クライミングバイクながら、パリ〜ルーベなどの極悪極まる荒れたパヴェが続く「北のクラシックレース」を考慮して最大28Cまで対応するタイヤクリアランスが与えられる。シェイプアップされたシートステーによって、振動吸収性能をもう一段階高いレベルに押し上げる一方で、チェーンステーには左右非対称デザインが用いられペダリングのパワー伝達を高めている。
販売パッケージはデュラエースDi2、アルテグラDi2を搭載した完成車とフレームセットの3種類。完成車にはブラックインクのThirty Clincherホイールがアッセンブルされる。こちらもハブ、BBにはセラミックスピード製のセラミックベアリングが採用となっている。カラーはブラック、レッド、ターコイズの3種類だ。早速インプレッションに移ろう。
O2 インプレッション
「オールマイティにこなせるバランス感が魅力」
若生:軽量フレーム特有のヒラヒラする不安定感が無く、かつ乗り心地も良好で、下りでも安心して攻めることのできるバイクですね。細身のフォークやシートステーも不安な点は一切ありませんでした。ロードバイクとして、バランスの取れた仕上がりですね。藤岡:軽量バイクらしいパリッとした反応の良さと、角の立たない踏み応えで脚への負担の少なさを感じます。ややヘッドチューブアングルが寝ているためか安定感が高く、全体的に細身ながら高い巡航性能が好印象でした。純粋な剛性感で言えばONEの方が高いかと思いますが、このO2はバランスの良さが特徴です。疲れてきても踏みこめるフィーリングゆえ、長距離レースやロングライドでも活きるでしょう。
若生:やはり一番気持ち良く感じたのは登り。フレーム自体の軽さも手伝ってか、トルクを掛けるよりは回していくペダリングが合っていると思います。ウィップを伴って加速していく様はONEと若干似ていて、レーシングバイクとしての性格を十分に感じることができました。とはいえ、ピーキーな部分はほとんど感じません。
藤岡:しっかりとパワーをかけると伸びのある加速を見せるので、レース中の細かいペースの上げ下げやアタックにも対応できますし、スプリントにも自信を持って参加していけます。アージェードゥーゼルもこのO2をメインバイクで使用するとのことですし、この1台で幅広いシチュエーションに使える懐の深さは持ち合わせていると感じます。アップダウンのあるロードレースで特に活躍できそうですよね。
若生:ONEよりもクセがない分、より多くの人にマッチするバイクだと思いますね。性能としても見た目としても上手にまとまってちゃんと形になっている。シンプルなデザイン、カラーリングにも好感を持てますし、クライミングマシンとしてユーザーの選択肢を増やすバイクとなってくるのではないでしょうか。
藤岡:バーデン・クックやデーヴィッド・ミラーといった元プロ選手が開発に携わっているだけあって、レース機材としてよく考えられた性能を有していますよね。シンプルな構造の分、ONEよりもO2の方が全体的に完成されている印象を受けました。しかし、それぞれ狙っている性能の方向性は異なると思うので、自分の用途に合わせてそれぞれ検討するのが良いでしょう。
若生:自分としては今後このファクターを駆るアージェードゥーゼルにも注目していきたいですね。まだまだ国内では知名度の低いメーカーですが、プロ選手の活躍次第ではこのバイクも俄然人気が出るのではないかと思っています。まだ台数は少なく珍しいバイクですから、乗っているだけで個性を演出してくれるはず。堅実なO2か、より独自性を感じさせるONEかというところでしょうか。
藤岡:何かの性能に特化せず何でもこなすオールラウンドなバイクならこのO2。ONEとはまた形状の異なる一体型ハンドルも使いやすいですし、自分がレースで使用する機材として選ぶならこのバイクですね。新興ブランドながら、それほどまで高い性能を感じられる仕上がりでした。
提供:トライスポーツ 制作:シクロワイアード編集部