プレゼンテーションを終えた翌日に、我々ジャーナリスト一同は、ツアー・オブ・カリフォルニア優勝、ジロ・デ・イタリア表彰台を獲得した新型teammachineSLR01に乗るチャンスに恵まれた。前モデルを圧倒的にしのぐ軽量性、剛性、そしてエヴァンスのメインリクエストである快適性。それは果たしてどのようなものなのだろうか。

ぶどう畑の丘陵地帯に据え付けられたワインディングロードを駆ける

テストライドで実際に駆ったteammachine SLR01 9000系デュラエース+C24ホイールだテストライドで実際に駆ったteammachine SLR01 9000系デュラエース+C24ホイールだ
ズラリ勢揃いしたジャーナリスト用テストバイクズラリ勢揃いしたジャーナリスト用テストバイク テストライドの舞台となったのは、プロヴァンス地方・モンヴァントゥー付近のワインディングロード。当初はカデル・エヴァンスらBMCレーシングチームの選手が7月、このSLR01を駆り激しい戦いを繰り広げるであろうモンヴァントゥー山頂への道でのテストライドが予定されていたものの、残念ながら積雪が厚く中止となってしまった。

出発前の記念撮影。ヨーロッパやアメリカから猛者が集った出発前の記念撮影。ヨーロッパやアメリカから猛者が集った photo:Martin Bissig代わりに設定されたルートは、果て無き丘陵地帯を縫うように駆け巡り、パリ〜ニースにも登場する2級山岳コル・ド・ミュール(標高628m)の登りを含む80kmほどの周回コース。丘越えの短いアップダウンからヒルクライム、長くテクニカルなダウンヒル、さらに平坦路まで性能をテストするには申し分の無い魅力的なルートと言える。ジャーナリストはそれぞれの体格に合わせて用意されたバイクに乗り、太陽の光眩しいプロヴァンスの道へと走り出した。

コル・ド・ミュールに向かって走り出していくコル・ド・ミュールに向かって走り出していく photo:Martin Bissig試乗用に用意されたSLR01は、完成車パッケージとして販売されるものとほぼ(試乗車はアルミハンドルだが、完成車販売ではカーボン製ハンドルとなる)同様のパーツアッセンブル。コンポーネントはシマノ・9000系デュラエースを装備し、ホイールはコンチネンタル・グランプリ4000(23c、空気圧は6.5barにセット)を装着した同デュラエース・C24CL。ステムとハンドルは3Tのアルミ製と、BMCレーシングチームの選手が使うものとほぼ同様のセッティングだ。

ちなみに私は、渡仏前に2013年現行モデルのSLR01をBMC国内販売代理店から改めて借り受け、比較のためにおよそ200kmを乗っていた。峠の上り下りはもちろん、荒れたダートを含めた多くのシチュエーションを試したので、乗り味や挙動については理解があった。幸運なことにどちらのモデル共にクランク長やタイヤサイズ、ホイールのジャンルもほぼ同様だ。

走り出してすぐに感じたのは、ほんのパワーロスも無く速度を増していく加速感の強さ。これは確実に剛性が増している。2列の隊列を組み、プロトンはおよそ30km/hのペースで談笑しつつ、本格的な登りへと突入していった。

プロヴァンス地方の美しい山岳地帯を走るプロヴァンス地方の美しい山岳地帯を走る
パリ〜ニースにも登場するコル・ド・ミュールの登り2級山岳にカテゴライズされるパリ〜ニースにも登場するコル・ド・ミュールの登り2級山岳にカテゴライズされる 頂上で一休み。性能についての会話が止まらない頂上で一休み。性能についての会話が止まらない

[img_assist|nid=110718|title=コル・ド・ミュールの登りを全開で攻める。登り性能は極めて高い|desc=photo:Martin Bissig|link=node|align=right|width=360|height=]今まで、こんなに登るバイクに乗ったことがあっただろうか。コル・ド・ミュールの登りはおよそ4〜5%の斜度がコンスタントに6kmほど続く2級山岳だが、重たいギアで踏みつけても、ハイケイデンスでペダルを回しても、スススっと気持ちよく進むフィーリングにはおおいに驚かされた。

前モデルにはソフトな踏み心地と乗り心地があり、入力に対して少し遅れてからシュッと加速する"猫足"的なフィーリングを感じていた。対して新型SLR01は、乗りやすいという基本コンセプトはそのまま活かされているものの、剛性が増したことで高い加速・登り性能を身につけたようだ。特にヘッドチューブ周辺の強化は顕著で、ダンシングの振りが圧倒的に軽く、そしてテンポは早くなった。

加えてBB周辺のウィップも、特に横方向に少なくなり、ダイレクト感の向上を手伝っているように感じる。アウターギアで踏みを入れると、縦方向の小さいウィップを伴いつつ、ググッと加速してくれる。その加速感は金属的なものでは無く、「ごく硬いゴムボールのような雰囲気」とでも言えば伝わりやすいだろうか。ほんの僅かながらタメはある。

もちろん私ごときの脚力では頂上前に限界を迎えてしまったのだが、ここから再び驚かされた。高剛性を謳うバイクにありがちな、急に進まなくなるフィーリングがほとんど感じられないのだ。ハイペースを刻むトップグループから一緒に脱落したジャーナリストと、「コレ、凄いね。」と笑いあった。私は残念ながらその程度しか分からなかったが、ツールに出場するような選手レベルならば、より明確に差異とメリットを感じ取ることができるのだろう。

シャープなハンドリング より扱いやすい操縦性

そしてコル・ド・ミュールの頂上からは、タイトコーナーが連続する超テクニカルなダウンヒルへと入っていく。舗装が荒い上に、車の通行によってコーナーのイン側は舗装が削れているといった状態だ。

荒れたテクニカルなダウンヒル。ライントレースをより行いやすくなった荒れたテクニカルなダウンヒル。ライントレースをより行いやすくなった photo:Martin Bissig前モデルの特徴の一つに、ハンドリングのキレの良さがあったと思う。倒し込みはナチュラルなフィーリングだが、旋回体勢に入るとスッとフロントホイールがイン側へと切れ込む性格を感じていた。安定性を好むライダーにとっては、落ち着きが無いと思われる部分もあっただろう。しかし新型SLR01は、ヘッド周りの強化によるものか、直進安定性が向上している。倒し込みの自然さはそのままだが、その後の切れ込みが無くなり、自然と一定のラインをキープしてくれる。

圧倒的なヒルクライム性能に思わず笑みがこぼれる圧倒的なヒルクライム性能に思わず笑みがこぼれる photo:Martin Bissig切り返しの早さも特徴で、次々と連続するコーナーへとハイペースで突っ込んでいってもラインがブレること無く、無理矢理ひび割れた舗装の上を通過しても挙動は安定している。

プレゼンテーションの舞台では前モデルと比較して、より快適性を増したということが強調されていたが、テストライドで私が持った感想は、それとは少し異なる。もちろんしなやかさは根底に息づいているのだが、乗り心地と踏み心地の優しさは前モデルの方が良かったと感じてしまった。もしかすると、もっと高レベルなライダーでしか分からない次元の話なのかもしれない。

しかし市場にあるハイエンドレーシングモデルと比較すれば快適性は非常に高く、荒れた路面のレースでも十分に対応できるだろう。ルート途中でガレたダートロードを見つけたので寄り道してみたが(私はロードバイクで未舗装路を走るのが大好きだ)、路面の凹凸にはじかれてトラクションを失うことは少なかった。ただ1点、そうした場合にはチェーンとチェーンステーのクリアランスが非常に狭いことに気を付けたい。インナートップでそうした道を走ると、チェーンがステーにコツコツと当たってしまう。もっとも、そんな用途のために、BMCはエンデュランスロード・GF01を用意しているのだが。

その後も短い登り、緩い下り勾配の直線など、ありとあらゆるシチュエーションが続いたのだが、とにかくどんな状況に置いても走行性能は非常に高く、苦手な部分を全く見つける事ができないまま、およそ80kmのテストライドはゴールを迎えた。

走り終わった際の疲労度は薄く、肩や腰も辛くなってはいなかった。従来モデルのSLR01と比較すれば若干疲れは感じたのだが、販売パッケージではハンドルがカーボン製となるため、より快適性は高まるだろう。ロングライドにも十分対応するはずだ。

総じて私が言えることは、新型SLR01は前モデルの特徴、つまり猫足的な加速感を持つ快適性の高さはそのままに、より剛性を高めプロライダー向けとなっているということだろう。快適性が生かされているため、もちろんツール・ド・フランスのようなグランツアーにも対応し得るだろうし、例えばフィリップ・ジルベールのようなパンチャータイプの走りにもよりベクトルが向いたように思う。

テストライドに供されたSLR01。非常に高いレーシング性能に驚かされたテストライドに供されたSLR01。非常に高いレーシング性能に驚かされた
テストで私が乗った9000系デュラエース仕様車は798,000円(予定価格)というプライスだが、性能を考えれば決して高くないし、むしろライバルブランドと比較しても市場価値は非常に高いだろう。ピュアレーサーから、テンポ良くロングライドを楽しみたい方には最高の一台となってくれると感じた。
提供:フタバ商店 text:シクロワイアード編集部