神宮前に置かれたポップアップ(期間限定)ストアから3年、遂に東京・千駄ヶ谷にRaphaの常設店がオープンした。ロードサイクリストの"ハブ"としての発展を目指す、Raphaのブランドイメージと違わない洗練されたRapha Cycle Club Tokyoを訪問した。



Rapha Cycle Club Tokyoの正面玄関。ガラス張りで開放的な雰囲気だRapha Cycle Club Tokyoの正面玄関。ガラス張りで開放的な雰囲気だ
「遂に」という言葉が一番しっくりとくるだろうか。3年前の神宮、昨年の南青山のポップアップ(期間限定)ストアを経て、待望のRapha Cycle Club Tokyo常設店がオープンした。場所は東京メトロ・北参道駅から徒歩3分、明治通りから路地に入ったところ。場所柄らしい、洒落たコンクリート打ちっぱなしビルの1階と、その地下階がストアになっている。

地下階は、Rapha製品のフルラインナップが並ぶショップスペース地下階は、Rapha製品のフルラインナップが並ぶショップスペース 入り口をくぐれば、まずそこは香ばしい香り漂うカフェスペース。本格的なキッチンを囲むようにチェアが並べられていて、黒板にはどれにするか迷ってしまうほどに美味しそうなメニューがズラリ。

階段を下りた地下はショップスペースとなっていて、Rapha製品のフルラインナップを見て、触って、試着できる。取り扱っているショップは日本国内で数店舗だけであるうえ、注文はカスタマー自身がインターネットを通すというRapha製品だが、実際に手にすることのできる安心感は大きなものだ。

Raphaの定番商品たち。どこかで見たようなLCLの黒板もアクセントRaphaの定番商品たち。どこかで見たようなLCLの黒板もアクセント 2004年にスタートし、今年で10周年を迎えたRapha。CCTYO(Rapha Cycle Club Tokyoの略称)は、サンフランシスコ、シドニー、ニューヨーク、ロンドン、大阪に続く6番目の実店舗となる。

チームスカイ製品のコーナー。ゲラント・トーマスが実際に駆ったバイクもあるチームスカイ製品のコーナー。ゲラント・トーマスが実際に駆ったバイクもある ショッピングもカフェも楽しめるCCTYOだが、一番に重きを置いているのがモノを売ることよりも(当然売れるに越したことはないだろうが)、イベントを含んだ総合的な空間の創出だ。つまりはRaphaというブランドに関係無く、様々なサイクリストが集まり、情報を共有しライドを楽しむ、ハブ(中核)となる場所。このコンセプトは世界中6つのCycle Clubいずれにも共通するものであり、「shop」や「store」という名称にしなかったのも、こうした活動を行いたい意識の現れだという。

女性用ウェアも忘れられてはいない。フルラインナップが揃う女性用ウェアも忘れられてはいない。フルラインナップが揃う ショップの取り組みとしては例えば、ライドイベントの開催が挙げられるだろう。水曜日と土曜日に行われる定例ライドを軸として、Raphaが開催するユニークなSTRAVAイベント(先日開催されたRapha Risingや、Women's100、Festive500がそれだ)に関連したライドも、周辺を知り尽くしたショップスタッフやクラブチームのアテンドによって順次開催予定。

しかもその前後のおしゃべり、つまりはグループサイクリングの最も面白い瞬間を美味しいカフェメニューで彩れる。こうした形は欧米自転車クラブでは一般化したスタイルであることも付け加えておこう。

他の試みとしては、J SPORTSによるロードレース中継をライブで見るパブリックビューイングがある。過去のポップアップストアや大阪店でも実績があるが、誰が勝つんだろう?というライブならではのドキドキ感を皆と盛り上がれるなんて、こんなにも自転車同士がアツくなれることもそう無いだろう。

しかも(重ねて言うが、)CCTYOならばこの瞬間を盛り上げてくれる良い脇役、美味しいドリンクやおつまみがオーダーできるのだ。

Rapha Cycle Club Tokyo裏外観。夕暮れ時に素敵な印象だRapha Cycle Club Tokyo裏外観。夕暮れ時に素敵な印象だ
タッチパネルを使ってRaphaのホームページから気になる商品のデータを見ることができるタッチパネルを使ってRaphaのホームページから気になる商品のデータを見ることができる スターバックスが流行り、サードウェーブコーヒーが流行り、そして今やコンビニでも挽きたてのコーヒーが飲める時代。カフェ併設というショップ形態も、ある意味、特にアパレル業界ではスタンダードになりつつあるものだ。しかしここ東京店をはじめ、各国のRapha Cycle Clubのスタイルは、単にそうした流行に乗ったものではないという。

オープニングパーティーにはたくさんのVIPカスタマーや関係者が駆けつけたオープニングパーティーにはたくさんのVIPカスタマーや関係者が駆けつけた 「コーヒーと自転車って、実は切っても切れない関係にあるんです」と言うのは、Rapha Japanの小俣さん。「自転車もカフェ文化も、ヨーロッパ発祥のもの。特にフランスやイタリアでは、コーヒーは一日の始まりに欠かせないものだし、ライドにしてもそう。ライドの始まりは一杯のエスプレッソから、なんです。」

「欧米のグループライドでは、その始まりや終わり、または休憩は必ずカフェ。例えばサンフランシスコのCycle Clubでは、コーヒーでライドをスタートさせ、帰ってきてからもまたコーヒーと共に皆でライドを振り返るというスタイルが確立されています。もちろんRaphaとしてもそんな文化を大切にしていて、それは4年前にマグカップセットを発売したことからも分かって頂けると思います」。

製品にこだわるRaphaの姿勢を表すかのように、カフェに対しても妥協は無い。エスプレッソマシンを操るのは本職のバリスタだし、補給食としても嬉しいスイーツはストア内で焼いたもの。ピクルスやサンドイッチに使う素材もできる限り自家製にこだわっているそう。

訪問時にはサンドイッチとコーヒーを頂いた。コーヒーの注文時にはフレーバーの違う数種類の豆の中から、バリスタと会話して選んでいく。味についてはここで文章にするよりも、ぜひとも足を運び体感してもらったほうが良いだろう。プロが手際よく一杯のコーヒーを注ぐ様は見ていても楽しいし、普通のカフェとは違うちょっぴり贅沢なひと時は、なんといってもプライスレスだ。

入り口に置かれた黒板。Rapha Cycle Clubのコンセプトが記されている入り口に置かれた黒板。Rapha Cycle Clubのコンセプトが記されている 一杯毎に丁寧に注がれるコーヒー。味は是非お店に足を運んで確かめてほしい一杯毎に丁寧に注がれるコーヒー。味は是非お店に足を運んで確かめてほしい

メニューボードにずらり並んだ美味しそうなメニューメニューボードにずらり並んだ美味しそうなメニュー ホームメイドのスコーンと、サンドイッチ。ピクルスも美味しいホームメイドのスコーンと、サンドイッチ。ピクルスも美味しい


ふとカフェの細かいところに目をやれば、RaphaとChriskingがコラボレーションしたエスプレッソタンパーを使っているあたりも、通ならばニヤリとできるポイントだ。今後はチームスカイが補給食として導入している「ライスケーキ」を出すことも検討中で、他にもたくさんの新作メニューを開発中だそう。例え毎日通ったとしても、当分メニューに飽きることは無さそうだ。

「実は、自分たちでも最初はどうなるか分かっていませんでしたね(笑)」と言うのは、CCTYOの内田店長。「モノの良さって、実際に使ってみないと分からないじゃないですか。それを実際に試せる場、つまりはイベントを定着させ、皆さんに"良い休日"を過ごせして頂ける場所に育てていきたいんです。」

内田店長はまた「サイクルクラブというのは、そもそも楽しみの起点。Raphaは"Suffer(=苦しむ)"という言葉がキーワードにありますが、それを乗り越えた先の楽しみこそが自転車遊びに良いところ。ただ売るだけに留まらず、スタッフとお客様という繋がりだけではなく、文化だったり、いろいろなものを繋げていきたいですね。」とも。

日本のカスタマーに向けて語るマーク・ポーリン氏日本のカスタマーに向けて語るマーク・ポーリン氏 Rapha Cycle Club Tokyoの内田店長Rapha Cycle Club Tokyoの内田店長

Rapha Cycle Club TokyoのスタッフRapha Cycle Club Tokyoのスタッフ
ショップのオープン前には、イギリス本社から世界中全てのショップを統括するマーク・ポーリン氏以下3名が来日。トウキョウでのシティライドを楽しみながら、開店準備に携わったという。オープン前のパーティーの合間を縫って、氏にも話を聞いてみた。

氏は「素晴しいロケーションにショップをオープンできたこと、また、東京という地にロードサイクリストのハブを創出できたことに興奮しています。基本的にRCCは世界中どの店舗も同じデザインやポリシーで運営されていますが、その国や街の文化に則った、それぞれの特色があるんです。東京店はまだ第一歩を踏み出したばかりですから、これから日本独自の自転車文化の色が出ていけば、また演出していければ良いですね。」と言う。

カフェとショップを融合させ、新しいサイクリングカルチャーを発信するRapha Cycle Club Tokyo。ライドの前後に立ち寄るも良し、ロードレースの中継を見に来るもよし、ちょっとした時間を埋め合わせるのにカフェを楽しむも良し。もしそこからサイクリスト同士の新しい繋がりが生まれ、共にライドを楽しめるようになったなら、それはとても素敵なことだと思う。まだまだオープンしたばかりのRapha Cycle Club Tokyoだが、そのこれからに注目してみたい。

text&photo:So.Isobe



Rapha Cycle Club Tokyo

住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-1-6 コモンガーデン原宿北参道 B1F/1F
電話:03 6434 5571
メール:[email protected]

<営業時間>
平日:カフェ/8:30~20:00、ショップ/12:00~20:00
土:10:00~20:00
日祝:10:00~18:00
※レース放送時は終了まで

お問い合わせ/ TEL : 03 6434 5571 Mail : [email protected]
店舗URL http://pages.rapha.cc/ja/clubs-ja/tokyo


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