5月30日(土)、ツール・ド・熊野第2ステージが三重県熊野市の熊野山岳コースで行われ、ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)が27人のスプリントを制して第1ステージに続き2連勝した。鈴木真理・野寺秀徳(シマノレーシング)は2位、3位に入った。

(filter error or malformed img_assist tag)2日続けてのカザフ勢の圧倒的なコントロール、そして確実に勝ちを決めるイグリンスキーの存在が際立った。国内勢ではシマノが結果を残し、鈴木と野寺が最終日に総合逆転をかけて臨む。また、西谷泰治(愛三工業)は結果に現れないが、連日激しくアタックを繰り返している。

第2ステージは山岳コース。上りのきつさ、下りの高い難易度は総合的に国内で一番と名高いもの。第1ステージで1分差で3人が上位につけて臨むが、簡単に分単位の差がつくコースで、大きな変化が予想された。

スタートしたのは87人。熊野市内をパレード走行し千枚田へ向かうコースでリアルスタートとなる。アップダウンの区間でアタックがかかるが、千枚田のぼりですべて吸収、カザフスタンとイラン勢がペースを上げてドミトリー・フォフォノフ(カザフスタンナショナルチーム)先頭でKOMを越える。集団は分断されるが下り区間で再び一つに。(filter error or malformed img_assist tag)

一番の難所、札立峠の上りでもアンドレイ・ミズロフ(タブリーズ・ペトロケミカルチーム)のアタックやカザフスタン勢のペースアップで集団は細長くなる。KOMでは再びフォフォノフ先頭でクリア、イグリンスキー含む10人ほどの先頭、1分20秒差でマリウス・ウィズィアック(NIPPO・コルナゴ)らの集団、そして鈴木真理(シマノレーシング)らの集団が続く。

難所の札立峠下りでは、先頭のカザフ勢は慎重に下ったため後続の日本勢が合流、下りきるころにはシマノ勢らも同じ大集団になる。その後のアップダウン区間でハンガリド・ナラン(モンゴルナショナルチーム)が飛び出すが千枚田手前で吸収、集団で下る。
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そして最後の登坂、2回目の千枚田上りへ。集団で上るが、先頭はカザフ勢、ミズロフらがペースを作ってアタックを封じたまま長く伸びた状態でKOMをフォフォノフ先頭でクリア、そのペースの上がったあとの下り区間で西谷がカウンターアタック、単独で千枚田を下る。ゴールまで15km、西谷のゴールへ向けての独走が始まる。下りきったところで30秒差、しかし後続もカザフ勢が猛追する。西谷も得意の独走で差は縮まらない。

ラスト3kmでも20秒差、しかしその後に猛追を受けて10秒差になり、後続から野中竜馬(NIFS in KANOYA)がアタック、西谷と合流して進むがやがてこれらはラスト2kmで吸収される。アタック合戦となるが、ラストはカザフ、シマノがラインを作り、イグリンスキーがこれを制した。シマノは阿部嵩之、野寺秀徳、鈴木真理の並びで臨みうまく機能するがゴールには届かなかった。(filter error or malformed img_assist tag)

大きく分裂すると予想された第2ステージだったが、予想に反して集団ゴールとなった。下りの高い難易度でカザフ勢がペースダウンしたためこの結果に。カザフ勢にとっては集団ゴールでもトップを取ればボーナスタイムで鈴木らとの差を広げられる自信があったからだ。

西谷は昨日に続いて再び単独でカザフ勢に正面から挑んだ。おとなしく集団ゴールしていれば3位以内に確実に入れたが、彼の目標はそれではない。「エースは品川であり、結果としてその品川は上位に入れたので作戦としては正しかった」と語るが、動いたけれども2日連続で自身の結果を残すことはできなかった。ステージ2連勝のイグリンスキー。鈴木真理、野寺秀徳が続くステージ2連勝のイグリンスキー。鈴木真理、野寺秀徳が続く photo:Hideaki.TAKAGI

最終ステージは逃げの決まりやすいコース。2位の鈴木の逃げ、または1分差メンバーによる逃げで逆転をかけて挑む。


結果
第2ステージ熊野山岳
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)2時間53分10秒
2位 鈴木真理(シマノレーシング)
3位 野寺秀徳(シマノレーシング)
4位 品川真寛(愛三工業)
5位 廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)
6位 伊勢直人(マッサ・フォーカス・アウトドアプロダクツ)
7位 佐野淳哉(NIPPO・コルナゴ)
8位 真鍋和幸(NIPPO・コルナゴ)
9位 ヨハネス・ラビー(ネオテル)
10位 平塚吉光(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)(filter error or malformed img_assist tag)

個人総合時間賞
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)5時間53分02秒
2位 鈴木真理(シマノレーシング)+13秒
3位 ドミトリー・フォフォノフ(カザフスタンナショナルチーム)+39秒
4位 野寺秀徳(シマノレーシング)+1分16秒
5位 品川真寛(愛三工業)+1分19秒
6位 ヨハネス・ラビー(ネオテル)+1分21秒
7位 廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)+1分21秒
8位 鈴木譲(シマノレーシング)+1分22秒
9位 アンドレイ・ミズロフ(タブリーズ・ペトロケミカルチーム)+1分23秒(filter error or malformed img_assist tag)
10位 アレクサンドル・シュセモイン(カザフスタンナショナルチーム)+1分23秒
11位 伊勢直人(マッサ・フォーカス・アウトドアプロダクツ)+1分24秒
12位 佐野淳哉(NIPPO・コルナゴ)+1分24秒
13位 ロマン・ジエンターエフ(カザフスタンナショナルチーム)+1分28秒
14位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)+1分28秒
15位 真鍋和幸(NIPPO・コルナゴ)+1分28秒

U23賞
1位 ヨハネス・ラビー(ネオテル)

個人総合スプリント賞
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)58点
2位 鈴木真理(シマノレーシング)39点
3位 野寺秀徳(シマノレーシング)27点

個人総合山岳賞
1位 ドミトリー・フォフォノフ(カザフスタンナショナルチーム)25点
2位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタンナショナルチーム)17点
3位 アレクサンドル・シュセモイン(カザフスタンナショナルチーム)8点

団体総合時間賞
1位 カザフスタンナショナルチーム17時間41分14秒
2位 シマノレーシング+58秒
3位 NIPPO・コルナゴ+5分18秒

photo&text:高木秀彰