フェルトのオールラウンドレーシングモデルである、FシリーズのミドルグレードとなるのがこのF3。フェルトらしいシンプルなシルエットと、高いコストパフォーマンスが魅力のこのマシンへとスポットライトを当てていく。

フェルト・F3フェルト・F3 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp

ツール・ド・フランス出場を決めたアルゴス・シマノ、そして日本でもシマノレーシングが駆ることでお馴染みのフェルト。ジム・フェルト氏によって総合バイクブランドであるフェルト社が創業したのは1980年代のこと。ブランドとしての歴史は浅いながら、製品開発に大きな力を注ぐ同社が送り出すバイクは確かな性能に定評がある。

自社のテストラボにスーパーコンピューターを設置するフェルトでは、3Dのフレームにディレイラーやホイールなどを組み付け、各部の性能、耐久性、空気抵抗を幾度もチェック。こうして解析されたデータを元に、サイズごとにチューブの形状や素材を検討・設計して初めてプロトタイプが作られる。

Felt UHC Advancedカーボンを採用したストレート形状のフォークFelt UHC Advancedカーボンを採用したストレート形状のフォーク ヘッドチューブは上下異形のテーパードヘッドへ進化したヘッドチューブは上下異形のテーパードヘッドへ進化した ボトムブラケットはBB30システムを用いるボトムブラケットはBB30システムを用いる


完成したプロトタイプは精度や表面仕上げなどを厳密にチェックした上で、プロライダーによってテストライドされる。FELT社の品質管理基準はCPSC(アメリカ消費者製品安全委員会)が求める基準を大幅に上回っており、CPSCの基準は上回っていても、それ以上に厳しい自社基準を満たさなければ、製品が世にでることが無いという。

大規模な宣伝も打たず、モデルチェンジも数年に一度しか行わないフェルト。しかし着実にマイナーチェンジを重ねることで質の高い製品を送り出し、圧倒的なコストパフォーマンスを誇る製品をユーザーに届けることをモットーとする。堅実な姿勢はドイツらしいブランド言えるだろう。

フェルトらしさのあるシンプルなフレームワークが魅力フェルトらしさのあるシンプルなフレームワークが魅力 ハンドルバーはフェルトオリジナルのカーボン製ハンドルを採用ハンドルバーはフェルトオリジナルのカーボン製ハンドルを採用


丸みをもたせたスクエア断面の大径ダウンチューブ丸みをもたせたスクエア断面の大径ダウンチューブ しなやかなのり味を生むチェーンステーの造詣しなやかなのり味を生むチェーンステーの造詣


今回紹介するF3は、3タイプあるロードバイクラインナップの中で、軽量性、加速力、旋回性能に優れるオールラウンドレーシングロード"Fシリーズ"の、ミドルクラスに位置するバイクだ。サーキットレースやヒルクライム、ロングライドに至るまで全てのシチュエーションに対応するようバランスが取られたF3は、2010年モデルのF1が採用していたT700カーボンをベースとする"UHC Performance MMCカーボン"を採用する。

F3の製造にあたっては、まずカーボン素材をフレーム成型過程でフレーム内にポリウレタンを仕込み、重量増につながる余分な材料をシェイプする「インサイドアウト」製法によって各カーボンチューブを作成。その後に接合することで、それぞれの部分に求められる性能が最適化し、結果フレーム全体としての機能が強化されるという。

前後ブレーキはスラム・ライバルをアッセンブル前後ブレーキはスラム・ライバルをアッセンブル ブレーキアーチ部分はツインステー形状を採用するブレーキアーチ部分はツインステー形状を採用する


昨年モデルと比べ、ほとんどモデルチェンジといっても過言ではないほど各部に渡ってブラッシュアップが施された新F3。特に大きく進化したのはフレームのボトムラインだ。ボトムブラケットはBB30へ。そして一体成型とされた大口径のダウンチューブからチェーンステーに至るフレーム下側部分と合わせるすることで、より高いパワー伝達性能を求めている。

ヘッドチューブは上1-1/8”、下1-1/2”のテーパードヘッドに改良し、高い旋回性能と制動力を発揮させ、フォークの性能を向上させている。シートステーも一体型のモノステーからツインチューブ型に変更されたことで、ねじれを抑え、高い運動性能を実現したとのことだ。

シャープなシルエットを見せるチューブ集合部分シャープなシルエットを見せるチューブ集合部分 採用されるテクノロジーが表記される。塗装はデュポン社によるもの採用されるテクノロジーが表記される。塗装はデュポン社によるもの トップチューブから繋がるようにデザインされたシートステーを、シートチューブが貫くトップチューブから繋がるようにデザインされたシートステーを、シートチューブが貫く


トップモデルと遜色の無いテクノロジーが与えられ、コンポーネントにスラム・レッドとS27ホイール、カーボンハンドルを装着した状態での完成車重量は、カタログ数値で7.09kgをマーク。軽量パーツを組み込めば、ヒルクライム専用マシンの作成も可能だろう。そして完成車価格で396,900円(税込)を達成した驚くべきコストパフォーマンスも非常に魅力的だ。

トップモデルと同じ多くのテクノロジーや軽量性、そして高いコストパフォーマンスと、3拍子揃ったこのオールラウンドレーシングマシンがこのF3だ。インプレッションを担当した両氏はこのバイクをどのように判断したのだろうか。早速インプレッションをお届けしよう。




ーインプレッション

「全てにおいてニュートラルで、総合的に優秀なバイク」鈴木祐一(Rise Ride)


「全てにおいてニュートラルで、総合的に優秀なバイク」鈴木祐一「全てにおいてニュートラルで、総合的に優秀なバイク」鈴木祐一 正直とても驚きました。とても良いロードレーサーに仕上がっていると思います。全ての性能においてニュートラルな味付けがなされていて非常に乗りこなしやすい印象を持ちました。

ハンドリングに関してですが、コーナリング中にバイクを傾けていくと、自転車の倒しこみ角度とハンドルの切れ込み角度がベストマッチしてくれます。それはきっとヘッドチューブのアングルによるものかと思いますが、こういった性格を狙って設定されているんだなという印象を持ちました。ここまでピッタリ決まってくれるバイクも少ないと思いますよ。

そしてその素直なハンドリングが、ダンシングをした時のバイクの振りにも効いてきます。重すぎるのはもちろんよくありませんが、軽快感がありすぎると急かされているように速く振れ過ぎれてしまいます。このバイクの場合は全てが自然で、ペダリングのリズムや上半身の動きにナチュラルについてきてくれます。この性格はとても気持ちがよくて扱いやすいですね。

硬いか柔らかいかという観点から見ると、このF3はかなり柔らかめでしなりの多い部類に入ります。ただしそのしなりの度合が適性で、大きな力をかければその分大きくしなるし、小さな入力に対してしなりすぎることがありませんでした。

ペダリングをしっかりと補正する能力が感じられ、入力の大小にかかわらずペダルをまっすぐ踏み降ろすことができ、そのためより推進力を得ることができると思います。自転車自体は超軽量マシンということはありませんが、実際の重量以上に乗って軽いフィーリングが味わえます。この価格帯のバイクとしてみた際には特に際立つ性能といって良いでしょう。ショックの吸収性も非常に高く、自然で乗りこなしやすいと思います。

トップレーサーですと若干の剛性不足を感じてしまうかもしれませんが、アマチュアのホビーレーサーには向いていると思います。ホイールを入れ替えてあげればさらに性能は上がりますし、ショック吸収性の高さから、疲れが翌日に残りにくいと思います。

完成車としてみた場合、パーツの組み合わせ一つとっても企業努力がとても感じられます。高価で憧れる種類の自転車も確かにありますが、限られた予算に抑えるべく、メーカーが一生懸命パーツを選んだのが目に見えるようです。必要な箇所に必要なパーツが組み込まれています。

自転車自体の性能が良くなければ、いくらコストパフォーマンスを追求しても意味が無いことですが、その点このF3は本当に性能と価格が両立されていると感じます。総合的に良いバイクだと思います。


「重心バランスが完成され、長距離を走ってもストレスがない」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

第一印象ですが、乗った感じ非常にしなやかなフィーリングを味わえました。フロントからリアに至るまで、全体の重心バランスがとても素直で、路面のインフォメーションが掴みやすいですね。コーナリングやペダリングにも乗っていて気を遣わないバイクだと思います。

アッセンブルされているパーツやコンポーネントにしても、レーサーとしての立ち位置が与えられているように感じましたが、乗りやすいのでレースユースだけでなく週末サイクリングでも扱いやすいバイクですね。ビギナーからある程度の上級者までが満足できると思います。

「重心バランスが完成され、長距離を走ってもストレスがない」戸津井俊介「重心バランスが完成され、長距離を走ってもストレスがない」戸津井俊介

メーカーとしてもその辺りに主眼を置いて開発したのであろうことがよくわかります。しなやかな乗り心地を活かして巡航性能も高いですし、アップダウンの多い区間でもフレームがライダーに対応してくれるため余裕を感じられました。振動吸収性能も適切な味付けがされているので、ロングライドにももってこいだと思います。長距離を乗っても楽に走り切ることができるでしょうね。

しかし無駄に力が逃げていってしまうようなロスは感じませんでした。どんなギアをかけていっても、どのスピード域でも乗っていて楽しさがあるバイクですね。直進安定性が強めですので、たとえビギナーの方が下りでスピードを出していても、そこまで怖いと思うことがないでしょう。全体の性能として、とても良いまとまりがあります。

コンポーネントはスラム・レッドがメインとなっていて、コストパフォーマンスも非常に優秀といえるでしょう。ハンドルはショック吸収性の良いカーボン製となっていて、全体としてコンフォートな味付けを狙っていると思いました。ホイールやサドルを交換すればレーシング性能も高まるでしょう。

フェルトらしい質実剛健なデザインで、カーボンの目地が出ていたりと、ロードバイクとしての端的な美しさがあるフォルムをしていて好感がもてますね。

このF3をズバリ評価すると、非常にバランスが良く完成されているバイク、ということに尽きると思います。このバランスの良さは、景色を見ながらのサイクリングでも、レース中の集団走行でも活きてくるでしょう。

フェルト・F3フェルト・F3 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
フェルト F3
サイズ:480、510、540、560
カラー:マットカーボン/グロスニッケル
フレーム素材:Felt UHC Performance MMCカーボン
フォーク素材:Felt UHC Advancedカーボン
メインコンポーネント:スラム・RED
ホイール:SRAM S27 AL Comp
タイヤ:ヴィットリア・Rubino Pro 700C×23C
ヘッドセット:FSA Orbit インテグレーテッド
ハンドル:Felt VS UHC V5 DMCカーボン
ステム:Felt SL 6061アルミ 3D
サドル:Felt SL Road
完成車重量:7.09kg
価 格:396,900円(税込)



インプレライダーのプロフィール

戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) 戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

1990年代から2000年代にかけて、日本を代表するマウンテンバイクライダーとして世界を舞台に活躍した経歴を持つ。1999年アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。MTBレースと並行してロードでも活躍しており、2002年の3DAY CYCLE ROAD熊野BR-2 第3ステージ優勝など、数多くの優勝・入賞経験を持つ。現在はOVER-DOバイカーズサポート代表。ショップ経営のかたわら、お客さんとのトレーニングやツーリングなどで飛び回り、忙しい毎日を送っている。09年からは「キャノンデール・ジャパンMTBチーム」のメカニカルディレクターも務める。
OVER-DOバイカーズサポート


鈴木祐一鈴木祐一 鈴木 祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド


ウェア協力:PISSEI,エアロアズール

text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
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