デンマークはヘアニングで開幕した2012年ジロ・デ・イタリア。第1ステージとなる8.7kmの個人タイムトライアルはアメリカの若きスター、テイラー・フィニーが最速で駆け抜け、BMCレーシングにマリアローザをもたらした。

ダンシングで加速し、次のコーナーに向かうテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)ダンシングで加速し、次のコーナーに向かうテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji

青い空が広がるヘルニングの街青い空が広がるヘルニングの街 photo:Kei Tsuji歴史上初めてのデンマーク開幕となったジロ・デ・イタリア2012。北欧でグランツールが開幕するのも史上初のこと。首都コペンハーゲンから西に300km、ユトランド半島の中心部に位置するヘアニングで3週間の闘いが動き出した。

デンマークの中でも裕福な街として知られるヘアニングは、チームサクソバンクのビャルヌ・リース監督の生まれ故郷。初日はそんなヘアニングを駆け抜ける8.7kmの個人タイムトライアルで、街中を迷路のように縫う前半部はテクニカルコーナーが連続。コースはほぼ真っ平らで、主催者はレース優勝者の平均スピードを50km/h前後、優勝タイムを10分30秒前後と読んでいた。とにかくここで優勝すれば、栄光のマリアローザを獲得することができる。

レース当日、晴れながらも肌寒い気温のなか、ひとりづつ選手がヘアニングの街を駆け抜けた。風は予想されたほどには吹かなかった。

9秒遅れで2位のゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)9秒遅れで2位のゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) (c)CorVos13秒遅れ3位	アレックス・ラスムッセン(デンマーク、ガーミン・バラクーダ)13秒遅れ3位 アレックス・ラスムッセン(デンマーク、ガーミン・バラクーダ) (c)CorVos4位のタイムのマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソバンク)4位のタイムのマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソバンク) (c)CorVos


ステージ35位・39秒差 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)ステージ35位・39秒差 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Riccardo Scanferlaステージ108位・59秒差 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)ステージ108位・59秒差 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) photo:Riccardo Scanferlaステージ124位・1分03秒差 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)ステージ124位・1分03秒差 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Riccardo Scanferla

結果的には8.7kmのコースを10分26秒のトップタイムで駆け抜けたのはテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)。2位は9秒遅れでゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、3位は13秒遅れでアレックス・ラスムッセン(デンマーク、ガーミン・バラクーダ)。

フィニーは前世界選手権U23個人タイムトライアルチャンピオンで、父デーヴィス・フィニーと母コニー・カーペンターという元プロレーサーの両親を持つサラブレッドの家系に生まれたアメリカ期待の星。BMCレーシングには昨シーズンから加入している。
BMCレーシングにとっては、トル・フースホフト(ノルウェー)とフィリップ・ジルベール(ベルギー)の2人のスターを獲得し臨んだ春のクラシックで惨敗。ここまで大きな勝利がほとんどなかったチームにとっての今シーズン初のビッグタイトルと言える。

地元デンマーク勢はアレックス・ラスムッセンが3位と健闘。別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)は1分10秒遅れの145位でレースを終えた。ちなみに現TT日本チャンピオンである別府史之はナショナルジャージを着て走る権利があるが、新チーム名への変更に伴うジャージの制作が間に合わず、ノーマルのオリカ・グリーンエッジのジャージで走った。

マリアローザを着て走ったミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)マリアローザを着て走ったミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) (c)CorVosステージ145位で初日を終えた別府史之(オリカ・グリーンエッジ)ステージ145位で初日を終えた別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji


マリアローザに袖を通したテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)マリアローザに袖を通したテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) (c)CorVosマリア・ロッサ・パッショーネを着るテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)マリア・ロッサ・パッショーネを着るテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) (c)CorVos


総合争いの優勝候補たちのタイムを見てゆこう。ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)は36秒遅れの28位と健闘。イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)は39秒遅れの35位にとどめ、短いTTで成績が残せないという前評判よりも良い結果といえるだろう。
フランク・シュレク(ルクセンブルグ、レディオシャック・ニッサン)は1分3秒遅れの124位。ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレISD)は果敢に攻めたが1分3秒遅れの124位にとどまり、マリアローザを着て走った繰り上げディフェンディングチャンピオン、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレISD)は135位にとどまった。

優勝したテイラー・フィニーのコメント
マリアローザを着ることは夢だった。信じられないくらいハッピーだよ。を~無アップをしていた時、今日はいい日になると感じていたんだ。僕をいつも信じていてくれたチームと、家族に感謝したい。これが始まりに過ぎないと思いたいね。明日はまた別の日が始まる。でも今夜は幸せな気分で眠れるよ。
今日はなにか特別なことができると信じていた。でもラスト3kmは特別難しい区間で、かなり苦労したね。頭を下げて深い痛みのなかへと入っていった。でも僕はいつもそれがいいサインだと知っているんだ。

ジロ・デ・イタリア第1ステージ結果
1位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) 0:10:26
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 0:00:09
3位 アレックス・ラスムッセン(デンマーク、ガーミン・バラクーダ) 0:00:13
4位 マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソバンク) 0:00:15
5位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、ヴァカンソレイユ・DCM) 0:00:22
6位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)
7位 ブレット・ランカスター(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)0:00:23
8位 マルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム) 0:00:24
9位 ジェシー・サージェント(ニュージーランド、レディオシャック・ニッサン)0:00:26
10位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、レディオシャック・ニッサン) 0:00:27
145位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) 0:01:10

総合
1位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) 0:10:26
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 0:00:09
3位 アレックス・ラスムッセン(デンマーク、ガーミン・バラクーダ) 0:00:13
4位 マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソバンク) 0:00:15
5位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、ヴァカンソレイユ・DCM) 0:00:22
6位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)
7位 ブレット・ランカスター(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)0:00:23
8位 マルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム) 0:00:24
9位 ジェシー・サージェント(ニュージーランド、レディオシャック・ニッサン)0:00:26
10位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、レディオシャック・ニッサン) 0:00:27
145 位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) 0:01:10

ポイント賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)

新人賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)

photo:Kei.TSUJI,CorVos,Riccardo Scanferla
text:Makoto.AYANO