2012年2月19日、ツアー・オブ・オマーン(UCI2.HC)第6ステージでマルセル・キッテル(ドイツ、プロジェクト1t4i)がスプリント2勝目を挙げた。総合優勝は1秒差を守りきったペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)。BSアンカーのルメアは大会3度目のエスケープを試みた。

逃げグループを形成するアレクサンドル・ルメア(フランス、ブリヂストンアンカー)逃げグループを形成するアレクサンドル・ルメア(フランス、ブリヂストンアンカー) photo:A.S.O.ツアー・オブ・オマーン最終日は、首都マスカットのマトラフにゴールする130.5km。最後は街中の7km周回コースを6周する。

平坦コースのためゴールスプリント勝負に持ち込まれる可能性が高いが、総合1位ベリトスと総合2位ニーバリとのタイム差は僅かに1秒。スプリントポイントとゴール地点でのボーナスタイムによって逆転は可能だ。

美しいアラビア海を眺める美しいアラビア海を眺める photo:A.S.O.スタート直後に飛び出したのは、ミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシングチーム)、ウィリアム・クラーク(オーストラリア、チャンピオンシステム)、リー・ロジャース(イギリス、RTSレーシング)、そして総合敢闘賞2位のアレクサンドル・ルメア(フランス、ブリヂストンアンカー)。

ルメアにとってはこれが今大会3度目の逃げ。仮に2つのスプリントポイントを先頭通過しても、総合敢闘賞トップのクラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム)からジャージを奪うことはできないが、それでも総合敢闘賞2位をキープするため果敢に逃げる。

リーダージャージを着て走るペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)リーダージャージを着て走るペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ) photo:A.S.O.先頭4名のリードは最大2分15秒まで拡大。しかし、ボーナスタイムで総合逆転を狙うリクイガス・キャノンデールが積極的にメイン集団を率い、53km地点のスプリントポイントまでに逃げを飲み込んでしまう。

結局スプリントポイントでは大集団によるスプリント勝負が繰り広げられ、ニーバリとベリトスがこれに参加。チームメイトのリーダージャージを守るため、トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)がここを先頭通過する。リクイガス・キャノンデールはペーター・サガン(スロバキア)を2位に送り込んだものの、肝心のニーバリはボーナスタイムを獲得出来ず。

その後クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)ら3名の逃げグループが新たに形成され、マトラフの周回コースへ。スプリンターチームが率いるメイン集団は、最終周回で逃げを吸収した。

ガーミン・バラクーダがトレインを形成する中、ゴールまで距離を残して豪快に飛び出したのはキッテル。タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)を勢い良く抜き去り、サガンを振り切ったキッテルが勝利した。

ゴールスプリントで競り合うマルセル・キッテル(ドイツ、プロジェクト1t4i)やペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)ゴールスプリントで競り合うマルセル・キッテル(ドイツ、プロジェクト1t4i)やペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:A.S.O.

ステージ2勝目を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、プロジェクト1t4i)ステージ2勝目を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、プロジェクト1t4i) photo:A.S.O.第3ステージで優勝しているキッテルが2勝目。昨年ブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝を飾った23歳が、トップスプリンターとしての資質を見せつけた。

この日マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)は14位、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)は29位に終わっている。

総合表彰台、左から2位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)、優勝ピーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)、3位トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)総合表彰台、左から2位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)、優勝ピーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)、3位トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン) photo:A.S.O.そしてオマーン総合優勝のタイトルは、1秒差を守りきったベリトスの手に。2006年のTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)総合9位のベリトスは、サガンと同じスロバキア出身。HTC・ハイロードの開催に伴い、双子の兄弟マーティン(2006年TOJ総合8位)とともにオメガファーマ・クイックステップに移籍した。

2010年のブエルタ・ア・エスパーニャでは総合2位(モスケラ失格に伴う繰り上げ)に入っており、同大会総合優勝者のニーバリをこのオマーンで打ち負かした。ベリトスは「ニーバリがスプリントポイントを2番手通過したという誤報が入ってきた時はパニックになったけど、番号の読み違えが原因だと判明して胸を撫で下ろした。キャリア初のステージレース総合優勝に大きな喜びを感じている。最高のシーズンスタートだ」と語っている。オメガファーマ・クイックステップはカタールとオマーン両大会総合優勝。

ブリヂストンアンカーの選手たちは集団内でゴール。世界のトップチームが集まるこのオマーンで、最終的にトマ・ルバ(フランス)が総合9位、清水都貴が総合13位、アレクサンドル・ルメア(フランス)が総合敢闘賞2位、そしてチーム総合成績8位という成績を残した。

レース内容はレース公式サイト、選手コメントはオメガファーマ・クイックステップ公式サイトより。



ツアー・オブ・オマーン2012第6ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、プロジェクト1t4i)          3h11'04"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
4位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
5位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット)
6位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
7位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
8位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)
10位 ウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)
34位 吉田隼人(日本、ブリヂストンアンカー)
40位 清水都貴(日本、ブリヂストンアンカー)
48位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー)
67位 井上和郎(日本、ブリヂストンアンカー)

個人総合成績
1位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)21h32'02"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)   +01"
3位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)       +17"
4位 サンディ・カザール(フランス、FDJ・ビッグマット)           +21"
5位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ・ビッグマット)          +30"
6位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)             +47"
8位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ)     +49"
9位 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー)              +50"
10位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)    +52"
13位 清水都貴(日本、ブリヂストンアンカー)               +1'30"
42位 吉田隼人(日本、ブリヂストンアンカー)               +6'50"
66位 西薗良太(日本、ブリヂストンアンカー)               +11'47"
72位 井上和郎(日本、ブリヂストンアンカー)               +12'45"

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

新人賞
トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)

総合敢闘賞
クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
レディオシャック・ニッサン

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.

最新ニュース(全ジャンル)