キャノンデールがそのテクノロジーの粋を結集して送り出したのがSUPER SIX EVOだ。SIX13からシステムシックス、さらにSUPER SIXへと進化したキャノンデールのカーボンロードバイク。そしてキャノンデールは進化したカーボン技術のすべてを総動員してこのSUPER SIX EVOを送り出してきた。

キャノンデール SUPERSIX EVO DURA-ACEキャノンデール SUPERSIX EVO DURA-ACE (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp

キャノンデールはかつてアルミバイクの先駆者であった。当時大径チュービングを駆使した肉薄で軽量なフレームといえば、まず名前が挙がるのがキャノンデールであるほど認知されていたもの。名作CAADシリーズは、時のレーサーたちを虜にし、好成績をその性能の証として君臨してきた。今現在でもCAAD10に受け継がれるそのハイスペックは、時代を切り拓いたからこそ得られたアドバンテージといっていいだろう。

話をカーボンバイクに戻そう。キャノンデールがフロント三角にカーボン素材を用いたSIX13を発売したのが2005年のこと。当時はサエコチームへ供給を行い、そのフィードバックからバイクの戦闘力が高められていった。キャノンデールのカーボンバイクはシステムシックスを経て、スーパーシックスでフルカーボン化となる。登場時から新たに登場したSUPER SIX EVOまで共通するのが、常にその時代の有力チームに供給を行い、得られたフィードバックをもとにさらなるパフォーマンスを秘めたバイクへと進化させていることにある。現在はイヴァン・バッソ擁するリクイガス・キャノンデールへと供給され、その活躍は誰もが知るところである。

フォークの下部が適度にしなることで振動吸収性と路面追従性を確保したフォークの下部が適度にしなることで振動吸収性と路面追従性を確保した 剛性を確保するとともに振動吸収性も両立したツインステーを採用剛性を確保するとともに振動吸収性も両立したツインステーを採用 ケーブル類はブレーキケーブルのみ内蔵されるケーブル類はブレーキケーブルのみ内蔵される


SUPER SIX EVOの持つ第1のアドバンテージはその軽さだ。ドイツの第三者機関、ゼドラーラボがこれまでに検査したバイクのなかで最軽量のフレーム重量695gを実現している。

第2はその軽さを生かしきる剛性にほかならない。142.3NM-DEG/KGという重量剛性比は、ゼドラーラボで検査されたバイクの中で最も高い数値を叩き出している。さらにウルトラハイモジュラスカーボンの高張力を最適化し、耐衝撃性に優れた樹脂で成型する「バリステック」カーボン構造により、これまでに同ラボでテストされたどのアルミフレームよりも優れた耐久性と耐破壊製が確認されている。これにより爽快なコーナリング性能や、爆発的なスプリント性能を手にするに至っているのだ。

下ワンを1-1/4とした上下異径ヘッドを採用するが、空気抵抗の低減のためシャープに成型される下ワンを1-1/4とした上下異径ヘッドを採用するが、空気抵抗の低減のためシャープに成型される トップチューブからシートステーまで連結されたデザイン。このバイクの個性が最も現われる部分だトップチューブからシートステーまで連結されたデザイン。このバイクの個性が最も現われる部分だ


高剛性かつ軽量なホログラムSLクランクを採用する高剛性かつ軽量なホログラムSLクランクを採用する 路面追従性を高めるフレックス性の高いチェーンステー路面追従性を高めるフレックス性の高いチェーンステー


第3の優位点は、カーボンのもつフレックス性を生かしきることで生まれた優れた振動吸収性と路面追従性だ。SUPER SIX EVOに投入されたSPEED SAVEのテクノロジーは、ライダーの疲労を軽減する振動吸収性に加えて、タイヤを路面へと確実にグリップさせる路面追従性を得た。これにより入力に対する反応性やコーナリング時のタイヤのグリップを最大限に高めることに成功している。

さらにチューブのサイズを太くすることなくこれらの性能を達成したことで、空力性能まで味方につけた。エアロダイナミクス性能のために前方部のボリュームは抑えられ、トップチューブの中心を細く成型することにより、ニークリアランスも確保。最大の空気抵抗となるライダー自身のことまで考慮されているのである。

ダウンチューブの直径を20パーセント細くすることで空気抵抗を低減したダウンチューブの直径を20パーセント細くすることで空気抵抗を低減した BBはプレスフィットBB30規格を採用するBBはプレスフィットBB30規格を採用する


これらの性能を発揮できるのはキャノンデールのもつ経験に裏打ちされたすべてを調和する能力あってのもの。人馬一体となった乗り味こそがSUPER SIX EVOの真骨頂といえる。テストを繰り返し、完璧なバイクのみを送り出すキャノンデールの姿勢があって、このバイクは誕生したのだ。

フォーク重量はこちらも超軽量の315gとなるフォーク重量はこちらも超軽量の315gとなる トップチューブは中心部をもっとも細くシェイプすることでニークリアランスを確保トップチューブは中心部をもっとも細くシェイプすることでニークリアランスを確保 チューブ径をBB幅いっぱいまで広げるブランドが多い中で、空力性能のため細身のチューブにこだわっているチューブ径をBB幅いっぱいまで広げるブランドが多い中で、空力性能のため細身のチューブにこだわっている


このバイクは軽量化だけをターゲットにしたバイクでもなければ、選ばれた選手が好成績を挙げるためだけに作られたスペシャルバイクでもない。れっきとした市販ロードレーサーである。これらすべてのアドバンテージがレースにおいてプラスのベクトルに働いているのは、リクイガスチームの活躍を見れば一目瞭然と言えるだろう。

フレーム重量アンダー700gを実現しただけに留まらず、キャノンデールが持つファクターを惜しみなく投入したSUPER SIX EVOを、テスター両氏はどう評するのだろうか?早速、インプレッションをお届けしよう。

なおSUPER SIX EVOのテクノロジーについてはスペシャルコンテンツを今一度参照して欲しい。




―インプレッション


「剛性と快適性のバランスを絶妙にコントロールしている」 鈴木祐一(RAISERIDE)


速度域で扱いやすいのはスーパーシックスEVOで感じた最大の特長速度域で扱いやすいのはスーパーシックスEVOで感じた最大の特長 2012年モデルでもっとも話題となるフレームのひとつにあげられる、スーパーシックスEVO。やはり軽さがキーワードのフレームといえる。

前モデルであるスーパーシックスに乗ったときに感じた爽快感に衝撃を受けたのをしみじみと思い出すが、EVOはより軽量となりフレームのデザインもブラッシュアップし、スーパーシックスユーザーを裏切らないパフォーマンスを受け継いでいる。

バイク全体に軽さのメリットを感じるところがある。前作と比較してみると、良い意味で設計自体のコンセプトに大きな差はないと思われる。キャノンデールらしい軽さは引き継がれており、軽さによるバイクコントロールの行いやすさ、特有な踏み出しの軽さを具現化している。

バイクの軽さ、加速性能の良さに加え、ハイスピード化したときに安定方向に変わっていくというのが特長的だった。低速~中速域では軽さを生み出し、高速域ではコントロール性が高まり、バイクの挙動が安定化していくフィーリングがある。

このあたりの変化は起こしにくいだろうが、うまく設計によって導きだすことができている。高速になると安定し、低速になると軽さ、俊敏さが現れる。平坦、上り・下りといったシチュエーションはもちろん、低速、高速といった速度域を問わず意のままに操れる。これがキャノンデールのすごいところで、なかなか真似のできない性能だ。

ポイントとしてはシートステーの形状がアワーグラス型シートステーからトラディショナルなスタイルのストレートなステーに変更され、硬くなったイメージがある。従来モデルは幅広いライダー向けに、高い振動吸収性というものがあったが、スーパーシックスEVOの場合は、反応性の良さなどを意識しているのだと考えられる。例えるなら前作はオールマイティで、スーパーシックスEVOはよりレーシング色が濃くなっている。

また従来から受け継がれているBB30はプレスフィットBB30として採用されている。多くのメーカーがこの機構を用いているが、剛性と快適性のバランスがうまくコントロールできずに、剛性が高まりすぎたモデルもある。そこに関してはキャノンデールの設計の良さ、巧さを感じる。狙った剛性がしっかりとでていて、数値で示すよりもライダーが良いと感じるフィーリングがある。つまりバランスがよいのだ。

過剰に剛性を高めていないところに好感がもてる。剛性を上げれば有利だ、というイメージがある中で、軽さと剛性のバランスがとれている。良いバイク作りをしているな、と感じる。


「軽量バイクであることを忘れてしまうようなスタビリティの高さ」 山本健一(ロードバイクジャーナリスト)

エアロダイナミクスを意識したフォルム。一見してキャンデールらしい大口径チューブのバイクに見えるが、各所のチューブ形状は細身になり、前面投影面積を小さくする配慮が見られる。先代のモデル、システムシックスなどが「剛」なら、スーパーシックスEVOは「柔」と表現することができる。しかしここでの柔は、標準的なカーボンフレームの剛性をいとも簡単に超えるレベルである。

フレームの軽さは強烈で、佇まいもまるで特別なオーラをまとっているようだ。バイクに対してニュートラルでなければならないが、“繊細なフレームでデリケートな扱いが求められるな”、という先入観を捨て切れない。しかし、ひと踏み目からその重厚な安定感が伝わってきて、イメージを払拭してくれる。

軽量バイクとは思えないほどの反応性の高さで軽快な加速フィールが得られ、その疾走感はトップクラスだ。さらに軽さが加わり、上り性能も極めて高い。ペダルも踏み込みやすく、フレームのしなりがペダリングのリズムを刻んでくれているようだ。

ひと踏み目からその重厚な安定感が伝わってくるひと踏み目からその重厚な安定感が伝わってくる

ライディング中は軽量バイクであることを忘れてしまうようなスタビリティの高さを発揮する。ヒルクライムなどでは軽さを感じるが、巡航時には安定したコントロール性能を発揮してくれる。フォークやバックステーの形状は細身になったが、剛性感に不満はない。重量級のパワー系ライダーにはさすがに物足りないと思われるが、一般的な体型のライダーではればパワー負けすることもないだろう。

安全マージンを残したコントロール性能で、腰高な感覚はなく、ステアリングのキレもよい。ただし激しく攻めたときに路面のアンジュレーションによってはピーキーな一面を出すものの、そのイメージを知ったうえであれば問題なく対処はできる。下りのコーナーでもやや神経質なイメージもある。乗り慣れてくれば解消できそうだが、一定のスキルは求められるので、上級者向けのバイクだろう。もちろんこのバイクを乗りこなす喜びを見出すのもひとつの楽しみともいえる。

振動吸収性を高めるべく熟慮したフレーム形状であるが、前作と大きな差は感じられない(むしろそれで良い)ものの、通常の走行ではまったく問題のない乗り心地である。ただし軽さの影響もあるのだろうが、大きな振動に対する反応には敏感なところもあった。またチューブの反響音からロードインフォメーションはつかみやすくなっている。

軽いうえにしっかりとした剛性を確保することに成功したスーパーシックスEVOは、まさしくピュアレーシングバイクといえる。グランツールなど過酷な条件下で使われることを想定しているので、一般のサイクリストが使う上では大きな問題は生じないだろう。しかし700gという軽さなので、取り扱いには十分なケアをしても損ではあるまい。

キャノンデール SUPERSIX EVO DURA-ACEキャノンデール SUPERSIX EVO DURA-ACE (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
SUPERSIX EVO DURA-ACE
カラー:マグネシウムホワイト/ジェットブラック
チューブ:スーパーシックスEVO,バリステック ハイモッド カーボン,スピードセーブ,プレスフィットBB30
サイズ: 48, 50, 52, 54, 56, 58, 60, 63cm
重量:695g(フレームのみ)
カーボンフォーク: スーパーシックスEVO,スピードセーブ,バリステック ハイモッド, カーボンチューブラー
ホイール:マヴィック・キシリウムSL
価格:749,000円(税込み)シマノ・デュラエース完成車





インプレライダーのプロフィール


鈴木祐一鈴木祐一 鈴木 祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド


山本健一(バイクジャーナリスト)山本健一(バイクジャーナリスト) 山本健一(バイクジャーナリスト)

身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。


ウェア協力:ビエンメB+(フォーチュン)


text:Kenichi.YAMAMOTO
photo:Makoto AYANO

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