冷たい雨と強い風のなか開催された第3ステージ。27キロ地点で6人の逃げが決まり、最後の山岳でアタックをしかけたマルクス・アイベッガー(オーストリア、タブリーズ・ペトロケミカル)が90キロのエスケープの末、勝利した。日本勢は6位の村上純平(シマノレーシング)が最高位だ。

プロローグ~第2ステージ これまでのレース展開

プロローグ
個人タイムトライアルで開幕したプロローグを制したのはフェラン・アダム(オーストラリア、ドラパック)。2位に0.13秒、日本人最高位の佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)に5.66秒の差をつけた。

プロローグを制したのはフェラン・アダム(オーストラリア、ドラパック)プロローグを制したのはフェラン・アダム(オーストラリア、ドラパック) http://www.cycling.org.tw/日本人最高位の佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)日本人最高位の佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) http://www.cycling.org.tw/TTを走る福島晋一(日本ナショナル)TTを走る福島晋一(日本ナショナル) http://www.cycling.org.tw/


第1ステージ
第1ステージは48キロのクリテリウム。集団スプリントとなり、それを制したのはパク・スンベク(韓国、韓国ナショナルチーム)。全選手タイム差なしでのゴールで、ボーナスタイムもなかったため、ほぼ初日のタイムトライアルどおりの総合順位で第2ステージを迎えた。

台湾の都市部を走るクリテリウム台湾の都市部を走るクリテリウム http://www.cycling.org.tw/第1ステージを制したパク・スンベク(韓国、韓国ナショナルチーム)第1ステージを制したパク・スンベク(韓国、韓国ナショナルチーム) http://www.cycling.org.tw/

第2ステージ
第2ステージでは、標高差300メートルほどの2級山岳が2つ登場する。標高差はさほどないように感じるが、傾斜がついているのが特徴で厳しいステージとなった。そして、そこで勝ったのは、ソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)。3秒のリードに加え、ボーナスタイムを10秒獲得。2位に7秒の差をつけ、総合トップに躍り出る。1分15秒差の総合4位に鈴木真理(シマノレーシング)、1分17秒差の5位に佐野淳哉が入る。

第2ステージを制したソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)第2ステージを制したソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル) http://www.cycling.org.tw/雨のレースとなった第2ステージ雨のレースとなった第2ステージ http://www.cycling.org.tw/

第3ステージ
アイベッガーがラスト3kmでロングスパートを成功させる

スタートを待つ清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)スタートを待つ清水都貴(チームブリヂストン・アンカー) (c)Sonoko.TANAKA取材のため現地入りして迎えた第3ステージ。グレーの雲に覆われたスタート地点は寒かった。「台湾って暖かいんじゃなかったっけ?」なんて会話が飛び交う。気温は10℃~15℃程度だろうか。ときおり霧雨が降る中でのスタートとなった。

0キロメートル地点を通過すると天候はさらに悪化した。雨足が増し、強風が吹き抜ける。「寒いからとにかく動きたかった」という清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)。序盤からハイペースで進み、アタックが頻繁にかかる。

アタックが決まったのは27km地点。集団は差を1分程度にコントロールしながら進む。しかし中盤になって集団のスピードが緩むと、この差は3分前後に拡大。このまま1級山岳に突入したが、逃げグループのスピードは落ちず。一方桃園県の正門前を通過する集団桃園県の正門前を通過する集団 (c)Sonoko.TANAKAの集団もハイスピードで追い上げたが、雨の下りではさほど加速せず、結果的に逃げを吸収することはできなかった。

ゴールまで残り25キロ。1級山岳の登りでアタックをかけたのは、マルクス・アイベッガー。この動きで6人だった逃げが、ポロック・リース(オーストラリア、ドラパック)、オハビ・マート(エストニア、チャンピオンシステム)の3人に絞られる。

さらにゴールまで残り3キロ地点で、マルクス・アイベッガーが再びアタック。このまま単独でゴールラインへと飛び込んだ。

パンクした西谷泰治(日本ナショナル)パンクした西谷泰治(日本ナショナル) http://www.cycling.org.tw/マルクス・アイベッガーのコメント
「ハードなレースだった。悪天候のなか90キロ近く逃げて疲れたよ。でもチームにとってはすごくいいレースになった。イエロー(総合リーダー)とブルー(アジアンリーダー)、2枚のジャージを獲得できた。総合は自分かソウラビ、どちらかが狙えればいいと思う。明日はソウラビが勝つよ、きっとね。」

日本勢はメイン集団のスプリントで2番手に入った村上純平(シマノレーシング)が6位でフィニッシュした。勝者の平均時速47.6キロという驚異のハイスピードで展開された悪天候レースだった。

単独で逃げ切ったマルクス・アイベッガー(オーストリア、タブリーズ・ペトロケミカル)単独で逃げ切ったマルクス・アイベッガー(オーストリア、タブリーズ・ペトロケミカル) (c)Sonoko.TANAKAシマノレーシングの野寺監督は「失敗もあったみたいだけど、次につながるものだと思う。平地で外国人選手のスピードについてくのは大変だけど、登りでは日本人選手も強い。いい部分を生かしていきたい。チームには複数勝てる選手がいるので、明日からも勝ちを狙います」と話す。ナショナルチームの高橋監督も「最初はシーズン初めてのレースとなる選手も多く、レース勘がつかめていなかったけど、日々コンディションは良くなっています。明日からも頑張ります」とコメントした。






スプリントでゴールするメイン集団スプリントでゴールするメイン集団 (c)Sonoko.TANAKA第3ステージのジャージ獲得選手第3ステージのジャージ獲得選手 (c)Sonoko.TANAKA

ゴール後の佐野淳哉と菊池誠晃(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)ゴール後の佐野淳哉と菊池誠晃(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) (c)Sonoko.TANAKA西薗良太と鈴木真理(シマノレーシング)西薗良太と鈴木真理(シマノレーシング) (c)Sonoko.TANAKA



ステージ順位
1 マルクス・アイベッガー(オーストリア、タブリーズ・ペトロケミカル)2:40:06
2 ポロック・リース(オーストラリア、ドラパック) +00:21
3 オハビ・マート(エストニア、チャンピオンシステム) +00:44
6 村上純平(シマノレーシング) +01:21
11 綾部 勇成(日本ナショナル) +01:21
13 鈴木讓(シマノレーシング)+01:21
17 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) +01:21
19 青柳憲輝(シマノレーシング) +01:21
34 清水都貴(日本ナショナル) +01:21
41 鈴木真理(シマノレーシング) +01:21
42 西谷泰治(日本ナショナル) +01:21
54 畑中勇介(シマノレーシング) +01:21
56 吉田隼人(日本ナショナル) +01:21
59 伊丹健治(日本ナショナル)+01:21
65 西薗良太(シマノレーシング)+01:21
69 菊池誠晃(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) +01:56
87 福島晋一(日本ナショナル)+06:51

総合順位
1 マルクス・アイベッガー(オーストリア、タブリーズ・ペトロケミカル)6:55:48
2 ソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)+0:12
3 マッキャン・デヴィッド(アイルランド、ジャイアント・ケンダ)+0:19
7 鈴木真理(シマノレーシング)+1:27
8 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) +1:29
10 村上純平(シマノレーシング) +1:31
14 鈴木讓(シマノレーシング) +1:37
21 吉田隼人(日本ナショナル) 1:38
28 西谷泰治(日本ナショナル) +2:14
37 青柳憲輝(シマノレーシング)+2:17
42 綾部 勇成(日本ナショナル)+2:20
44 西薗良太(シマノレーシング) +2:20
46 畑中勇介(シマノレーシング)+2:21
49 伊丹健治(日本ナショナル) +2:23
51 清水都貴(日本ナショナル)+2:25
88 菊池誠晃(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) +16:03
94 福島晋一(日本ナショナル) +20:50

ポイントリーダー
オジャヴェ・マート(エストニア、チャンピオンシステム)

山岳ポイントリーダー
マルクス・アイベッガー(オーストリア、タブリーズ・ペトロケミカル)



photo&text Sonoko.TANAKA

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