2日連続で集団スプリントに持ち込まれたツアー・ダウンアンダー。ラスト4kmから連続した落車によりビッグスプリンターの多くがチャンスを失う中、ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)が優勝。ボーナスタイムによりロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)が総合首位に立った。

逃げるユリー・クリフトソフ(フランス、アージェードゥーゼル)逃げるユリー・クリフトソフ(フランス、アージェードゥーゼル) photo:Kei Tsuji今大会最長の146kmで行なわれた第2ステージは波乱の幕切れが待っていた。マレー川が作り出した広大な平野と、なだらかな丘陵地帯を組み合わせた平坦基調のコースはスプリンター向き。ゴール地点はマレー川に面した要所として発達したマナムで、ラスト5kmを切ってから鋭角なコーナーが連続する。

スタート直後にスプリンターチームに挑戦状を叩き付けたのはジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)。しかし若きアデレード出身ライダーの試みは失敗に終わる。

マレーブリッジを渡るミッチェル・ドッカー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)とデーヴィッド・タナー(オーストラリア、サクソバンク)マレーブリッジを渡るミッチェル・ドッカー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)とデーヴィッド・タナー(オーストラリア、サクソバンク) photo:Kei Tsujiユリー・クリフトソフ(フランス、アージェードゥーゼル)が続いてアタックを仕掛け、24km地点に位置するマレーブリッジを独走で通過。遅れてミッチェル・ドッカー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)とデーヴィッド・タナー(オーストラリア、サクソバンク)が加わった。次点でスプリント賞ジャージを着るドッカーは2日連続の逃げだ。

最大2分のリードを稼いだ3名は、ドッカーを先頭に64km地点のKOM(山岳ポイント)を通過。これは自分のためではなく、ルーク・ロバーツ(オーストラリア、UniSAオーストラリア)の山岳賞ジャージを守るための動き。ロバーツ自身もメイン集団から飛び出し、4番手でKOMを通過して6ポイント獲得。山岳賞ジャージを守った。

KOMでのロバーツの動きにより集団前方は活性化。ロバーツにシモン・ザーナー(スイス)とティモシー・ロー(オーストラリア、ともにBMCレーシングチーム)が追いつき、勢いそのままに先頭グループに合流する。ワインディングとアップダウンを繰り返す丘陵地帯で6名は協力しながら逃げ続けた。

マレーブリッジを渡るメイン集団マレーブリッジを渡るメイン集団 photo:Kei Tsuji

逃げるユリー・クリフトソフ(フランス、アージェードゥーゼル)やシモン・ザーナー(スイス、BMCレーシングチーム)逃げるユリー・クリフトソフ(フランス、アージェードゥーゼル)やシモン・ザーナー(スイス、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsujiゴール30km手前で丘陵地帯を抜け、地平線まで遮るものがない平野部に出ると先頭グループからローがアタック。昨年UniSAチームで出場し、何度も逃げを打ったローが単独エスケープを試みる。しかしHTC・ハイロード、オメガファーマ・ロット、チームスカイが率いるメイン集団は容赦なくタイム差を削り取った。

ローは結局ゴールまで6kmを残して吸収。ラスト5kmの左コーナーを皮切りに、コースはマナム近郊の入り組んだテクニカル区間に入る。スプリンターチームが率いるメイン集団のスピードは上がるばかり。

メイン集団内で走るマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)メイン集団内で走るマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード) photo:Kei Tsujiチームスカイが主導権を握ったメイン集団は、ハイスピードのまま砂の浮いた鋭角コーナーに突入。ここで集団前方で落車が発生し、リーダージャージのマシュー・ゴス(オーストラリア)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ともにHTC・ハイロード)、アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)、クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)、タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)らが巻き込まれてしまう。

落車が発生する中、ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)が先頭でスプリント落車が発生する中、ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)が先頭でスプリント photo:Kei Tsujiカヴが額に傷を負ったこの落車で集団は大きく2つに割れ、40名ほどの集団はコントロールを失ったままラスト3kmを通過する。アタックを仕掛けたマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ)がしばらく独走したものの、ゴールまで2kmを残して吸収。集団はチームスカイに率いられながらラスト1kmを通過した。

イギリスのナショナルチャンピオンジャージを着るジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)がリードし、緩やかな最終コーナー手前でスウィフトが仕掛ける。役目を終えたトーマスに後続の選手が接触して大落車が発生し、バイクが空を舞う中、スウィフトにマキュアンが挑む形でスプリントが始まった。

頭を抱えるベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)頭を抱えるベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji一旦はマキュアンが先頭に立つが、スウィフトが軽快なスプリントで先頭を奪い返す。ラスト数メートルまで行方が分からない接戦を制し、両手を勢いよく上げたのはスウィフトだった。

スウィフトは23歳の新鋭スプリンター。トラック競技出身のスピードある選手で、2008年のロード世界選手権U23ロードレースで4位に入り、翌年カチューシャと契約。ジロ・デ・イタリアでステージ3位に入る活躍を見せ、2010年から地元イギリスのチームスカイで走っている。

満身創痍でゴールしたクリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)満身創痍でゴールしたクリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji「キャリア最高の勝利だ。」ワールドツアーレース初勝利を飾ったスウィフトは、予想外の勝利に驚いた表情でインタビューに応える。

スウィフトは波乱のレース終盤をこう振り返る。「最初のプランは、CJ(クリストファー・サットン)を発射することだった。でも彼は落車で後退。グレッグ(ヘンダーソン)が残っていたのでリードアウトを継続して、マシュー(ヘイマン)が先頭で、その後ろに僕、その後ろにG(トーマス)という順番でラスト1kmを通過した。でもラスト600mでGにグレッグが千切れたことを告げられ、そこで自分に出番が回って来た。ラスト200mでGに発射されてからはマキュアンに追い上げられたけど、何とか先頭に立つことが出来たんだ。」

リーダージャージに袖を通すロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)リーダージャージに袖を通すロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック) photo:Kei Tsujiスウィフトは自分の勝利に喜びながらも、落車したチームメイトたちを心配する。「Gが落車したことが信じられない。彼はラスト200mまでそこにいたのに。幸い彼はカラダに問題ないようだ。問題なのはCJが膝に深い傷を負ったこと。」

トップスピードに乗った状態で発生した落車には、トーマスの他、バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク)やバーナード・サルツバーガー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)を含め、10名以上が巻き込まれる事態に。最大の被害者サルツバーガーはレース後に鎖骨骨折が発覚している。

ゴスは落車の遅れを挽回して集団内でゴールしたが、スプリントに絡めずボーナスタイムゼロ。この日ステージ優勝(ボーナスタイム10秒)を飾ったスウィフトと、前日のステージ3位(ボーナスタイム6秒)に続いてステージ2位(ボーナスタイム4秒)に入ったマキュアンの3名が同タイムで並び、規定により上位入賞数が多いマキュアンにリーダージャージが移った。

「総合リーダーの座に就くのはいつでも嬉しい。」大歓声に迎えられたマキュアンは表彰台で笑顔を振りまく。「今日こそ勝ちたくて早めに仕掛けたけど、スウィフティーの方が速かった。落車した選手が全員無事であることを祈っている」。ステージ通算12勝を飾っている“レースの顔”が翌日からツアー・ダウンアンダーを率いる。

ツアー・ダウンアンダー2011第2ステージ結果
1位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)        3h27'44"
2位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)
3位 グレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク)
4位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ)
5位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
6位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、クイックステップ)
7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)
8位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
9位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
10位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)

個人総合成績
1位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)    6h44'42"
2位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)
3位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
4位 アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)       +04"
5位 ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
6位 グレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク)          +06"
7位 デーヴィッド・タナー(オーストラリア、サクソバンク)
8位 マチュー・ペルジェ(フランス、アージェードゥーゼル)        +07"
9位 ミゲル・ミンゲス(スペイン、エウスカルテル)
10位 シモン・ザーナー(スイス、BMCレーシングチーム)

新人賞
マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)

スプリント賞
ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、UniSA)

山岳賞
ルーク・ロバーツ(オーストラリア、UniSAオーストラリア)

敢闘賞
ユリー・クリフトソフ(フランス、アージェードゥーゼル)

text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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