2011年1月6日から11日まで、オーストラリア南部ビクトリア州でオーストラリア選手権が開催され、ガーミン・サーヴェロ所属のジャック・ボブリッジがエリートロード、アレクシス・ローズがエリート女子ロード、キャメロン・マイヤーが個人タイムトライアルでそれぞれ優勝した。

エリート男子ロード 逃げグループを率いるジャック・ボブリッジ(ガーミン・サーヴェロ)エリート男子ロード 逃げグループを率いるジャック・ボブリッジ(ガーミン・サーヴェロ) photo:Cycling Australiaロード選手権の舞台となったのは、昨年ロード世界選手権が開催されたジーロングの北西80kmに位置するバララット。オーストラリアの中で最もロードレースが盛んな地域だ。

エリート男子のロードレースは登りを含む周回コースを16周する163.2kmで行なわれた。レースは序盤から6名が逃げグループを形成し、遅れてボブリッジが一人でここに合流。7名は最大3分のリードを稼ぎ出し、チームスカイがコントロールするメイン集団を突き放した。

エリート男子ロード メイン集団を牽引するチームスカイエリート男子ロード メイン集団を牽引するチームスカイ photo:Cycling Australiaやがて逃げグループからボブリッジとジェイ・クローフォード(ペガサススポーツ)が抜け出し、更にゴールまで3周回を残してボブリッジがアタック。ボブリッジが得意の独走力を発揮し、追い上げるメイン集団を37秒引き離してゴールに飛び込んだ。メイン集団の先頭はマシュー・ゴス(HTC・ハイロード)が穫っている。

2009年のTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)でステージ2勝を飾り、ロード世界選手権U23個人タイムトライアルで優勝したボブリッジ。トラック競技出身者らしい独走力が持ち味で、昨年トラック世界選手権の団体追い抜きで金メダル、個人追い抜きで銅メダルを獲得している。まだ21歳と若く、エリートカテゴリーのナショナルタイトル獲得はもちろんこれが初めてだ。

エリート男子ロード 独走勝利を飾ったジャック・ボブリッジ(ガーミン・サーヴェロ)エリート男子ロード 独走勝利を飾ったジャック・ボブリッジ(ガーミン・サーヴェロ) photo:Cycling Australia「オーストラリア人なら誰もが夢見るタイトルを獲得出来て、天にも昇る気分だ。誰でも勝ちたいと言うけど、実際に勝てるがどうかは別の話。ナショナルチャンピオンジャージを着てプロトンの中で走るなんて素晴らしいよ。昨年トラヴィス(マイヤー)が獲得したジャージを、チーム内でキープすることが出来てよかった」

ボブリッジはガーミン・サーヴェロのメンバーとしてツアー・ダウンアンダーに出場予定。そこでオーストラリアカラーのナショナルチャンピオンジャージを披露する。

エリート女子ロードで優勝したアレクシス・ローズ(ガーミン・サーヴェロ)エリート女子ロードで優勝したアレクシス・ローズ(ガーミン・サーヴェロ) photo:Cycling Australiaエリート女子はアレクシス・ローズ(ガーミン・サーヴェロ)が小集団のスプリントを制して優勝。初めてナショナルチャンピオンジャージを手にしている。

最終日には個人タイムトライアルが行なわれ、38.2kmのコースで47分10秒のトップタイムを叩き出したキャメロン・マイヤー(ガーミン・サーヴェロ)が連覇を達成した。2008年TOJ総合優勝に輝いているマイヤーは、昨年トラック世界選手権のポイントレース、団体追い抜き、マディソンで優勝している。

エリート男子個人TT 連覇を達成したキャメロン・マイヤー(ガーミン・サーヴェロ)エリート男子個人TT 連覇を達成したキャメロン・マイヤー(ガーミン・サーヴェロ) photo:Cycling Australiaマイヤーはこの日が23回目の誕生日。レース後のインタビューでその喜びを語る。「最高のバースデープレゼントになったよ。12月のハードなトレーニングの成果がこうして出て嬉しい。最終走者だったので、期待を背負いながら、大きなプレッシャーを感じていた。でもそれをモチベーションにして、トレーニングに励んできた。オーストラリアを代表してこのチャンピオンジャージをヨーロッパで着るのを楽しみにしている」

13秒差の2位に入ったのは「今朝、バイクに跨がったとき(2日前の)ロードレースの疲労が残っているのを感じた」と語るボブリッジ。「でもそれは想定内。2位の成績には満足している」ガーミン・サーヴェロはワンツー勝利を達成した。

近年オーストラリアは若手の成長が著しい。マイヤーとボブリッジはともにAIS(オーストラリア国立スポーツ研究所)出身選手。個人タイムトライアルで3位に入ったU23ロード世界チャンピオンのマイケル・マシューズ(ラボバンク)も同様にAIS出身だ。マイヤーは「ジャック(ボブリッジ)と僕は良いコンビだ。2人でプロ選手としての一歩を着実に踏み出せた」と語っている。ヨーロッパで活躍する若手オージーの活躍に期待したい。

レース展開と選手コメントはオーストラリア自転車競技連盟公式サイト(Cycling Australia)より。

エリート男子ロードレース
1位 ジャック・ボブリッジ(ガーミン・サーヴェロ)  4h12'42"
2位 マシュー・ゴス(HTC・ハイロード)          +37"
3位 サイモン・ジェランス(チームスカイ)
4位 バーナード・サルツバージャー(ペガサススポーツ)
5位 ラクラン・ノーリス
6位 キャメロン・マイヤー(ガーミン・サーヴェロ)
7位 トラヴィス・マイヤー(ガーミン・サーヴェロ)
8位 マチュー・ウィルソン(ガーミン・サーヴェロ)   +1'22"
9位 ネーサン・アール
10位 ティモシー・ロー(BMCレーシングチーム)     +1'37"

エリート男子個人タイムトライアル
1位 キャメロン・マイヤー(ガーミン・サーヴェロ)  47'10"
2位 ジャック・ボブリッジ(ガーミン・サーヴェロ)   +13"
3位 マイケル・マシューズ(ラボバンク)        +21"
4位 ベンジャミン・デイ(ペガサススポーツ)      +54"
5位 ジョン・アンダーソン              +1'25"
6位 ルーク・ロバーツ(ペガサススポーツ)      +1'59"
7位 ダレン・ロルフ                 +2'00"
8位 ドリュー・ジン                 +2'05"
9位 アダム・ハンセン(オメガファーマ・ロット)   +2'13"
10位 クリス・マーティン              +2'19"

text:Kei Tsuji
photo:Cycling Australia

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