向かい風の緩い上り区間、まるで機関車のような走りで畑中勇介(シマノレーシング)を引き離す佐野淳哉(TEAM NIPPO)。畑中も正面からの戦いを挑み、粘りの2位に

FR 女王をかけた争いFR 女王をかけた争い photo:Hideaki.TAKAGI9月23日(日)、実業団ロードレースの最高峰、経済産業大臣旗第44回全日本実業団対抗サイクルロードレース大会が修善寺の日本CSC5kmサーキットで行われた。 団体成績も重視され、総合優勝チームへは輪翔旗が贈られることも特徴。

悪天候が予想されたため、コースコンディションを考慮し、すべてのクラスで5kmサーキットの周回で、距離がやや短縮、混走なしの独立レースに。

女子は西加南子が優勝
FRは5周25kmで行われた。序盤から西加南子(LUMINARIA)、針谷千紗子(サイクルベースあさひレーシング)、高橋奈美(JBCF J-FEMININ)らがペースを上げる。

レースは3周目にいったん中断にレースは3周目にいったん中断に photo:Hideaki.TAKAGI小集団ができても次の上りまでには後続が合流し、アタックとけん制が繰り返される。終盤に針谷が連続してアタック、高橋もキレのいいアタックを繰り出し先頭は西を含めた3人に。
そしてゴール前で抜け出した西が貫録勝ち。
針谷は特に多くのアタックを繰り出したが、他者をふるい落とせずに消耗。高橋も同じくだが、最終周回でも集団に上位者がいたことは、女子選手がレベルアップしたともとらえられる。

優勝の西は「上位になった3人で先行して、さらにそこから抜け出す展開にしたかったがうまくできなかった。ゴールになれば針谷選手との戦いと思っていた。次はアジア大会へピークを持っていきます」

3周目、逃げの3人に佐野淳哉(TEAM NIPPO)が追いつく3周目、逃げの3人に佐野淳哉(TEAM NIPPO)が追いつく photo:Hideaki.TAKAGI再スタートのTRクラス
TRは18周90kmでスタートになったが、2周目から風雨が強まり、そして雷警報が発令されたため一時中断。30分間の協議の後に再スタート。1周ニュートラルで、レースは8周40kmとされた。
この時点で気温16度。前日には30度を超えていた修善寺だが、気温が急降下。冷えた状態で再スタートを切ったが、冷たい風雨のなか、モチベーションを保てることも必要になった。

40kmと短くなったことから、スタート直後からアタック合戦となる。宇都宮ブリッツェン、TEAM NIPPO、愛三工業レーシングチーム、シマノレーシングらが積極的に前へ出る。通常ならばクラブチームも参加するこの場面だが、さすがコンチネンタルチームの強者だけがアタック合戦に参加する。

7周目、佐野淳哉(TEAM NIPPO)がアタックを仕掛ける7周目、佐野淳哉(TEAM NIPPO)がアタックを仕掛ける photo:Hideaki.TAKAGI3人の先頭から佐野が抜け出す
3周目、すでにアタックしていたなかからヴィンツェンツォ・ガロッファロ(TEAM NIPPO)だけが先頭を走り、それに別府匠(愛三工業レーシングチーム)と畑中勇介(シマノレーシング)が合流、さらにメイン集団からは佐野淳哉(TEAM NIPPO)が単独で抜け出しこれに合流し先頭は4人に。

この4人で周回するが4周目に別府が下がり佐野、ガロッファロ、畑中の3人が先頭グループに。後続は、井上和郎(TEAM NIPPO)、松村光浩(愛三工業レーシングチーム)らが追走に出る。この構図のまま終盤へ進む。

ラスト2周になり、それまで均等にローテーションしていた3人だが、まず佐野のアタックで均衡が崩れる。
最終周回、下りで遅れた佐野に対してアタックする畑中勇介(シマノレーシング)最終周回、下りで遅れた佐野に対してアタックする畑中勇介(シマノレーシング) photo:Hideaki.TAKAGI緩い向かい風の上りで前に出る。このアタックには畑中が冷静に追走、追いつくと自らもアタックを仕掛ける。もちろんガロッファロが反応、再び3人へ。後続も迫っているため、けん制するまでにいたらずペースを保ったままニッポ2人とシマノ畑中の戦いが続く。

最終周回、下りで遅れがちだった佐野をチェックしていた畑中は、雨で濡れている下りでアタック、佐野を引き離す。上り返しで、遅れていた佐野が下りそのままのスピードでアタック、これには畑中が反応できない。佐野が力強く緩い上りをこぎ続ける。畑中も粘り強く走るが差が縮まらない。佐野のアタックが決まった。佐野は畑中を完全に離してゴール。2位には畑中が入った。

最終周回、佐野淳哉(TEAM NIPPO)がアタックを決めた最終周回、佐野淳哉(TEAM NIPPO)がアタックを決めた photo:Hideaki.TAKAGI優勝した佐野のコメント
「チームで勝てて嬉しい。距離が短かったので最初からみんなでガンガン行った。3人の逃げが決まったとき、後から井上選手が来ていたので待つことも考えたが、残りの距離も少なかったので無理せず3人で均等にまわした。最後は畑中選手が行ったからボクがそのままのスピードで行った。北海道は悔しかった。たった5秒だけれども、それが詰められなくて。今日はなんとしてでもチームとして勝ちたかった」
3日前に終わったツール・ド・北海道。得意としていたハードな第2ステージで2位となり5秒の差がついた。最終日まで、結局その5秒が重くのしかかり2位に。その悔しさを晴らす勝利だ。

佐野淳哉(TEAM NIPPO)が優勝佐野淳哉(TEAM NIPPO)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI2位畑中のコメント
「2位は最低限の結果。やはり勝ちたかった。3人になったときこのままいけばピンチと思った。自分がローテーションに加わらない選択肢もあったが、それはやりたくなかった。井上さんが追い上げていることと、シマノのメンバーが後ろに確認できないこともあった。最後は下りで佐野さんを離して、ガロッファロとスプリント勝負、という強行突破の作戦を取った。それをやるには力が必要。でも佐野さんが力で追いついて、そして前へ行った。自分がどうにかすれば勝てるかもしれないという思いがあって3人で逃げたが、結果負けてしまい、チームには申し訳ないです」

個人・団体ともに優勝で意気の上がるTEAM NIPPO個人・団体ともに優勝で意気の上がるTEAM NIPPO photo:Hideaki.TAKAGI「ガロッファロさん、佐野さんは以前からボクより上のレースで走っていて、あこがれていた部分があった。その選手たちと勝負して、少しは勝てるんじゃないかと思った自分が、振り返ってみると確かに以前よりは進歩したかなとは思います」
2位は負けかもしれないが、堂々と2人を相手に正面から戦いを挑んだ走りは評価できる。今年前半の畑中ならば、ニッポの2人に千切られていたかもしれない。シーズン後半に入り、さらに実力を増している。


結果
TR 
1位 佐野淳哉(TEAM NIPPO)
2位 畑中勇介(シマノレーシング)
3位 ヴィンツェンツォ・ガロッファロ(TEAM NIPPO)+38秒
4位 井上和郎(TEAM NIPPO)+39秒
5位 別府匠(愛三工業レーシングチーム)+48秒
6位 村上純平(シマノレーシング)+51秒
7位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)+56秒
8位 岩島啓太(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)
9位 小坂光(宇都宮ブリッツェン)
10位 品川真寛(愛三工業レーシングチーム)+57秒

団体総合成績
1位 TEAM NIPPPO 460p
2位 シマノレーシング 270p
3位 愛三工業レーシングチーム 140p

photo&text:高木秀彰
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