2010年9月3日、ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIヒストリカル)第7ステージが行なわれ、トレインを組んで万全の体制でスプリントに挑んだアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)が快勝。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)は今大会2度目のステージ2位。

レース後半にかけてペースを上げるウラディミール・イサイチェフ(ロシア、シャコベオ・ガリシア)やマルティン・ペデルセン(デンマーク、フットオン・セルヴェット)レース後半にかけてペースを上げるウラディミール・イサイチェフ(ロシア、シャコベオ・ガリシア)やマルティン・ペデルセン(デンマーク、フットオン・セルヴェット) photo:Unipublicスプリンターたちにとって前半戦最後のチャンスとなる第7ステージ。ムルシア東部に広がる平野部に設定された複雑な周回コースを経てオリウェラにゴールする。レース後半には3級山岳オンドン峠が設定されているものの、その難易度とゴールまでの距離(61km)を考えると勝負には関係しない。

ファーストアタックを決めたのはウラディミール・イサイチェフ(ロシア、シャコベオ・ガリシア)。2008年のプロ入り以降スペインチーム一辺倒の長身ロシアンルーラーには、遅れて3名が合流した。

ランプレやガーミン・トランジションズ、チームHTC・コロンビアがコントロールするメイン集団ランプレやガーミン・トランジションズ、チームHTC・コロンビアがコントロールするメイン集団 photo:Unipublicイサイチェフとともに逃げたのはホルヘマルティン・モンテネグロ(アルゼンチン、アンダルシア・カハスール)、ドミニク・ロエルス(ドイツ、チームミルラム)、マルティン・ペデルセン(デンマーク、フットオン・セルヴェット)。

すでに総合で大きく遅れている4名だけに、メイン集団はペースを落として状況を静観。タイム差が10分27秒まで広がってようやくランプレ、フランセーズデジュー、ガーミン・トランジションズ、オメガファーマ・ロットが集団牽引を開始した。

9月に入ってもスペインの熱波は弱まらず、この日も気温は33度まで上昇。スプリンターチームが率いるプロトンは、熱風吹き付ける荒涼とした平野を延々4時間以上に渡って走り続けた。

マイヨロホを着るフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)マイヨロホを着るフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) photo:Unipublicスペインで時の人となっているジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルヴェット)スペインで時の人となっているジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルヴェット) photo:Unipublicサコッシュの補給食を取り出すサミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)サコッシュの補給食を取り出すサミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス) photo:Unipublic


スプリンターたちは無事に3級山岳を集団内でクリアし、いよいよゴールに向かって本格的な追撃開始。しかしラスト40kmで風向きが追い風基調に転じ、逃げる4名に有利な状況に。メイン集団は60km/h近いスピードで巡航したが、タイム差の縮小は鈍く、ラスト30km地点で3分あったタイム差はラスト20km地点で2分。

レース後半の3級山岳オンドン峠の上りを進む選手たちレース後半の3級山岳オンドン峠の上りを進む選手たち photo:Unipublic

ファラーのためにメイン集団を牽引するデーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)ファラーのためにメイン集団を牽引するデーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) photo:Unipublicやがてラスト12km地点でタイム差は1分を割り込み、ついにラスト5kmで逃げは吸収されてしまう。大集団は複数チームが主導権を争いながらハイスピードでオリウェラの街に突っ込んだ。

ラスト2kmを切ってから隊列を組んで集団先頭に立ったのはランプレ。グレガ・ボーレ(スロベニア)、アンジェロ・フルラン(イタリア)、ダニーロ・ホンド(ドイツ)という黄金ラインにラスト200mで発射されたペタッキに敵う者はいなかった。

スプリントで競り合うアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)スプリントで競り合うアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vosカヴェンディッシュを抑え込んだペタッキは熟練のガッツポーズでゴール。CONI(イタリア五輪委員会)からドーピングの疑いがかけられているペタッキが、出場が危ぶまれていたブエルタでしっかり結果を残した。

レース後のインタビューでペタッキは「ツールの後、キャリアの中で最低とも呼べるほどの日々を送ってきた。毎日家族と過ごす時間やトレーニング時間を削って弁護士と打ち合わせを行なっていたので、調整不足の状態でスペインに到着。だからこうして勝つことが出来て本当に嬉しい。昨日までは調子が上がり切っていなかったけど、今日はチームメイトの完璧なリードアウトの甲斐もあって、素晴らしいスプリント勝利を掴むことが出来た。これは必要とされていた勝利だ」と安堵の表情を浮かべながらコメント。

スプリント勝利を飾ったアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ミルラム)スプリント勝利を飾ったアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ミルラム) photo:Unipublicペタッキにとってこれはブエルタステージ通算20勝目。ジロ・デ・イタリアではステージ通算21勝(本来26勝だったがドーピング違反により5勝が抹消)、ツール・ド・フランスではステージ6勝を飾っている。3つのグランツールを合計すると通算47勝目。36歳のベテランは、15年間のキャリアで積み重ねてきた勝利をこう振り返る。「これだけの結果を残すのは生易しいことじゃない。選手のキャリアが長く、努力が結果として現れると言うことを若い選手に見せることが出来たと思う」。

もちろんペタッキはロード世界選手権に出場する可能性がある。「だが世界選は別の話だ。260kmを超えるレースは別次元。しかも100名近いスプリンターが一つのアルカンシェルを懸けて闘うんだ。世界選で勝つためには完璧なコンディションが要求される。全ては(イタリア代表監督の)ベッティーニが決めること」。

ペタッキに敗れたカヴェンディッシュは第2ステージに続く2位。ポイント賞ジャージに袖を通したカヴェンディッシュは「ペタッキの番手で走っていたら、クイックステップの選手(スタウフ)が割り込んできた。彼は目の前でスプリントを始めたが、スプリントとは呼べないような加速だったよ。前が詰まったのでステージ優勝を逃してしまった。チームメイトがチャンスをもたらしてくれただけに残念。ペタッキを賞賛した。彼は素晴らしい選手だ」と、勝者を讃えた。

集団前方でゴールしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)はマイヨロホをキープ。しかし翌日から始まる本格的な山岳ステージで、ジルベールはマイヨロホを手放す可能性が高い。第8ステージは標高1000mクラスのカテゴリー山岳が合計5つ設定された190kmの山岳コースで行なわれる。ゴール直前に登場する最大勾配22%の1級山岳ソレット・デル・カティ峠では、総合成績を懸けた激しいバトルが繰り広げられるだろう。

この日のリタイア者は1名。フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)が体調不良によりレースを去った。この第7ステージ開催中にチームスカイのマッサージャーチェマ・ゴンザレス氏が病死したことを受け、チームスカイはレース撤退を決め、レース主催者はこれを受け入れた。

選手コメントはレース公式リリースより。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2010第7ステージ結果
1位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)        4h36'12"
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)
3位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
4位 アンドレアス・スタウフ(ドイツ、クイックステップ)
5位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
6位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
7位 ロベルト・フェルスター(ドイツ、チームミルラム)
8位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
10位 ワウテル・ウェイラント(ベルギー、クイックステップ)

個人総合成績(マイヨロホ)
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)  27h12'38"
2位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)          +10"
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)        +12"
5位 ピーター・ベリトス(スロバキア、チームHTC・コロンビア)     +16"
6位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)  +29"
7位 シャビエル・トンド(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)     +49"
8位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)        +50"
9位 ルーベン・プラサ(スペイン、ケースデパーニュ)          +54"
10位 エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)      +55"

ポイント賞(プントス)
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) 56pts
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)   53pts
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)         51pts

山岳賞(モンターニャ)
1位 セラフィン・マルティネス(スペイン、シャコベオ・ガリシア)   13pts
2位 ダリオ・カタルド(イタリア、クイックステップ)         8pts
3位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)         6pts

複合賞(コンビナーダ)
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)   16pts
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)       28pts
3位 シャビエル・トンド(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)    54pts

チーム総合成績
1位 ケースデパーニュ    81h11'48"
2位 カチューシャ       +1'05"
3位 オメガファーマ・ロット  +1'18"

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Unipublic

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