超級山岳にフィニッシュしたツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ8日目で、イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)が2日連続勝利とともに、逆転の総合優勝を飾った。メキシコ王者がこれ以上ない結果で、初出場となるツール・ド・フランスへ弾みをつけた。



スタート前に言葉を交わすセクサスとデルトロ photo:A.S.O.

ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ第8ステージ photo:A.S.O.
クリテリウム・デュ・ドーフィネから名称変更されたツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ(UCIワールドツアー)も、6月14日に最終日を迎えた。第8ステージの舞台は120.1kmのショートステージだが、そこに1級山岳と超級山岳が2つずつ詰め込まれた過酷なレイアウト。特に頂上にフィニッシュラインが引かれ、ツール・ド・フランスの第15ステージにも登場する超級山岳プラトー・ド・ソレゾンは登坂距離11.3km/平均勾配9.1%と、大会を締めくくるにふさわしい難易度だ。

この日も6名が未出走となったため、合計100名というさらにシェイプされた集団がスタートを切る。総合首位に立つのは6日目に逃げたルーク・タックウェル(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)で、総合2位のマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)とは42秒差。また前日勝者で総合3位のイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)は49秒差という中、レースは序盤から始まる1級山岳で7名の逃げ集団が形成された。

しかしこの登りで、メイン集団から総合6位のポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)が遅れる。前日の落車で左腕を負傷したフランス期待の19歳は、32km地点でバイクを降り、ツール・ド・フランスに向けて回復に努めることとなった。

100名まで減った選手たちがスタートを切る photo:A.S.O.

逃げはヴァランタン・パレパントル(フランス、スーダル・クイックステップ)を含む8名 photo:A.S.O.

プロトンは長時間にわたり、リドル・トレックが牽引した photo:A.S.O.

追走から合流した選手を加え、8名となった逃げ集団に対し、プロトンは総合4位フアン・アユソ(スペイン)で勝利を狙うべく、リドル・トレックが牽引した。ネットカンパニー・イネオスが3名を入れた逃げでは、最初の1級、続く超級山岳をクレマン・ブラズアフォンソ(フランス、グルパマFDJユナイテッド)がトップ通過し、着用する山岳賞ジャージを確定させる。そして最後から2つ目の1級山岳も越え、逃げとプロトンは長い下りを経て、超級山岳プラトー・ド・ソレゾン(距離11.3km/平均9.1%)に入った。

その時点で逃げとプロトンの差は50秒。下り区間でリドル・トレックからプロトン牽引を引き継いだUAEチームエミレーツXRGが登りでハイペースを刻み、各チームのアシストが遅れていくなか、総合リーダージャージを着るルーク・タックウェル(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がドロップ。そして逃げのリードが15秒まで縮まった残り8.9km地点で、早くもデルトロが加速した。

残り8km地点で単独先頭に立ったイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

その直前に牽引したパブロ・トレス(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)が強烈な牽引で後続を引き離したため、マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)やフアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック)の反応が遅れる。サッカーW杯開催国の1つでもあるメキシコの王者デルトロは、すぐに逃げていたカルロス・ロドリゲス(スペイン、ネットカンパニー・イネオス)とヴァランタン・パレパントル(フランス、スーダル・クイックステップ)をキャッチ。そして追い抜くとロドリゲスが食らいついたものの、残り8km地点で引き離された。

追走集団ではマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)がアユソのためにペースを作り、残り5.2km地点でそのアユソが加速してジョーゲンソンを引き離す。しかしその時点で、先頭を行くデルトロとの差は40秒まで広がっており、その後もタイムギャップはじわじわと広がっていく。終始軽快に脚を回したデルトロは笑顔のままフィニッシュに到着。2日連続勝利を手に入れた。

2日連続勝利を決めたイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

逆転の総合優勝を決め、ツールに向けて弾みをつけたイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

区間2位には1分遅れでアユソが入り、区間3位はトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)。ジョーゲンソンが失速して区間10位でフィニッシュした一方、この日も粘りの走りを見せたタックウェルは1分43秒遅れの区間7位でフィニッシュ。それにより、デルトロが総合優勝に輝き、タックウェルは総合2位、そしてアユソが総合3位と、全員がヤングライダー賞の対象者という若い総合トップ3となった。

自身初となるツール・ド・フランス出場に向け、これ以上ない結果を残したデルトロ。「ここ(最終山岳)は1ヶ月前にタデイ(ポガチャル)と試走した登りだ。逆転の総合優勝に向け、チーム全員が完全にコミットしていた。これほど強力なライバルたちに勝てたことは、大きな自信になる。ツールは僕にとって全く新しい体験となるが、この結果が『正しい方向に進んでいる』ことを示している」と、デルトロはコメントした。

ともにツールに出場するタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)は、6月17日に開幕するツール・ド・スイスに出場予定だ。
ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ2026第8ステージ結果
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) 3:35:07
2位 フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック) +1:00
3位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +1:02
4位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +1:31
5位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、XDSアスタナ)
6位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、ネットカンパニー・イネオス) +1:36
7位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +1:43
8位 ルーク・タックウェル(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
9位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、モビスター)
10位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)
個人総合成績
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) 29:35:05
2位 ルーク・タックウェル(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:54
3位 フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック) +1:17
4位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) +1:36
5位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +1:46
6位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +2:41
7位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、モビスター) +3:11
8位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、XDSアスタナ) +3:15
9位 ホセ・パッラ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) +6:25
10位 ギヨーム・マルタンギヨネ(フランス、グルパマFDJユナイテッド) +7:21
その他の特別賞
ポイント賞 ナダフ・ライスベルク(イスラエル、NSNサイクリングチーム)
山岳賞 クレマン・ブラズアフォンソ(フランス、グルパマFDJユナイテッド)
ヤングライダー賞 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)
チーム総合成績 ヴィスマ・リースアバイク
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

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