オーストラリア自転車競技連盟は11月25日、マシュー・リチャードソンを永久追放とする声明を発表。パリ五輪トラック競技で3つのメダルを獲得した同選手は、直後にイギリスに国籍を変更し、バイクやウェアを無断でイギリスチームに持ち込んだのだという。



オーストラリアからイギリスに移籍したマシュー・リチャードソン photo:CorVos

連盟は声明にて、リチャードソンが五輪前に無断で国籍変更を計画し、五輪で使用したバイクやウェアを無断でイギリスチームに持ち込んだと批判。「オーストラリアナショナルチームや自転車競技コミュニティの価値観と相反する」と指摘した。

これによりリチャードソンは、オーストラリア自転車競技チームへの復帰を永久に禁じられ、チームのリソースを利用できなくなる他、いかなる賞の受賞資格も失うこととなった。

リチャードソンはイギリス人の両親のもと生まれ、9歳でオーストラリアに移住。体操からトラック競技に転向後、2022年から頭角を現すと、短距離種目のトップ選手であるハリー・ラブレイセン(オランダ)と同年のUCIチャンピオンズリーグで互角の戦いを繰り広げた。

8月のパリ五輪では2つの銀メダルと1つの銅メダルを獲得したリチャードソンは、大会直後にSNSで「難しい決断だったが、選手キャリアと未来を考え、この選択が最良だと思った」と国籍変更を発表。11月23日のUCIトラック・チャンピオンズリーグ第1ラウンドではイギリス代表としてデビューすると、男子スプリントとケイリンの両種目で勝利。スプリントのリーダージャージを獲得するなど、好スタートを切っていた。

text:Sotaro.Arakawa