2024/11/29(金) - 15:00
グロータックが「EQUAL多調整型ROADペダル」をリリース。多調整方式を採用し、前後方向、回転方向、Qファクター、カント角、省力リリース機構などペダリングに関する調整機構を全て搭載されているペダルをインプレッションしていく。
グロータックはインドアサイクリングでも実走感を感じられる4本ローラーをはじめ、リムやハブ、ペダル、デュアルコントロールレバー、ディスクブレーキキャリパーなどを展開しているEQUALシリーズなど、さまざまなカテゴリーの自転車製品を開発するブランド。そのプロダクトの特徴は、既存の製品とは異なるアプローチをとっていたり、忘れられていた問題を解決したりといった、独創性に溢れているところだ。
そんなグロータックが新たにリリースしたのがビンディングペダルの「EQUAL多調整型ROADペダル」。ポジション調整や持病、ケガの悩みといったサイクリストが抱える問題解決の糸口として開発された一作だ。その最大の特徴が多くの調整機構を搭載していること。前後方向、回転方向、Qファクター、カント角、省力リリース機構などペダリングに関して思いつく限りの調整機構が全て搭載されている。
前後および左右方向はスピンドルユニットの位置を変更することにより対応。前後方向には-4mm、標準位置、+4mmの3段階で、左右方向にはQファクターを-4mm(48mm)、0(52mm)、+4mm(56mm)の3段階で調整が可能だ。
ペダルのスタックハイトはスペーサーの数を増減することで、1mm単位で調整することができる。13.5mm~22mm程度までが調整幅とされている。カント角は0.5度単位で調整可能だ。
クリートの可動角度も調整可能となっており、ペダルの爪の位置を左右に変更することにより±2度で調節可能。省力リリース機構によって、しっかりとしたシューズの固定力を確保しつつ、リリース時には少しの力で外しやすくなっている。
大口径15mm高剛性中空シャフトを採用し、パワー伝達効率に優れているのも特徴だ。また、ベアリングは左右それぞれ3個ずつ備えられており、しっかりとペダルボディを支えることで安定感のある回転を実現している。クリートはシマノ製に対応しているため使いやすく、急遽クリートが必要になった場合でも入手しやすいのがポイントだ。
繰り返し長く使ってほしいという願いから、ユーザーが自分自身で分解や清掃など、簡単にメンテナンスできることも嬉しいポイント。また、摩耗が避けられないペダルボディや爪が単品で購入できるため、長く使い続けられるプロダクトとなっている。
カラーはどんなバイクにもマッチしやすいブラックの一色展開。様々な調整機構が備わっていることもあり、重量は330gとなる。価格は33,000円(税込)だ。それではインプレッションに移っていこう。
―編集部インプレッション
今回、EQUAL多調整型ROADペダルをテストするのはCW編集部員の高木。これまでロード用ペダルでは、シマノやルック、スピードプレイ、タイムなどあらゆるブランドのペダルを使用してきたが、現在はシマノのSPD-SLペダルを愛用中。EQUAL多調整型ROADペダルはシマノのSPD-SLクリートに対応しているため、クリートセッティングを変えることはない状態でテストを実施していく。
重量を計ってみるとグロータックは330g(実測値)であるのに対し、普段使用しているDURA-ACE 236g(実測値)と96gの重量差がある。しかしこれは、他のペダルにはない5つの調整機構が備わっていると考えれば、納得がいく重量である。まず前後位置、左右位置、Qファクターなどはデフォルトな位置でテストを開始し、様々な調整機構を使って、自分好みのカスタムを探していくことにした。
まずはペダルとしての基本的な使い心地について触れていこう。踏み心地に関してはペダルの踏み面積が広いため、パワー伝達に優れていると感じる。更に、15mmもの大口径高剛性中空シャフトを採用していることや、ペダルのスタックハイトが低さも相まって、ダイレクトな踏み心地が印象的。3つ並べられたベアリングのおかげか体重をかけるペダリングでもスムーズに回転してくれるのは好印象だ。
さて、それでは肝心の調整機構について。最近のクランクはQファクターが2mmくらい広がっている。例えば、シマノ DURA-ACEであれば9000シリーズとR9100シリーズのQファクターは146mmであるのに対し、R9200シリーズでは148mmと2mm広がっているため、新型DURA-ACEのクランクに切り替えた場合は2mm幅広くなっていることになる。Qファクターが変化すれば、ペダリングにも影響があるはずだ。
PD-R9100ペダルのQファクターは52mm。EQUAL多調整型ROADペダルのQファクターは-4mm(48mm)、0(52mm)、+4mm(56mm)とQファクターを狭くも広くもできる。自分自身は座骨の幅が広く、クリートの位置もQファクターを広げるような位置にクリートを取り付けている。前後方向は-4mm、標準位置、+4mmの3段階で調整が可能となっているため、シューズのクリート調整幅に加えて、よりつま先より、もしくは踵よりにセッテイングができるメリットもある。
ペダルのスタックハイトはシマノ DURA-ACEのPD-R9100が14.6mmであるのに対し、グロータックが13.5mm~22mmまでの間で調整可能となっているため、よりダイレクトな踏み心地のセッティングも可能。最大までスペーサーを積めば、シートポストの出しろを確保することも可能だ(笑)。長距離乗ると膝が痛む方にとっては、ペダルでカント角を調整することでペダリング時の膝の軌道を修正できるため、膝の痛みなども解消できるだろう。
さて、これらの調整は、これまでクリート側で行うものであった。前後左右の位置調整はもちろん、カント角やスタックハイトはスペーサーをクリートとシューズの間に挟むことで調整してきたが、これらをペダル側で調整できることにより生まれるメリットとはなんだろうか。
一つは、シューズのクリート取り付け位置の範囲を越えたセッティングが可能となること。たとえば、一番クリートを踵よりに取り付けつつ、さらにペダル側を踵よりに設定することで、一時期話題となったミッドフットクリートポジションに近いセッティングを試すことも出来る。これまでの常識を破るような実験的なポジションを試行錯誤出来るのは大きなメリットの一つだろう。
そしてもう一つが、クリートに触れることなくポジションを調整できることだ。特に利き足でない方の足は、僅かなクリート角のズレにも敏感であったりする。3つ穴クリートであれば、前後左右に加え角度も一度に決めなければならない。それをそれぞれの要素に分解しつつ、調整できるようになるのはありがたい。
普段からロードレースやクリテリウム、ハードなトレーニングをすることが多いため、ビンディングシューズが外れにくいようにする意味でもクリートの固定力は強めに設定していることが多い。一方で、ビンディングシューズをリリースする時には力が必要となってしまう。
一方でEQUAL多調整型ROADペダルは省力リリース機構が備わっているため、クリートの固定力を高める設定であっても、少ない力でリリースできる。咄嗟にシューズを外すような場面があると思うが、そんな時にも機能してくれる。初心者から上級者まで嬉しい機能である。
今回、前後方向や回転方向、Qファクター、カント角、省力リリース機構などを調整するためにペダルを分解してみたが、メンテナンスもしやすい印象だ。クリートの付け外しによる摩耗などもあるが、消耗品自体も細かく入手することが可能となっているため、ユーザー自身で修理できるのもメリットであり、サステナビリティを大切にするユーザーにとっても魅力的な一品と言えるだろう。
多くの調整機構を搭載することで、自身にマッチしたペダルを作り上げることができるEQUAL多調整型ROADペダルは、持病やケガに悩まされて、サイクリングから遠ざかっていたサイクリストにも寄り添った製品になっている。ライダーと自転車の数少ないコンタクトポイントの1つであり、その中でも最も激しく動くペダルというパーツにとって、自分にぴったりフィットすることは何にも代えがたいはずだ。
グロータック EQUAL多調整型ROADペダル
前後調整幅:0mm、+4mm、-4mm
回転調整角度:0度、右2度、左2度
Qファクター:0(52mm)、+4mm(56mm)、-4mm(48mm)
スタックハイト:13.5mm~22mm程度
カント角:-4°~+4° (0.5°刻み)
対応クリート:シマノ製ロード用クリート(赤色/黄色/青色)
参考重量:330g(ペア)
付属品:・ROADペダル本体(右+左):一式
・スタックハイトスペーサー(1mm):8枚
※8枚中2枚は、左右のペダル本体に1枚ずつ組み込まれています。
・カント角スペーサー(0.5°):2枚
・カント角スペーサー(1°):4枚
・16mm スピンドル取付ねじ(緩み止め付):8本
・20mm スピンドル取付ねじ(緩み止め付):8本
価格:33,000円(税込)
グロータックはインドアサイクリングでも実走感を感じられる4本ローラーをはじめ、リムやハブ、ペダル、デュアルコントロールレバー、ディスクブレーキキャリパーなどを展開しているEQUALシリーズなど、さまざまなカテゴリーの自転車製品を開発するブランド。そのプロダクトの特徴は、既存の製品とは異なるアプローチをとっていたり、忘れられていた問題を解決したりといった、独創性に溢れているところだ。
そんなグロータックが新たにリリースしたのがビンディングペダルの「EQUAL多調整型ROADペダル」。ポジション調整や持病、ケガの悩みといったサイクリストが抱える問題解決の糸口として開発された一作だ。その最大の特徴が多くの調整機構を搭載していること。前後方向、回転方向、Qファクター、カント角、省力リリース機構などペダリングに関して思いつく限りの調整機構が全て搭載されている。
前後および左右方向はスピンドルユニットの位置を変更することにより対応。前後方向には-4mm、標準位置、+4mmの3段階で、左右方向にはQファクターを-4mm(48mm)、0(52mm)、+4mm(56mm)の3段階で調整が可能だ。
ペダルのスタックハイトはスペーサーの数を増減することで、1mm単位で調整することができる。13.5mm~22mm程度までが調整幅とされている。カント角は0.5度単位で調整可能だ。
クリートの可動角度も調整可能となっており、ペダルの爪の位置を左右に変更することにより±2度で調節可能。省力リリース機構によって、しっかりとしたシューズの固定力を確保しつつ、リリース時には少しの力で外しやすくなっている。
大口径15mm高剛性中空シャフトを採用し、パワー伝達効率に優れているのも特徴だ。また、ベアリングは左右それぞれ3個ずつ備えられており、しっかりとペダルボディを支えることで安定感のある回転を実現している。クリートはシマノ製に対応しているため使いやすく、急遽クリートが必要になった場合でも入手しやすいのがポイントだ。
繰り返し長く使ってほしいという願いから、ユーザーが自分自身で分解や清掃など、簡単にメンテナンスできることも嬉しいポイント。また、摩耗が避けられないペダルボディや爪が単品で購入できるため、長く使い続けられるプロダクトとなっている。
カラーはどんなバイクにもマッチしやすいブラックの一色展開。様々な調整機構が備わっていることもあり、重量は330gとなる。価格は33,000円(税込)だ。それではインプレッションに移っていこう。
―編集部インプレッション
今回、EQUAL多調整型ROADペダルをテストするのはCW編集部員の高木。これまでロード用ペダルでは、シマノやルック、スピードプレイ、タイムなどあらゆるブランドのペダルを使用してきたが、現在はシマノのSPD-SLペダルを愛用中。EQUAL多調整型ROADペダルはシマノのSPD-SLクリートに対応しているため、クリートセッティングを変えることはない状態でテストを実施していく。
重量を計ってみるとグロータックは330g(実測値)であるのに対し、普段使用しているDURA-ACE 236g(実測値)と96gの重量差がある。しかしこれは、他のペダルにはない5つの調整機構が備わっていると考えれば、納得がいく重量である。まず前後位置、左右位置、Qファクターなどはデフォルトな位置でテストを開始し、様々な調整機構を使って、自分好みのカスタムを探していくことにした。
まずはペダルとしての基本的な使い心地について触れていこう。踏み心地に関してはペダルの踏み面積が広いため、パワー伝達に優れていると感じる。更に、15mmもの大口径高剛性中空シャフトを採用していることや、ペダルのスタックハイトが低さも相まって、ダイレクトな踏み心地が印象的。3つ並べられたベアリングのおかげか体重をかけるペダリングでもスムーズに回転してくれるのは好印象だ。
さて、それでは肝心の調整機構について。最近のクランクはQファクターが2mmくらい広がっている。例えば、シマノ DURA-ACEであれば9000シリーズとR9100シリーズのQファクターは146mmであるのに対し、R9200シリーズでは148mmと2mm広がっているため、新型DURA-ACEのクランクに切り替えた場合は2mm幅広くなっていることになる。Qファクターが変化すれば、ペダリングにも影響があるはずだ。
PD-R9100ペダルのQファクターは52mm。EQUAL多調整型ROADペダルのQファクターは-4mm(48mm)、0(52mm)、+4mm(56mm)とQファクターを狭くも広くもできる。自分自身は座骨の幅が広く、クリートの位置もQファクターを広げるような位置にクリートを取り付けている。前後方向は-4mm、標準位置、+4mmの3段階で調整が可能となっているため、シューズのクリート調整幅に加えて、よりつま先より、もしくは踵よりにセッテイングができるメリットもある。
ペダルのスタックハイトはシマノ DURA-ACEのPD-R9100が14.6mmであるのに対し、グロータックが13.5mm~22mmまでの間で調整可能となっているため、よりダイレクトな踏み心地のセッティングも可能。最大までスペーサーを積めば、シートポストの出しろを確保することも可能だ(笑)。長距離乗ると膝が痛む方にとっては、ペダルでカント角を調整することでペダリング時の膝の軌道を修正できるため、膝の痛みなども解消できるだろう。
さて、これらの調整は、これまでクリート側で行うものであった。前後左右の位置調整はもちろん、カント角やスタックハイトはスペーサーをクリートとシューズの間に挟むことで調整してきたが、これらをペダル側で調整できることにより生まれるメリットとはなんだろうか。
一つは、シューズのクリート取り付け位置の範囲を越えたセッティングが可能となること。たとえば、一番クリートを踵よりに取り付けつつ、さらにペダル側を踵よりに設定することで、一時期話題となったミッドフットクリートポジションに近いセッティングを試すことも出来る。これまでの常識を破るような実験的なポジションを試行錯誤出来るのは大きなメリットの一つだろう。
そしてもう一つが、クリートに触れることなくポジションを調整できることだ。特に利き足でない方の足は、僅かなクリート角のズレにも敏感であったりする。3つ穴クリートであれば、前後左右に加え角度も一度に決めなければならない。それをそれぞれの要素に分解しつつ、調整できるようになるのはありがたい。
普段からロードレースやクリテリウム、ハードなトレーニングをすることが多いため、ビンディングシューズが外れにくいようにする意味でもクリートの固定力は強めに設定していることが多い。一方で、ビンディングシューズをリリースする時には力が必要となってしまう。
一方でEQUAL多調整型ROADペダルは省力リリース機構が備わっているため、クリートの固定力を高める設定であっても、少ない力でリリースできる。咄嗟にシューズを外すような場面があると思うが、そんな時にも機能してくれる。初心者から上級者まで嬉しい機能である。
今回、前後方向や回転方向、Qファクター、カント角、省力リリース機構などを調整するためにペダルを分解してみたが、メンテナンスもしやすい印象だ。クリートの付け外しによる摩耗などもあるが、消耗品自体も細かく入手することが可能となっているため、ユーザー自身で修理できるのもメリットであり、サステナビリティを大切にするユーザーにとっても魅力的な一品と言えるだろう。
多くの調整機構を搭載することで、自身にマッチしたペダルを作り上げることができるEQUAL多調整型ROADペダルは、持病やケガに悩まされて、サイクリングから遠ざかっていたサイクリストにも寄り添った製品になっている。ライダーと自転車の数少ないコンタクトポイントの1つであり、その中でも最も激しく動くペダルというパーツにとって、自分にぴったりフィットすることは何にも代えがたいはずだ。
グロータック EQUAL多調整型ROADペダル
前後調整幅:0mm、+4mm、-4mm
回転調整角度:0度、右2度、左2度
Qファクター:0(52mm)、+4mm(56mm)、-4mm(48mm)
スタックハイト:13.5mm~22mm程度
カント角:-4°~+4° (0.5°刻み)
対応クリート:シマノ製ロード用クリート(赤色/黄色/青色)
参考重量:330g(ペア)
付属品:・ROADペダル本体(右+左):一式
・スタックハイトスペーサー(1mm):8枚
※8枚中2枚は、左右のペダル本体に1枚ずつ組み込まれています。
・カント角スペーサー(0.5°):2枚
・カント角スペーサー(1°):4枚
・16mm スピンドル取付ねじ(緩み止め付):8本
・20mm スピンドル取付ねじ(緩み止め付):8本
価格:33,000円(税込)
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