カヴェンディッシュの鮮やかな区間4勝目の裏では熾烈なマイヨヴェール争いが勃発。総合を狙う選手は翌日のタイムトライアルにむけて力を温存した第18ステージ。有力選手たちのコメント。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)
「今日はスタート出来るかどうかも分からない状態だった。ピレネーの4日間は気管支炎で苦しんだよ。でもプロトンの中には自分のような選手が山ほどいた。しかも昨夜ついに風邪をこじらせてしまって、撃沈していたんだ。その時はまさか今日スタートするとは思わなかった。今朝起きてチームスタッフと相談し、『よし、とりあえずスタートしよう。上手くいけば上手くいく。ダメならダメ。それだけ』と言ってスタートすることにした。レース中、ブラッド(ウィギンズ)『今日スプリントするの?』と聞かれたので『もちろん』と答えた。彼に『やっぱりスプリントに集中しているときは言葉が少ない』と言われたよ。でも実際はそれほどプレッシャーを感じていなかった」

ツァベルと勝利を喜ぶマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)ツァベルと勝利を喜ぶマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vos

「チームメイトたちが集団の先頭で猛烈にペースを上げ始めたのを見るのは快感だ。チームメイトが集団を牽き続けているとき、僕は10番手あたりに位置していた。逃げていた選手たちは強力で、(ダニエル)オスを捕まえるのは骨折りだった。オス吸収のために、チームはマイケル(ロジャース)とトニ(マルティン)を集団先頭に送り込んだ。ラスト1kmを切ってからは、自分でポジションを見つけなければならない状態だった。選手たちを一人ずつ抜いてポジションアップ。昔得意だったスプリントスタイルでチャンスをモノにすることが出来たんだ」

「この勝利はマーク(レンショー)に捧げたい。ずっと彼に勝利を捧げたいと思っていた。先日自分のグローブに“レンショー”と書こうとしたら、(チームGMの)ボブに止められたよ。でも今日はチーム一丸となってマークのために走った。思い出深いステージ優勝になったよ。レース中も、夕飯を食べているときも、彼が欠けていることに違和感を覚える。彼の失格処分は間違いだ」

「マイヨヴェール争いからは第1週に脱落している。マイヨヴェール獲得は自分の目標から外れている。自分に出来るのはただ勝ち続けること。パリで再び勝って、ジャージ争いの行方がどうなるか見てみたい」

アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)
「今日は二つの目標を頭に入れてスプリントに挑んだ。一つは、現在世界最強の加速力をもつカヴェンディッシュを打ち負かすこと。そしてもう一つはフースホフトより前にゴールしてマイヨヴェールを再び手に入れること。発射台役のチームメイトの後ろで走っているフースホフトの姿を見て、向かい風が吹いていたけど、ロングスプリントに持ち込むことを決めたんだ」

マイヨヴェールに再び袖を通したアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ)マイヨヴェールに再び袖を通したアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ファルネーゼヴィニ) photo:Cor Vos

「カヴェンディッシュは抜群のタイミングでスプリントを開始して、そして追い抜いて行った。それからゴールまでは、ひたすらもがき続けた。かなり手こずったよ。気管支炎が悪化した影響で、前半のステージよりコンディションが落ちているけど、チームメイトのサポートのおかげでポイント賞トップの座を奪い返すことが出来た。でもまだマイヨヴェールを懸けた闘いは終わっていない。まだオープンだ。フースホフトもカヴェンディッシュも諦めていない。全力で立ち向かってみせる」

トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)
「今日のスプリントは非常に厳しかった。チームは少し前に出るのが早すぎた。向かい風が強く、自分のスプリントに持ち込むことが出来なかったんだ。今年のツールでは良いカタチでスプリントに挑めた試しがない。その悪い流れが今日も継続してしまった。もうマイヨヴェールの望みは絶えてしまった。それも人生。今年のツールには充分満足している。シャンゼリゼでもう一度スプリントに挑んでみるよ」

熾烈なマイヨヴェール争いの渦中にいるトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)熾烈なマイヨヴェール争いの渦中にいるトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム) photo:Makoto Ayano

アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
「今自分は総合成績のトップに立っている。でも明日同じポジションにいる確証はない。3週間のレースでは何が起こるか分からない。今日調子が良かったけど、明日調子が落ちていることは充分に有り得ること。明日はブドウ畑を縫うフラットコース。腰を上げてダンシングする機会はほとんど無いと思う。もちろん全力で走るけど、前を走るアンディのタイムを参考にしながらペースを作る。そしてステージ優勝を飾りたい」

総合優勝に向けて個人タイムトライアルを残すばかりとなったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)総合優勝に向けて個人タイムトライアルを残すばかりとなったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos

「最終日が近づくと選手たちは浮き足立つので、今日は少しトリッキーだった。幸い自分にはサポートしてくれるチームメイトたちがいて、スムーズに走ることが出来た。最後の数キロはかなりスピードが上がったので落ち着かなかったよ」

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
「明日も自分の脚が回ってくれることを願っているよ。自分のこれまでのキャリアの中で、明日は最も重要な一日だ。闘う準備は出来ている。昨日あれだけ追い込んだのに、今日の調子の良さには驚いた。他の選手たちが苦しみながらビッグギアを踏んでいるのに、自分のペダルは快調に回り続けた。明日に向けてエネルギーをセーブすることが出来たよ」

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)とランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)が会話しながら走るアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)とランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)が会話しながら走る photo:Makoto Ayano


選手コメントはレース公式サイト、ならびにチーム公式サイトより。

text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano,Cor Vos

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