アークティックレース・オブ・ノルウェー最終日にマグナス・コルト(デンマーク)が勝利し、総合優勝を確定。母国レースのウノエックス・モビリティは4日間中3勝と総合優勝を獲得し、これ以上ない成果を収めている。



バイキングの角をつけて登場したヨハン・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)。ステージ前に2028年までの契約延長を発表した photo:A.S.O.

ノルウェーのフィヨルドを駆け巡るアークティックレース・オブ・ノルウェー(UCI.Pro)もいよいよ最終日。グロムフィヨルドからボーデを目指す156.7kmコースは難易度の低い丘陵ステージで、最後はボーデ市街地の周回コースを2し、2級山岳が付与された1.1kmの登坂フィニッシュで4日間を締めくくる。

この日は6名が先行し、前日のクイーンステージで総合首位に立ったマグナス・コルト(デンマーク)擁するウノエックス・モビリティが集団をコントロール。逃げ切り不向きのコース設定だったものの、逃げグループに入った48秒遅れの総合38位ヨナス・グレゴー(デンマーク、ロット・ディステニー)がレースを賑やかすこととなった。

フィヨルドの風景の中を逃げる逃げグループ photo:A.S.O.

壮大な風景の中をプロトンが進む photo:A.S.O.

チームメイトであるローガン・カリー(ニュージーランド)のアシストを得たグレゴーは、この日-3秒のボーナスタイムを得ることのできる中間スプリント3箇所を全て先頭通過して総合タイム差を39秒にまで縮めることに成功。さらにウノエックスが思うようにタイム差を縮めることができなかったため、もしメイン集団を30秒引き離してステージ優勝を収めれば-10秒で総合逆転優勝というチャンスが舞い込んだ。

残り2km地点で逃げとメイン集団の差は35秒。劇的ドラマもかくや、と思われたものの、フィニッシュを目指す2級山岳(距離1100m/平均勾配9.2%)は、これまで脚を使ってきたグレゴーには厳しいものだった。全メンバーを置き去りにして一人逃げ続けたいたグレゴーを、メイン集団でタイミングを待ち続けていたマグナス・コルトが一気にスプリントで抜き去り、追いすがるクレモン・シャンプッサン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)を抑えて勝利。総合首位自ら最終ステージを獲り、ダメ押しで総合優勝を決めてみせた。

逃げ続けたグレゴーを追い抜き、フィニッシュを目指すマグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ) photo:A.S.O.

マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)が最終日にステージ優勝 photo:A.S.O.

個人総合成績トップスリー。1位コルト、2位シャンプッサン、3位ヴェルマーク photo:A.S.O.

先のツール・ド・フランスで積極的な走りを見せ、好調のまま北欧レースに臨んだコルトが総合優勝。ウノエックスにとっても4日間中3日間でステージ優勝+総合優勝という、母国レースで最高の結果を掴むこととなった。「ここ数日は素晴らしいチームワークを体感することができた。このレースで過去最強のチーム力だったと思う」と、イエロージャージを持ち帰ることになったコルトは話している。

アークティックレース・オブ・ノルウェー2023第4ステージ結果
1位 マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ) 3:19:01
2位 クレモン・シャンプッサン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)
3位 ファビオ・クリステン(スイス、Q36.5プロサイクリング) +0:02
4位 イェノ・ベルクムース(ベルギー、ロット・ディステニー)
5位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)
個人総合成績
1位 マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ) 14:59:45
2位 クレモン・シャンプッサン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) +0:17
3位 ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:19
4位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー) +0:20
5位 ファビオ・クリステン(スイス、Q36.5プロサイクリング) +0:21
その他の特別賞
ポイント賞 マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)
山岳賞 イェーレ・ヨハニンク(オランダ、TDTユニベット)
ヤングライダー賞 ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
チーム総合成績 ジェイコ・アルウラー
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos