今年ツールの総合敢闘賞に輝いたヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)が、来季は個人タイムトライアルに力を注ぐと宣言。かつてのアワーレコード保持者かつTTスペシャリストがその先に見据えるのは、ステージレースでの総合優勝だ。



今年のツールで総合敢闘賞を獲得したヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos

「来年はもう少しタイムトライアルに注力していく。もちろんそれ一本に絞っていた以前のようではなく、(全く乗っていなかった)TTバイクに週に1〜2度は乗るようにしたい」と、ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)はイタリアのSpazioCilismoのインタビューに答えた。

2019年に当時のアワーレコード世界記録である55.089kmをマークし、同年のティレーノ~アドリアティコでは個人TTでステージ優勝を飾ったカンペナールツ。その影響からTTスペシャリストという印象が強いものの、2021年からは徐々にワンデーレースにスイッチ。チームメイトであるトーマス・デヘントのお株を奪う積極的な逃げからジロ・デ・イタリアでステージ優勝し、今年のツール・ド・フランスでは何度も逃げに乗り総合敢闘賞を獲得した。

4年振りのTT勝利を喜ぶヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos

そんなカンペナールツが再びTTに注力するきっかけとなったのは、今年9月のツール・ド・ルクセンブルクだったと本人は語る。「ルクセンブルクでは総合成績を狙っていたものの、クイーンステージでバッドデイを迎えてしまった。しかし個人TTではその直前に行われたTT世界選手権で4位に入ったブランドン・マクナルティを退けて勝利。それが再びTTの能力を向上させたいモチベーションになった」。

しかし目標はあくまでもステージレースでの総合優勝で「ベルギーツアーやベネルクス・ツアーで総合順位を守ることに繋がるかもしれないからね」と語った。

今年は2月下旬のオンループ・ヘットニュースブラットでシーズン開幕戦となったカンペナールツだが、来年は始動時期を早めるのだという。「オンループの前からシーズンを始め、ブエルタ・ア・アンダルシアからオムロープ、その後はアルノー・デリー(ベルギー)次第でパリ〜ニースかティレーノ~アドリアティコに出場するかを決める。その後はE3サクソ・クラシックとドワーズ・ドール・フラーンデレン、そしてロンド・ファン・フラーンデレンがシーズン序盤の目標となる」。

現在は雨の多いベルギーから冬でも温暖な気候のスペインに、パートナーと愛犬とともに一時的に引っ越してきたカンペナールツ。半袖でも走ることのできるスペインで、来年のシーズンインまでトレーニングを積むのだという。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos