クスはS5ではなくR5を駆り、フルームはポール・スミスエンディションのOSTRO VAMを披露。煌びやかなスペシャルペイントに、個性的なカスタマイズ。さいたまクリテリウムに集った、過去グランツールを制しステージ優勝を挙げてきたチャンピオンたちの機材に迫ります。



セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)のサーヴェロ R5

セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)のサーヴェロ R5 photo:So Isobe

こちらはヤン・トラトニクのR5。チーム内使用率はR5に軍配が上がる photo:So Isobe
「おうち用バイク」 photo:So Isobe



ブエルタ・ア・エスパーニャ覇者であるセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)のチョイスは、S5に乗る他のチームメイトと異なりサーヴェロの軽量クライミングモデルであるR5。ツールやブエルタ本戦でもR5を選ぶ場面が多かったが、その理由は「僕はクライマーだしR5を選ぶ機会が多いんだ。もちろん空力面ではS5に敵わないけど、走りはこっちの方が僕に合っている」とのこと。

スラムは52/39Tや54/41Tといった大きなチェーンリングを用意している(トップ10Tカセットを使用するため実質的なギア比はシマノより大きい)が、クスのチョイスは50/37Tと小さめ。新型RED用と推測される情報が自転車界を賑わせているが、さいたま参加選手は全て現行モデルを使っていた。なおシルバーロゴのブレーキレバーは選手供給専用品だ。

小さめな50/37Tチェーンリング。保護用のクリアシートにも注目 photo:So Isobe

足回りはリザーブの40/44ホイールにヴィットリアのCORSA N.EXT(28c)をセットする。レースでは使うCORSA PROに対してこちらはトレーニング用と考えて良いだろう(チームメイトのヤン・トラトニクは同じ組み合わせでチューブド仕様)。クスのR5には厚手の保護ビニールシートがクランクやチェーンステーに貼られていたりと、出来るだけバイクを傷つけないよう配慮されていた。



クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック)のポール・スミスエディション

クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック) のファクター OSTRO VAM photo:So Isobe

シートチューブ裏にはポール・スミスのストライプ photo:So Isobe
合計7勝。フルームの来年ツール復帰なるか photo:So Isobe


普段フルームはゲビオマイズドのサドルだが、今回はセッレイタリア photo:So Isobe
タイヤは普段使うコンチネンタルではなくグッドイヤー photo:So Isobe



ポール・スミスエディションのファクターOSTRO VAMを引っ提げて注目を集めたのは、過去4度のツール総合覇者であるクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック)だ。同じイギリスの盟友のためにデザインされた、ブルーとグリーンベースをベースにしたポール・スミスお得意のカラーリングは目に鮮やか。シートチューブの裏には一見でそれと分かるシグネチャーストライプが記されている。なお販売品はブラックインクの一体型ハンドルにもストライプが入るが、フルームが駆ったバイクのハンドルは普通のカラーリング。

シマノDURA-ACE、ブラックインクのホイール、FSAのクランクセットなどはチーム仕様と共通ではあるものの、グッドイヤーのタイヤ(チームはロゴを消したコンチネンタルタイヤを使う)や、パワーメーターはもちろんコンピューターすら使っていないこと、セッレイタリアのサドル(普段はゲビオマイズド)と、かなり「展示車感」溢れる仕様のままさいたまクリテを走った。



ベルナルとチッコーネの追加スイッチに注目

ベルナルのバイクは両ブラケットの下側に変速スイッチを取り付ける photo:So Isobe

エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)のピナレロ DOGMA F photo:So Isobe
ジロとツールを制した証が入る photo:So Isobe



さいたまクリテを走った選手の中で、変速用追加スイッチを一風変わった場所に取り付けていたのがエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)とジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)の2人だ。

ベルナルはシマノDI2のサテライトスイッチをブラケットフードの下側に穴を開けてセット。場所からして指をレバーのシフトスイッチに動かすことなく中指の腹部分で変速できるようにしたものと推測される。彼のピナレロ DOGMA Fに記された黄色とピンクの帯は、もちろん過去ツール・ド・フランス、そしてジロ・デ・イタリア総合優勝の証。

エンド部分の下側にスラムのBlipsを取り付けたチッコーネのMadone photo:So Isobe

チッコーネは一体型ハンドルを使わない。Madoneとノーマルハンドル+ステムを組み合わせる photo:So Isobe
小さなトレックシールでサドル位置をマーク photo:So Isobe



また、チッコーネはドロップハンドルの両エンドに近い下側部分にスラムのWireless Blipsをセット。場所から推察するに、スプリント中ではなく、リラックスした状態で下ハンドルを握りながら変速するための工夫だろう。



サガンとカブのスペシャルカラー、ハンセンの180mmクランクなどなど

ペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)のスペシャライズド S-WORKS tarmac SL7 photo:So Isobe

今季、トップチームの中で唯一11速を使ったトタル。サガンのバイクも旧型DURA-ACEがセットされていた photo:So Isobe
マウントはトタルのコーポレートカラー photo:So Isobe


マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)のウィリエール Filante SLR photo:So Isobe

大理石をイメージした、カヴのためのスペシャルペイント photo:So Isobe
ゼッケン34。来年ツールで35勝に達するか photo:So Isobe



先日発売されたK-Edgeのパワーメーター用マグネット付きチェーンウォッチャー。多くのチームが採用する photo:So Isobe

アダム・ハンセンは180mmクランク。チェーンリングは7900系DURA-ACE(!) photo:So Isobe


text&photo:So Isobe

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