2022年にアルケア・サムシックを退団し、無所属状態が続いていたナイロ・キンタナ(コロンビア)がモビスターと1年契約を結んだ。同選手は2022年ツールでUCI(国際自転車競技連合)が禁止する薬物が検出され、同大会の成績が剥奪された。



古巣モビスターへの復帰が発表されたナイロ・キンタナ(コロンビア) photo:Makoto.AYANO

「ホームであるモビスターに戻ってくることができ、とても感動している。今年はとてもタフな年だった。何日も眠れぬ夜が続き、多くの日を犠牲にした。だが雨の日も太陽が照りつく日も自転車に乗り続けた。その努力が報われたので、この好機を絶対に無駄にしない」と、ナイロ・キンタナ(コロンビア)はモビスターが公開した動画でそう語った。

モビスターで2014年ジロ・デ・イタリアの総合優勝や、ツール・ド・フランスで2度の総合2位など輝かしい成績を残してきたキンタナ。2020年にアルケア・サムシックへ移籍後、出場した2022年のツールでは総合6位入賞を果たした。しかし、同大会の検体から2度に渡りオピオイド系の鎮痛剤の1つであるトラマドール、及びその2つの主要代謝物が検出。WADA(世界アンチドーピング機構)が定める禁止薬物には該当しないものの、その副作用からUCIが2019年より禁止している物質のため同大会の成績が剥奪された。

本人は意図的な使用を否定し、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に異議申し立てをしたものの、CASは「(UCIが示す)証拠は十分」とそれを棄却。これを受けキンタナは契約更新した直後だったアルケア・サムシックを退団。2023年はヨーロッパに留まりチーム探しに奔走したものの、シーズン中に契約がまとまることはなかった。

2014年ジロ・デ・イタリアを制したナイロ・キンタナ(コロンビア) photo:Kei Tsuji

しかしここにきて一転、古巣モビスターとの契約を結んだキンタナ。「僕はチームやこのスポーツの価値を理解している。だから僕の全てを懸けて正しい行動と共に、チームを助けたい。この機会を与えてくれたモビスターに感謝している」と語っている。

モビスターは今年限りでベテランのホセ・ロハスとイマノル・エルビティ(共にスペイン)が引退。オスカル・ロドリゲス(スペイン)がイネオス・グレナディアーズへ移籍し、ゴルカ・イサギレ(スペイン)がコフィディスへ、マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)がユンボ・ヴィスマに移るなど、クライマーの退団が続いていた。

text:Sotaro.Arakawa